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45 悪役令嬢は街へ出かける

私は最近、街へ遊びに行っている。平民の暮らしを勉強するために。本当は一人で行きたいけど、アンナとフィルかサイラスもついてくる。

私がアンナに

「街へ行きたいから服を貸してくれない?」

と聞いたら

「私と護衛に騎士団の方も連れて行ってください。でなければ服はお貸しできません」

と言われてしまった。

お父様と母上には内緒のため、フローレス領以外の色んな所を転々としている。


「ここは港が近いので新鮮な魚が沢山売ってますよ」

今日はフィルが護衛として来ている。私はアンナから借りた服を着て、頭に三角巾のような物をかぶっている。

「綺麗な貝殻」

作り物のように綺麗、アリシアにあげたら喜びそう。

「貝殻で作ったブレスレットもありますよ」

店員さんが色々と見せてくれた。

「すみません、これを一つ」

私はピンク色を基調としたブレスレットを一つ購入した。


「パトリシア様は本当にアリシア様を可愛がっていらしゃるんですね」

「ええ、だって本当に可愛いから」

私がそう言うと

「セシル様が嫉妬するんじゃないですか?」

フィルは難しい顔をする。確かに、アリシアにばかりお土産をあげるのは不公平だ。

「そうね、でも何をあげたら…」

アクセサリーってわけにもいかないし、何が良いんだろう。

「お嬢様からのプレゼントなら何でも喜んでくださると思いますよ」

「男性へのプレゼントでしたらこちらがおすすめですよ」

先ほどの店員さんが水色の貝殻が一つついたネックレスを見せてくれた。シンプルなデザインだし無難で良いかも。

「これも一つお願いします」


買い物を終えたあと、軽く食事をした。まさかこの世界でも浜焼きのような物をを食べられるとは思わなかった。

港町も悪くないな、美味しいものも食べられるし。でも働き先が見つかるか分からないよね、私の知識では薬屋になれるレベルではないし…まあ他の街も行ってみないと。


「そろそろ屋敷へ戻りましょうか」

私達は馬車に乗り、帰路へと向かう。

「楽しかったですね」

フィルは護衛として来てくれているが、息抜きになりましたと笑っている。

「アンナも何か買えた?」

私とフィルが浜焼きを食べている時に、アンナだけでお店を見に行っていた。

「はい、お嬢様に似合いそうだと思って」

アンナがゴソゴソと鞄の中へ手を入れると、私に小さな袋をくれた。

「開けて良い?」

袋を見たところ、アリシアとセシルへのお土産を買ったお店の物のようだ。

アンナが静かに頷いたので、私は袋を開ける。

「…綺麗」

アンナからのプレゼントは青い貝殻のイヤリングだった。私は早速つけてみると

「パトリシア様によくお似合いですね」

フィルとアンナが褒めてくれた。私は嬉しくてアンナに抱きつく。

「ありがとう、アンナ」

「喜んでもらえて光栄です」

アンナも私を抱きしめてくれた。


心地良い風にうつらうつらしかけていたときだった。突然馬車が停まる。

「何かあったんですか?」

フィルが御者に声をかける。

「…人が、男が倒れています」

さっきまでの平和な空気と一転して不穏な空気が漂ってきた。

「アンナさんはパトリシア様についていてください。少し様子を見てきます」

フィルは剣を片手に馬車から降りる。私は剣を持ってきていないため、アンナに抱きしめられている。きっと、私よりも怖いはずなのに。

少しして、フィルが戻って来た。

「お待たせしました。特に不審な人物は見当たりませんでした」

アンナがホッとしている。あれ?人が倒れていたんじゃ…

「倒れていた方は無事なの?」

「はい、生きてはいました」

「とりあえず中に運んで様子を見ましょう」

アンナとフィルは少し険しい表情をしたが、馬車へ運ぶことを許可してくれた。

運ばれてきたのは私より少し年上に見える青年だった。殴られたような跡が顔と見えている範囲の身体にある。私は持っていたハンカチで顔の汚れを拭く。意識が戻ってきたのか、小さなうめき声をあげる

「大丈夫ですか?」

「うぅ……天使?俺…死んだ?」

青年が薄目を開ける。

「良かった」

「あれ?ここは…」

「そこの道で倒れてたんです。お嬢様が心配されて馬車に運びました」

フィルが説明すると青年はハッとしたような顔をする。

「何があったの?」

「俺、近くの村に住んでるんですけど、村のほとんどの人が体調を崩し始めて…薬を買いに街へ出てきたんですけど、病原菌扱いで殴られて今に至るって感じです」

村の人達のために薬を買いに来た人を殴るなんて、しかも病原菌扱い…許せない

「あなた名前は?」

「俺はダリル=ヨルクです」

ダリル?私はその名前に聞き覚えがあった。馬車の中は少し暗かったため気づかなかったが、ダークブラックの髪にルビーの瞳。間違いない、小説でパトリシアが雇った殺し屋だ。小説に登場したときは長髪だったが、今の彼は少しボサボサの短髪だ。

私の心臓がいつもより早く脈打つのを感じるが、一呼吸を置き私も名乗る。


「私はパトリシア。私があなたの村を助けるわ」



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