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44 悪役令嬢と愛称

ブライス邸にお邪魔して数日、今度はフローレス邸にミシェルを招待することになった。

「ミシェルいらっしゃい」

「招待してくれてありがとう、トリシャちゃん」

ミシェルは馬車から降りると仔犬のように駆け寄ってきた。

「エリオットも少ししたら来ると思うわ」

「…エリーゼも来るんだよね」

「この前も話したけれどエリーゼは私の妹と遊んでいることが多いから大丈夫よ」

「姉さん、エリオット様が来たの?」

セシルが本を抱えてやって来た。今日は一緒に勉強するつもりのようだ。

「セシル、紹介するわね。ミシェルよ、エリオットと薬草を見に行ったときに知り合ったの」

「僕はミシェル=ガーネット。トリシャちゃんの弟さんだよね、よろしくね」

「トリシャちゃん!?いや…セシル=フローレスです」

セシルはミシェルの愛称呼びに驚いていたが自己紹介をした。

「トリシャちゃん行こう」

ミシェルが私の手を掴むと、セシルがミシェルの腕を掴む。

「ミシェル様、僕が屋敷をご案内しますよ」

「大丈夫、トリシャちゃんにしてもらうから」

二人が揉めているところにブライス兄妹がやって来た。

「ミシェル、もう着いてたんだ」

「エリオット様!!これは一体どういうことですか!?」

ミシェルは掴みかかる勢いでエリオットに詰め寄る。

「何?どうしたんだ」

「どうしたんだじゃなくて、彼は何ですか?」

「ミシェルだよ、俺の遠縁の親戚。ミシェルも薬草に詳しいから」

ミシェルも薬草に詳しいのか、初耳だな。まあ、フランクさんが医者で薬草園もあるぐらいだし詳しくなってもおかしくない。

「そこじゃなくて、姉さんへの距離がおかしくないですか?」

私もそこは少し気になっていたが、人懐っこい仔犬か幼い弟ができたぐらいにしか思っていなかった。

「あぁ、それは俺も思ってはいたけど…」

エリオットが何かを言い淀んでいると。

「あら、ミシェル様ではありませんか。何しにこちらに?」

エリオットの後ろにいたエリーゼがミシェルに話しかける。

「…エリーゼ」

私はミシェルが心配になり、手を握るとミシェルは私に笑いかけたあと手を離した。

「僕はトリシャちゃんと勉強するために来たんだ」

「ふーん、でもパトリシア様は女の子ですよ」

「知ってるよ。トリシャちゃんはエリーゼと違って優しくて可愛いし」

「生意気をいうようになりましたね」

二人が言い合いを始めた。ミシェルもエリーゼに言い返せていると言うことは女の子に対する恐怖が薄れてきたのかな?

「生意気なのはお前だ」

エリーゼがエリオットに小突かれる。

「まあまあ、とりあえず温室へ行きましょうか」


私達は温室へ、エリーゼはアリシアの部屋に行った。

「ここがトリシャちゃんの温室か」

「うん、ミシェルからしてみたら大したことないでしょう」

あの規模の薬草園を見たら、頑張って育てた薬草達がちっぽけに見えてきた。

「そんなことないよ。トリシャちゃんが頑張って育てたんでしょ素敵な温室だね」

ミシェルは本当に良い子だな。厳しく育てられたのに歪まずにこんな良い子に…

「ありがとうミシェル」

私は同い年と分かっているのについ頭を撫でる。

「エリオット、これはどういうことかな?」

カイルがいつの間にかやって来ていた。しかも、ものすごくどす黒い笑みを浮かべながら。

「何で真っ先に俺に矛先が向くかな」

エリオットが呟くと、カイルがツカツカと近づいてきて私は引き寄せられる。

「はじめましてかな?私はパトリシアの婚約者・・・のカイル=ルーク=アルフォード。よろしく」

カイルはミシェルに手を差し出す。

「ミシェル=ガーネットです。トリシャちゃんの婚約者だったんですね。よろしくお願いします」

ミシェルはカイルの黒いオーラに気づいてないのかニコニコと笑いながらカイルの手を取る。

「トリシャちゃん!?エリオット!!」

みんなそこに引っかかるのか…愛称呼びってあまり良くなかったのかな?

「だから何で俺に…はぁ、パトリシアが許可したからだよ」

カイルとセシルが私を見る。

「パトリシア?婚約者の私を差し置いて、知り合って間もない男に愛称で呼ばせるとはどういうことかな?」

「婚約者うんぬんは置いておいて、愛称呼びに関してはカイル様に同感です」

私はエリオットに目で助けを求めるも、目を逸らされた。

「何をされているんですの?」

エレノアが慌てた様子で駆け寄ってくる。

「大丈夫ですか?パトリシア様」

私はエレノアに抱き寄せられる。助かったとホッとしていると

「エレノアちょうど良かった」

カイルがエレノアに状況を説明した。

「なるほど、それならカイル様もパトリシア様を愛称で呼べば良いだけの話ですわ」

エレノアの言葉でカイル達は大人しくなった。もしかしたら、この中で一番大人なのはエレノアなのでは?

「パトリシア…パティって呼んでも良いかな?」

カイルが私を見つめてくる。パティって、なんかハンバーガーのお肉みたいでやだな。どうしよう断ったら怒るかな?

「…カイル様には、パトリシアって呼ばれるのが好きなので今まで通りでお願いします」

「そっか…パトリシアがそう言うなら」

カイルは何故か嬉しそうだ。そもそも、今はアリシアの事が好きなんだから私がなんと呼ばれていても気にしなくていいのに。



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