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43 悪役令嬢とミシェル

今日はブライス邸に招待された。ミシェルも来る予定だそうだ。

人見知りしてる感じだから、今回は私だけで行くことにした。

ブライス邸に着くとエリオットが出迎えてくれた。

「あら、エリーゼは?」

いつもはエリーゼも一緒に出迎えてくれる。

「母さんとお茶してる。ミシェルが怖がるから」

「怖がる?」

「ミシェル、姉たちにいじめられてたから女の子が怖いみたい」

あのとき震え声だったのはそういうことだったのか。

「私は大丈夫?」

もしかして、女の子と認識されてない?

「まあ、会えば分かるよ」

エリオットについて部屋に入る。

「パトリシア様」

眩しいくらいの笑顔のミシェルが駆け寄ってきた。この前はあんなにビクビクしていたのにどういう変化だ?

「あの…先日はありがとうございました」

ミシェルは私が貸してあげたハンカチをずいっと渡してきた。

「わざわざ洗ってくれたのね」

私はミシェルの頭を撫でる。

「パトリシア一応言っておくと、ミシェルも俺達と同い年だよ」

え?同い年ですって?身長は私とあまり変わらない、いやむしろ少し低いほうだ。

「ごめんなさい、てっきり年下かと思って」

「いえ、大丈夫です」

直視すると目が潰れそうなぐらいの笑顔だ。

「敬語も使わなくて良いわよ」

「本当?じゃあ、その…トリシャちゃんって呼んでも良い?」

私のことをチラチラと見ている。仔犬みたいで可愛いな。それにしても、愛称で呼ばれるのは初めてだ。

「良いわよ」

「ありがとう、トリシャちゃん」

手をギュッと握られる。尻尾の幻覚が見えてくる。

「そろそろ座りなよ」

エリオットはいつの間にかソファに腰掛けている。

「トリシャちゃんは僕の隣に座って」

握られていた手をそのまま引かれソファに座る。

それにしても、懐かれるような事をした記憶がないんだけど。チラッとミシェルを見ると、ニコッと笑顔を向けられる。

「…ミシェルは私のこと怖くない?」

「うん、最初は少し怖かったけど。トリシャちゃんは優しいから、僕女の子に優しくされたの初めてだったんだ。だから、トリシャちゃんのこと好きになっちゃった」

少し幼さの残るような話し方だが、余程酷い扱いをされてきたように感じる。

「…ありがとう」

私はエリオットを見ると

「ね、分かったでしょ」

と言われた。まあ、嫌われているよりは良いか。


「そういえば、エリオットはよくトリシャちゃんの家に行くんだよね?」

「うん、そうだけど」

「何してるの?」

「薬草とかの勉強をしてるよ」

エリオットの言葉にミシェルが食いつく。

「薬草!?それなら僕も一緒に勉強したい」

「はぁ」

エリオットがため息をつく。

「トリシャちゃんダメ?」

アリシアと同じ匂いがする。私はこの顔に弱いんだ。

「…良いわよ」

「言っておくけど、俺達だけじゃないからね。パトリシアの弟と、カイル王子もいるから」

そっか、だからエリオットはため息をついたのか。セシルはともかく、王子と一緒に勉強ってのがきついよね。

「…大丈夫」

さっきまでの勢いが一気に失われたようだ。

「次の勉強会のときに招待するわね」

「うん」

「あ、この前も話したんだけど、私妹がいるんだけど。大丈夫?」

良い子だから大丈夫だと思うけど

「トリシャちゃんの妹でしょ、なら大丈夫」

と言ってミシェルは笑う。

「じゃあ俺の妹のエリーゼにも加減慣れないとね」

「エリーゼに?」

「パトリシアの妹とエリーゼは仲が良いから、俺と一緒についてくるよ」

ミシェルの顔が青ざめていく。一体エリーゼに何をされたんだろう。

「大丈夫よ、エリーゼは妹と二人で遊んでることの方が多いから」

「良かった」

ミシェルはホッとした顔をする。



ミシェルの迎えが先に来たので見送ったあと、エリオットから教えてもらった。


ミシェルの母親、伯爵夫人は甘やかされて育った末っ子長男の弟に苦労していたようだ。そんな弟のように育たないように、ミシェルを厳しく育てた。ミシェルの三人の姉たちも、ミシェルへ強くきつく当たるようになった。

エリオットの前では、普通に話せるけどエリーゼと話すときに怖くなってビクビクしてしまっているところを

「この私が怖いんですか?ねぇ、どこが?どこが怖いんですか?」

とエリーゼに詰め寄られたのが、余計に怖くなったそうだ。


ミシェルはもしかしたら、母親の愛情が飢えているのかな?



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