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42 悪役令嬢と珍しい薬草

ガーネット伯爵家の薬草園は、2箇所あるようだ。

私達が今いるところは、まだ生育中らしい。

「好きに見ててください。すぐにお持ち致します」

フランクさんが薬草を持ってくるのを待っていると、エリオットが

「俺も手伝って来るから、ちょっと待ってて」 

とフランクさんのあとをついて行った。

私とミシェルはその場で呆然とする。怖がられてるかもしれないのに、何で二人にするのよ。

「…ねぇ」

「何ですか」

ミシェルはビクッと肩を揺らす。

「少し歩きましょうか」

私は笑って見せたが、やっぱり目を逸らされる。

ミシェルは、私の斜め後ろを歩く。


「うわっ」

ミシェルの声のあと、スカートに水がかかった。

どうやら水の入ったバケツに足を引っかけたようだ。

「ごめんなさい、ごめんなさい…」

今にも泣きそうな声で震えている。

「大丈夫よ、少し濡れただけだから。それに、ミシェルの方が濡れてるわ」

私はハンカチを取り出して、濡れている服を拭いてあげる。

「はい、あとは自分で拭けるわね」

「…ありがとうございます」

目は合わないものの、ちゃんとお礼が言えるのは良いことだ。

その後もゆっくり歩いていると、

「うわぁ」

何かに躓いたのか、ミシェルが転んでしまった。

もしかして、この子ドジっ子なのでは?

「大丈夫?怪我はしてない?」

転んだとき手をついていたようなので、私はミシェルの手をそっと掴み、怪我がないかを確認する。

「良かった大丈夫そうね。でも危ないから手を繋ぎましょう」

ミシェルはビクビクとしながらも私の手を掴む。

私は失いかけていた、年上のお姉さんとしての自信を取り戻してきた気がする。

「ミシェルは兄弟はいるの?」

「……姉が三人います」

まずいことを聞いてしまったのか、震え声で俯いてしまった。

「そうなのね、私は妹と弟がいるの。とても可愛いくて良い子達よ、今度は家に遊びに来ない?エリオットも良く来るのよ」

来るというか、私が勉強を教えてもらうために来てもらっているんだけど。

「……僕も良いんですか?」

ミシェルが顔をあげ、ようやく目が合った。

「ええ、もちろん」

私とミシェルは、手を繋いだまま見て回る。


エリオットが戻ってくる。

「パトリシア、スカートの裾濡れてない?」

「これは、バケツに躓いちゃって」

「走っちゃだめって言ったろ」

エリオットがじとーっとこちらを見る。

「走ってないわよ」

私がムッとすると、ミシェルがこちらを見ているのでミシェルに話を振る。

「ね、ミシェル」

「…はい」

「ほら、言ったじゃない」

私を何歳だと思っているんだか。

「おや、ミシェルと仲良くしてくれていたんですね」

フランクさんが薬草の入った籠を持ってきた。

私は籠を覗き込んだ。これは…

「ヨモギ?」

「良く分かりましたね」

何故にヨモギが?いや、いきなり前世で馴染み深い薬草が?

「パトリシア、知ってるの?」

知ってるも何も、普通にその辺に生えてた雑草ぐらいにしか思ってなかったし、まさかここでは珍しい薬草として扱われているとは。

「少しね…」

珍しいと聞いてワクワクしていたのに…と残念な気持ちになってきて、なんだか申し訳なくなってくる。

「良かったら、少し分けてあげますよ」

フランクさんが袋に分けてくれようとしている。せっかくだから貰っておこう。

「ありがとうございます」


私とエリオットはフランクさんにお礼を言ったあと、迎えに来た馬車に乗って帰った。



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