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41 悪役令嬢と伯爵家

私は今年で14歳になる。剣の稽古も、薬草(毒)についての勉強も順調だ。簡単な薬なら作れるようにもなった。

小説のカイルがアリシアに一目惚れするのは、カイルとパトリシアが15歳のときだ。すでにアリシアと知り合っているため一目惚れとはいかないけど、好きになる可能性はある。

そうなれば、私は二人の仲を邪魔をしないことと、応援することをしっかり伝えないと。

もしかしたらすでに好きになってるという線も…

最近のカイルは私のことを幼い子供のように扱う。好きな子にするような扱いではない。

「私とエリオットのいうことちゃんと聞こうね」

とか

「パトリシアはえらいね」

なんて言って頭を撫でてくる。これは確実に恋愛対象から外れたのでは?

それに、アリシアと二人で話しているところを何度か見た。やっぱりそういうことでは…そんな事を考えていると

「パトリシア、何考えてるの?」

とエリオットに声をかけられた。

私は、13歳の誕生日にお父様からプレゼントされた温室で薬草の世話をしていた。

「うーん…少しね」

エリオットに視線を向ける。三年前は、私より少し高かった背が今では見上げないと目が合わないぐらい伸びている。髪型もぱっつんアシメから目にかからないぐらいの長さを横に流すだけになった。三つ編みは健在だけど。

「まあ、なんとなく分かるけど」

エリオットには、何でも話せるぐらいの仲になった。私の一番の理解者と言っても過言ではない。

「ふふっ、流石エリオット」

「君が分かりやすいだけだよ」

このやりとりも何回もやっている。

「そういえばパトリシアが良ければ、一緒に行きたいところがあるんだけど」

私が見上げているのに気づいたのか、少し屈んでくれた。

「俺の知り合いに医者をしている方がいるんだけど、珍しい薬草が手に入ったみたいで…」

「行きたい」

私はエリオットが、言い終わる前に食い気味に返事をしてしまった。

「ハハッ、そういうと思った、うん行こう」



二日後、ブライス公爵家の馬車が来た。

「おはよう、アリシアとセシルは大丈夫?」

「うん、ついて行きたがってたんだけどセシルは剣の稽古があるし、アリシアは危ないから」

まあ、私は今のアリシアと同じ年のときに毒のある花を触ろうとして怒られてたけど。


私達は、一時間程馬車に揺られていた。

「もう少しで着くよ」

フローレス邸やブライス邸には劣るけど立派な屋敷の前で馬車か停まった。

エリオットが先に降り、私の手を貸してくれた。

そこには、数人の使用人とダークグリーンにグレーの瞳の優しげな男性が立っていた。

「お久しぶりです。フランクさん」

エリオットが男性に挨拶をする。

「はじめまして、パトリシア=フローレスと申します。」

私も慌ててスカートを持ち、挨拶をした。

「お越しいただきありがとうございます。フランク=ガーネットと申します」

「俺の遠縁の親戚のガーネット伯爵だよ」

小説に出てこないエリオットの親戚だから、当然知らない人だ。

「屋敷へどうぞ」

私とエリオットはフランクさんについて歩いている。

「準備をしてくるので、こちらでお待ちください」

と応接室に案内された。

エリオットと雑談をしながら待っていると扉が開いた。

「父さん、エリオットが来てるの?」

入ってきたのはフランクさんではなく、私達より1、2歳年下に見える少年だった。柔らかそうなダークグリーンの癖毛とタレ目に黒い瞳。

「ミシェル」

彼はミシェルというようだ。私は一応お辞儀をすると、ビクッと肩をあげていた。

「エリオット、そちらの方は?」

ビクビクした様子で私をチラチラと見ている。

「フローレス公爵令嬢のパトリシア」

エリオットに紹介されたので私からも挨拶をする。

「パトリシア=フローレスよ。よろしくね」

なるべく怖がらせないように笑顔を作ったが

「……ミシェル=ガーネットです」

と名乗ってくれたあと目を逸らされた。なんとなく出会った頃のセシルを思い出す。

「あ、あの失礼します!!」

ミシェルは部屋を出ようとしたが、同じタイミングでフランクさんが入ってきた。

「おや、ミシェルもいたんだね。ほら座りなさい」

ミシェルは結局、フランクさんの隣に座らされている。


お茶を飲んだあと、薬草園へ案内された。

「すごい」

思わず感嘆の声を漏らす。見たことのない薬草が沢山だ。

「ふふ、走っちゃだめだからね」

エリオットは私の頭に手を置きながら言った。

「走らないわよ」

カイルもそうだけど、エリオットにも子供扱いされるとは。

ミシェルは相変わらず、私と目が合うとバッと逸らす。やっぱり私の顔って怖いのかな?




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