4 悪役令嬢と新しい家族
アリシアと手を繋ぎながら庭園を抜ける。
そこにはアリシアを呼びに来たのであろう、フローレス邸では見たことのない侍女がいた。
深い青い髪にグレーのタレ目がちな瞳の女性。
「あ、デイジー」
アリシアが、ポソッと呟く
「アリシア様」
アリシアを見つけたデイジーがホッとした声出すしたが、私とパチっと目が合うと、ビシッと音が聞こえるぐらいの勢いで姿勢を整える。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。本日よりお世話になります。アリシア様の侍女、デイジー=オルコットと申します。」
そう言うと深々と頭を下げる。
「私はパトリシアよ、今日からよろしく頼むわねデイジー」
軽い挨拶を済ませた私達はエントランスに向かう。アリシアは私の手を握ったまま、本当に可愛いな
「おや、もう仲良くなったのかい?」
エントランスに着くとアルフレッドと女性がいた。ストロベリーブロンドにストレートボブ、ペリドットの瞳。アリシアの母親、ベアトリスだ。
瞳の色違いはアリシアにそっくりの美女だ。
「お母様」
アリシアが私の手を離しベアトリスに駆け寄る。
「アリシア、ご挨拶が先でしょう。」
ベアトリスがアリシアの頭を撫でる。
「パトリシア嬢、今日からお世話になるベアトリスよ。アリシアを連れて来てくれてありがとう。」
ベアトリスが優しく微笑む。
パトリシアはこんなに優しい人に酷い態度を取ってきたんだ。
父親を誑かした女狐だなんだって
「パトリシアです。よろしくお願いします。」
私が笑顔で返すと、ベアトリスが私の手を両手で握る。
「私のことは好きに呼んでいいわ、その代わりあなたのことパトリシアって呼んでも良いかしら?」
パトリシアはアルフレッドをお父様、エリザベートをお母様と呼ぶ、パトリシアにとってのお母様はエリザベートだけだ。だから、ベアトリスのことはお母様とは呼べない。意味は同じだけど、呼び分けという意味で
「はい、ではその、母上?」
「……えぇ、パトリシア」
ベアトリスに抱きしめられる。
「こんな所で話すのも何だし、夕食まで談話室に行こうか」
アルフレッドが私の背中を軽くポンっと叩く。
いや、ここはアリシアともっと仲良くなるチャンスでは?
「お父様、アリシアさえ良ければ屋敷を案内しても良い?」
「そうだね、アリシアどうする?」
アルフレッドがアリシアに目を向ける。
「行きたいです。」
アリシアがキラキラした瞳で私を見つめる。
「夕食の時間までには戻っておいで」
アルフレッドに頭を撫でられる。
「行きましょう、アリシア」
私が手を差し出す。
「はい」
アリシアが私の手を握る。
「アリシア、本は好き?」
「はい、そのまだ字は読めないのでデイジーに読んでもらってますが、妖精さんや動物さんでてきたりするのが好きです。」
ニコニコと笑いながら話す姿が非常に愛らしい。
「じゃあ、一緒に書庫に行きましょう」
「ここが書庫よ」
って言っても私も2,3回しか来たことはないけど。
「わぁ、すごーいですね、本が沢山」
「ふふっ」
思わず笑みが溢れる。
「アリシア、この本一緒に読みましょう」
前にアンナが持ってきてくれた本だ。
カウチソファに2人で座り、私は読み聞かせを始めた。隣から「わぁ」とか「きれい」とか感嘆の声が聞こえる。そんな声を聞いていると読んでいる私も楽しくなる。
私達は夕食の時間も忘れてずっと本読んでいた。
探しに来たアルフレッドには叱られてしまったが
「時間を忘れるぐらい楽しかったんだね」
と言って、私とアリシアの頭を撫でた。
その後、みんなで楽しく夕食を食べた。




