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39 悪役令嬢とジタリギス

苗を植えてから三週間、ジタリギスはすくすくと育ち蕾を付けた。

昨日見たときは今にも咲きそうなぐらい蕾が膨らんでいた。

そして今、私は庭園に向かっている。

プランターの前まで来るとそこには赤紫の花が開いていた。

「咲いてる」

後ろをついてきていた、エリオットとカイルも嬉しそうだ。

「良かったね」

「パトリシアが頑張ったからだよ」

二人はそう言って笑ってくれた。

「二人のおかげよ、本当にありがとう」

私は二人の手を取りブンブンと振る。

育成に一番協力してくれたのはエリオットだし、そもそも苗を用意してくれたのはカイルだ。

「「どういたしまして」」


「それにしても、毒があるとは思えないぐらい綺麗ね」

私はつい好奇心で花に手を伸ばす。すると勢い良く手を掴まれた。

「コラ!!危ないって言ったろ」

エリオットに怒られてしまった。

「だって、痺れるだけなんでしょ気になるじゃない」

私がそう言うと、エリオットは呆れたようにため息をついた。

「はぁ、まったく」

エリオットは私の手を掴んだまま、頭を抱えている。

笑っていたカイルは

「いたずらできないように手を繋ごうね」

と反対の手を繋いできた。

「いたずらなんてしません」

子供に子供扱いされている。

「はいはい、プランターから離れようね」

「ちょっと触ろうとしただけなのに」

「まだあきらめてないの?」

エリオットがじとーっとこちらを見てきた。

「エリオットがいれば大丈夫でしょ」

「君は俺を買いかぶりすぎ」

エリオットは少し照れているのか腕で顔を隠した。もしかしたら、このまま褒めていれば少しだけ触らせてもらえるかも。そんな事を考えていると、バタバタと賑やかな足音が近づいてきた。

「お姉様ー」

「アリシア待ってよ」

「姉さん」

「セシル、ちょっとお待ちくださいまし」

急いできたのか、みんな息が上がっている。

「そんなに慌ててどうしたの?」

「お姉様がカイル様といらっしゃるのが見えたので」

アリシアは私とカイルが一緒にいるのが嫌なのかな?

「姉さん、咲いて良かったね」

セシルは花が咲いたことに気づいたのか、自分のことのように嬉しそうに喜んでくれた。

「綺麗なお花ですね」

エリーゼがプランターに近づいてきた。

「危ないから触ってはダメよ」

私がそう言うと後ろからクスクスと笑い声が聞こえる。

「さっき触ろうとしてたのは誰だったかな?」

私は思わず、カイルを睨んでしまった。

「姉さん、触ろうとしたの?」

「少しだけよ、ほんの少し触ろうとしただけ」

「はぁ、僕も一緒にいるべきだったね」

何故かセシルにも呆れられてしまった。


「こっそり触っておけば良かった」

と言ったら、セシルとエリオットにお説教されてしまった。

後ろで見ていたアリシア達はオロオロとしているが、カイルは楽しげだった。


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