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パトリシアからの手紙

狩猟大会の日、パトリシアから紫の薔薇の刺繍が施されたハンカチを貰った。私とパトリシアが初めて会った日の花だ。パトリシアが覚えているのかは分からないけど、嬉しかった。周りを気にしてキョロキョロとしていた姿も可愛らしかった。

狩猟大会が始まり、森に入りそれなりに狩りを楽しんでいた。少し休憩をしようとしたとき、珍しい花が咲いていた。

「パトリシアにあげたら喜んでくれるかな」

私の言葉に護衛の騎士達は頷いてくれた。私は花を一輪摘んで、そっと鞄に入れた。喜んでくれると良いけど。

「休憩がてら一度天幕に戻りましょうか」

森から出るとパトリシア達がいた。私が声をかけるとパトリシアは小さく手を振る。

エレノアとエリーゼは私の姿を見て、アリシアを連れて行ってくれた。パトリシアには今までもプレゼントを渡してきたのに、今回は緊張していた。パトリシアの提案で、端の方へ行くことになった。護衛は一人だけついてきた。私はパトリシアに摘んできた花を渡そうとした。その瞬間、何かが跳んできた。私はパトリシアのおかげ無事だったが、パトリシアは怪我を負ってしまった。私なら、彼女の傷を癒す事ができた。それなのに、次の矢が放たれる可能性があるからと私は天幕へ連れて行かれた。その日、結局花を渡すことは出来なかった。そういえば、あのときに約束した薔薇の苗も渡せていないな。


犯人は割と早く分かった。父上の弟、私の叔父にあたる。ダグラス=レッドフォード公爵。そして、あの日私の護衛をしていた騎士の一人だ。どこまでが仕込まれていたことかは分からないけど、狙われていたのは私とパトリシアだった。王位継承権、次期王妃の座どちらかを手に入れるためだと聞いた。つまりはパトリシアが死んでしまっていたら、レッドフォード家の令嬢を私と婚約させるつもりだったということ。他にも分かったことは、母上と母上のお腹にいる子も狙われいたこと。それは実行されることはなかった。私達の暗殺に成功した上で行う予定だったようだ。

父上、アルフレッド宰相とブライス公爵達で今後について話しをしている。アルフレッド宰相は、顔色も悪くやつれていたが、パトリシアの様子を教えてくれた。目が覚めたと知って本当に安心した。けど、パトリシアの腕に傷痕が残るとも聞いた。その傷は私のせいでできたと言っても過言ではない。私は父上に頼み、貴重と言われているユセンカシキという植物からできた薬を用意してもらった。

父上には事が落ち着くまでは、パトリシアに会ってはいけないと言われたため、手紙を送ることにした。

そして父上は、パトリシアのために婚約を解消したほうが良いと言っていた。

私は、パトリシアを失うぐらいならそれでも良いと思った。そんなとき、パトリシアから手紙が届いた。どんな内容でも、受け入れるつもりで手紙の封を開ける。

手紙は、私を気遣う言葉と自分の身を守るためにより一層稽古に励むということが書いてあった。手紙を読んで気がついた。私はパトリシアを手放すなんてできない。

あの日、怪我をしたのは自分なのに私の心配していた。それに初めて会った時も、薔薇を何本か持っていって良いと言ったのに庭師のこと思って断っていた。そんな彼女だからこそ、私が守りたかった。

一緒に手紙を読んでいた父上は笑っていた。

「パトリシアは逞しい子だな、そう簡単に守らせてくれないだろう」

「はい、パトリシアは強い子です。それでも私が守りたいんです。」

私がそう言うと父上が頭を撫でてくれた。

「頑張りなさい」


狩猟大会から2ヶ月経った頃、私に弟ができた。あんな事があったあとだからか、母上や弟にも週に一回程しか会えなかった。少しして、母上とは普通に会えるようになった。母上の提案で、パトリシア達を城に招待する事になった。パトリシアから届いた手紙の内容を父上から聞いたのか、母上は、パトリシアに会いたがっていた。本当はパトリシアだけを招待したかったけど、アリシアやセシルだけでなく、エレノア達にも手紙を出すようにと母上に言われてしまった。



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