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34 悪役令嬢と乙女エレノア

狩猟大会の件が完全に落ち着いた頃。エレノアがやって来た。私が殺されかけた事は貴族の中ではまだ公爵家だけしか知らない。侯爵家であるエレノアには事故としか知らされていない。


「パトリシア様ー」

エレノアは私を見るなり、挨拶もなしに抱きついてボロボロと泣き出した。エレノアの侍女ミアがオロオロとしているが、私は笑ってエレノアの背中を擦る。


「落ち着いた?」

「はい、パトリシア様のお顔を見たらホッとして涙が出てしまいましたの」

エレノアは私から離れ、ハンカチで顔を拭いてる。

「心配かけてごめんなさい」

と私が言うとエレノアは首ブンブンと横に振る。

「パトリシア様が謝ることではありませんわ」

「…ありがとう、エレノア」

私はエレノアの手を握る。

「行きましょう」


「エレノア様」

応接室に入るとアリシアが元気に出迎える。

「エレノア様も一緒に刺繍をしましょう」

アリシアはセシルにあげた刺繍入りのハンカチを毛玉と勘違いされたのを気にしてか、エリーゼといるときも刺繍の練習をしていたようだ。

「アリシアは何を刺繍しているのです?」

アリシアの隣に座ったエレノアが不思議そうにアリシアの手元を見る。

「猫ちゃんです」

「猫ちゃん…個性的ですわね」

アリシアはまだ上達していないようだ。

「エレノアは刺繍は初めて?」

「いえ、少しだけ教わりましたわ」

少しと言う割に、慣れたような手つきで針を刺していく。

「お姉様は何を刺繍されるんですか?」

アリシアはキラキラとした瞳で私を見つめる。私は特に決めていなかったけど、せっかくだしアンナにでもあげようかな?

「そうね、カーネーションにしようかしら」

お母さんではないけど、最期までパトリシアに寄り添ってくれる存在だったから。

私とアリシアが刺繍の話しをしているとエレノアが突然立ち上がった。

「あ、あのパトリシア様」

「どうしたの?」

アリシアはキョトンとしている。

「パトリシア様はカイル様のどういった所をお好きになられたのですか!?」

エレノアは顔を真っ赤にして言ってきた。何でみんな私がカイルのことを好きなんだと勘違いするんだろう。

「エレノアはとりあえず落ち着いて、座りましょ」

エレノアが興奮気味な反面、アリシアは俯き加減で黙々と刺繍をしている。

「カイル様は婚約者だけど、(私は)特に恋愛感情はないの」

「…そうだったのですね、勝手に勘違いをしてごめんなさい」

エレノアは少しシュンとした。可愛いな、恋バナとか好きなんだろうな。

「ふふっ、エレノアは好きな人はいないの?」

「へっ?いや私はまだそういった男性は…」

エレノアは恥ずかしいのか顔を手で隠している。

「アリシアは?」

「私はお姉様の事が好きです」

アリシアはニコニコ笑っている。アリシアにはまだ恋愛的な好きは分からないんだな。

「ありがとう、私もアリシアの事大好きよ」

私がそう言うとアリシアが私のところに来て抱きついてきた。

「アリシアは本当にパトリシア様の事がお好きですわね」

私はアリシアの頭を撫でる。

「えへへ」

アリシアは嬉しそうに笑う。いつかアリシアもカイルと幸せに…いや、そうなると私が殺されるかもしれない。でも、私はアリシアのことをいじめてないし。それでも油断は禁物、カイルとも友人として良好な関係を築いていこう。


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