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アリシアと同盟

26話「悪役令嬢と継母」の後の話しです。

アリシアは変だ。いや、正確に言うなら姉さんが絡むと変になる。

この間もそうだ。僕の部屋にノックもなしに入ってきて。

「お兄様!!お姉様は毛虫を触れる私と毛虫を怖がる私どっちを可愛いと思ってくれると思いますか?」

なんて言ってきた。

「そもそも、アリシアは毛虫を触れるの?」

「はい、前に住んでいたところは田舎でしたので虫ぐらいへっちゃらです」

「まあ、触れない方が可愛いと思ってくれるんじゃない。でも姉さんのことだからお前が触れないって言ったら頑張って触ると思う」

姉さんは毛虫が苦手だとアリシアに知られたとき恥ずかしがっていたし、アリシアにかっこ悪いところは見せたくないみたいだったし。

「それはお姉様が可哀想です」

「なら正直に毛虫が平気って言えば良いじゃない」

「でも嫌われませんか?」

「それはないんじゃない」

「そうですよね、お姉様はお優しい方ですものね。」

アリシア満足したのか部屋から出ていった。


別の日も、ノックなしで部屋に入ってきたと思ったら。

「お兄様見てください、このハンカチをお姉様が刺繍してくださったんです。」

と自慢してきた。

「そう、良かったね」

「嫉妬ですか?」

少し腹が立ったが、堪えた。

「そんなんじゃないよ」

「そうですか。それで、このハンカチなんですけどお姉様が初めて作ったもの何ですよ。」

「そう」

顔が引きつってしまった。僕はやっぱり嫉妬をしているのかもしれない。

「しかも私の瞳と髪色に合わせたものをですよ。お姉様は、私のことが一番好きなんです。」

確かに、アリシアは僕より数ヶ月早く姉さんと一緒に過ごしてたんだ。僕よりもアリシアの方が好きなのかもしれない。

「分かったから、出ていきなよ。」

少しきつく言ってしまった。

「いえ、ここからが本題なんです。」

アリシアは突然真面目な顔した。

「実はお姉様、狩猟大会のためにカイル様にも刺繍入りのハンカチを渡さないといけないみたいなんです。」

「それで?」

姉さんはカイル様の婚約者だからそれは仕方のない話だ。

「カイル様に渡すんですよ、カイル様は喜ぶでしょうけど、お姉様はカイル様の事を怖がっているのに可哀想ではありませんか!!」

なるほど、確かに姉さんはカイル様の事を恐れているように見える。対して、カイル様は誰が見ても分かるほど姉さんの事が好きだ。

「それはそうだけど、ハンカチを渡すことは止められないだろ。」

「…そうですよね、でも二人きりになるのを阻止することはできるのでは?」

「まあ、それぐらいは」

前からアリシアは、姉さんとカイル様が二人きりにならないように邪魔をしていたけど。

「ではお兄様も協力してくださるんですね」

「え?」

どこでそんな話しになったんだ。

「お兄様だって、お姉様を取られたくないでしょう」

「…うん」

「ちなみに私はお兄様にも取られたくはないので」

「どういうことだよ」

姉さんは僕よりアリシアを可愛がっているのだから少なくとも僕に取られる心配はないだろうに。

「だってお姉様、私と一緒にいるときもお兄様のお話しをなさるんですよ」

「私と言うものがありながら「セシルはきっと狩りの腕もすごいのでしょうね」とか「セシルがいないと少しさみしいわね」とか「セシル」「セシル」ってあんまりです。」

「姉さんが?」

最近は狩りの練習でなかなか一緒にいる時間はなかったけど、姉さんが僕の話をしていたなんて。

「ムキー!!何を照れているんですか。余計なこと言わなければ良かったです!!」

僕はどうしてもほころんでしまう顔を手で隠した。

そんな僕を見てアリシアは地団駄を踏み出した。

「まあ、落ち着きなよ」

アリシアのこんな姿、姉さんが見たら驚くだろうな。

「僕もできる限り協力するから」

姉さんが幸せになるために。

「本当ですか?」

「姉さんのためだからね」

「それはもちろんです。」

僕とアリシアはガシッと握手をした。

「今ここに、同盟を結びましたからね。」

「同盟って何だよ。」

「お姉様をカイル様から守るためのです。抜け駆けも禁止ですからね。」


アリシアと僕は同盟を結んだ。


アリシアはやっぱり変だ。そんなアリシアが暴走しないように僕が制御しないといけない。


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