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32 悪役令嬢と傷痕

狩猟大会から三週間経った。

腕の怪我は傷痕が残ったものの、少しずつ前と同じように動かせるようになってきた。


「パトリシアお嬢様、カイル様からお手紙と贈り物です。」

アンナが手紙と小さな箱を持ってきた。

私は封筒を開き手紙を読む。


『愛するパトリシアへ


君が目を覚ましたと、フローレス公爵から聞いて安心したよ。

私は、君を守れるように強くなると言っていたのに君を守る事が出来なかった。それどころか、君に庇われて、傷を負わせてしまった。本当に情けない、私のせいで申し訳ない。

傷が塞がったと聞いたので、傷痕が消える効果のある薬を贈るよ。

私は当分、君には会うことはできないだろうけど、いつも君のことを思っているよ。』


という内容だった。狩猟大会以降、カイルとは会っていない。

「傷痕が消える薬?」

これって、前にブライス邸で読んだ本に載っていた薬草が使われているのでは?


「早速使ってみましょうか」

深緑色に独特な匂いの薬だ。

意外とベタつきもなくサラサラとしている。


「カイル様にお返事を書かないと」

何を書いたら良いんだろう、とりあえず薬のお礼を書くかな。

「すぐに便箋をご用意致しますね」

アンナが私の服を整えると部屋を出ていった。


「お待たせいたしました」

戻ってきたアンナから、便箋を受け取って机へ向かう。

私は自分達が狙われていた事を、知らないふりをしないといけないんだった。

えっと


『敬愛なるカイル様へ


ご心配をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。カイル様のせいではないので、お気になさらないでください。自分の身は自分で守れるように私もより一層稽古に励もうと思います。


追伸 貴重な薬をありがとうございます。御心遣い痛み入ります。』


これで良いかな?あまり長文で書くとボロが出そうだし。甘い言葉に対する返事もしなくて良いよね、私は別にカイルの事を思ってないし。うん、これで良し。

私は書き終えた手紙をアンナに渡した。


カイルに守ってもらうようなことはしたくないし、貸しは作っても借りは作りたくないから、強くならないと。まずは筋力を取り戻さないと。

それと傷痕が本当に消えるのか、経過観察もしないと。


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