24 悪役令嬢とブライス公爵邸
今日、私とアリシア、セシルはブライス公爵邸へ向かっている。
先日のお茶会後、エリオットとエリーゼから屋敷に招待させて欲しいという手紙が送られてきた。
「本日はお招きいただきありがとうございます。」
「良く来てくれたね」
エリオットと同じディープバイオレットの髪の優しげな男性と、エリーゼと同じペールパープルの髪に、つり目の美人な女性が出迎えてくれた。二人の両親だ。
「先日はありがとうございました。」
エリーゼがお辞儀する。
「そういえば、エリオットは?」
「兄様は…」
「…はぁはぁ、遅くなりました」
エリオットが走ってきた。
「大丈夫?」
「…大丈夫」
肩で息をしているエリオットにブライス公爵が肩をポンと叩く。
「じゃあ、私達は書斎にいるから何かあったら呼んで、三人共ゆっくりしていってね」
ブライス公爵と夫人が去った後、エリオットがようやく息が整ったのか顔をあげた。
「あら?エリオット前髪を切ったのね。良く似合っているわ」
お茶会であったときの長かった前髪は、ぱっつんのアシメ前髪になっていた。右側の触角は三つ編みをしている。
私の言葉でエリオットが俯いてしまった。
「パトリシアは本が好きって聞いたんだけど、うちの書庫に案内するよ」
「本当?ありがとう」
嬉しくて自然と顔がほころぶ。フローレス家の本は結構読み漁ったら楽しみ。
「うわぁ、すごーい」
アリシアが目をキラキラさせている。
フローレス邸の書庫よりも大きく、本の数も凄い。
「好きな本を読んで良いんですよ」
エリーゼの言葉に私は心が躍る。
こんなに沢山の本を読むことができるなんて。
「アリシアにおすすめの本があるの」
エリーゼがアリシアの手を引いて歩いていった。
私も早速、本を読もうかな。
「姉さん、何の本を読んでいるの?」
本を読むのに夢中になっていたら、いつの間にか近くにセシルがいた。
「これは薬学の本よ」
この先、何があっても良いように色んな知識を蓄えておかないと。
「パトリシアは薬学に興味があるの?」
エリオットは本を数冊持ってやって来た。
「ええ、新しい事を学ぶのは楽しいから」
「それなら、この本もおすすめだよ」
エリオットから一冊の本を受け取る。
「薬草の進め?」
「そう、結構ためになることが書いてあるから良かったら」
エリオットも薬学について勉強しているのかな?
「姉さん、僕も一緒に読んでもいい?」
セシルが珍しく甘えてくる。一緒に読んで楽しいような内容ではないと思うけど。
「良いわよ」
私はセシルと一緒にソファに座る。エリオットが色々本を持ってきてくれた。
この世界の薬草は凄い。お風呂に浮かべてその湯に浸かるだけで病が治るものとか、どんな傷痕でも消せる薬になるものまである。ものすごい希少らしいけど。
苗とかがあればうちで育てたいな。
そんな事を考えながら本を読み終えた。
「ここは素敵ね、もう一生ここに住みたいわ」
こんなに沢山の本に囲まれて幸せ。
「え?」
エリオットが驚く。
「だめだよ、そんなの」
セシルがムスッとする。
「ごめんなさい、こんな沢山の本が読めるのが嬉しくてつい。」
「それならまた、いつでも来なよ」
エリオットが笑った。
「ありがとうエリオット、今度はうちに招待するわね」
「うん、楽しみにしてる。」
「エリオット様当然ですが、エリーゼも一緒にですよ」
「…分かってるよ」
いつの間にかセシルとエリオットも仲良くなったのかな?
「お姉様ーエリーゼが素敵な本を持ってきてくれたので一緒に読みましょう」
私達はその後エリーゼの持ってきた本を一緒に読んだ。
こうしてブライス邸での時間は終わった。




