2 悪役令嬢は理解した。
もう一度目を覚ましたら病院のベッドだったりして、なんて淡い期待も虚しく、目蓋を開くと目を潰しにかかるほどのシャンデリア、やはり夢ではないらしい。
チカチカする目を擦りながら上半身を起こす、どうやら起きるには早い時間のようだ。
私は寝起きであまり回らない頭で状況を整理する。
まず、パトリシアの母親、エリザベートはすでに亡くなっている。小説だと亡くなったのはパトリシアが7歳の秋、パトリシアの誕生日を迎えた2週間後だった、父親アルフレッドは深く悲しみ、仕事以外ではずっと部屋に閉じ籠もっていた。その間パトリシアと顔を合わせる事はなかった、パトリシアはその頃から良く体調を崩すようになった。秋も終わりを迎える頃からだ、アルフレッドに頻繁に客が来るようになった。冬を迎えた頃にはアルフレッドは頻繁に外出するようになる。そして“春"になり、義母ベアトリスと義妹アリシアに出会う。
そして今はまさに春
アンナの話によるとアルフレッドは外出している。
そしてもう時期帰って来る、もう少しで物語が始まってしまうのだ。
そんな事を考えているとドアをノックされる。
「パトリシアお嬢様、失礼致します。」
「どうぞ」
「あら、随分と早起きですね。」
アンナは部屋に入るとカーテンを開ける。
「お着替えを済ませたら、朝食をお持ち致します。」
着替えも朝食も済んだ私は暇を持て余していた。
本を読もうにもこの世界の字なんて読めるはずないし、ため息をついているとアンナが本を一冊持ってきた。
「まだ病み上がりですし、お勉強はお休みで退屈でしょう」
「お茶を用意致しますね」
と言うと部屋から出ていった。
アンナの話だとパトリシアは1週間近く熱に浮かされていたとのこと。大事を取ってって事で当分は勉強はお休みってことだ。
だからといって本を渡されてもね、と思いつつ本のページをパラパラめくる
「!?」
読める、読めるぞ
見たことのない字なのにちゃんと読める
これは子供向けの童話のようだ、この世界の字が読めるのは、パトリシアの記憶から来るものなのだろうか
とにかく、私はこの世界について勉強しなくては!




