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16 悪役令嬢は剣を持つ

今は11月、私は暇を持て余している。アリシアは授業で、セシルは剣の稽古が始まったようだ。

私はというと、授業の進みが早かったせいか、回数を減らされてしまった。


自室に籠もってるのも何だから、書庫にでも行こうかな。


書庫へ向かい歩いていると、ちょうど騎士達の訓練場が見える。


「やぁあ!!」


この声はセシル。

セシルは木製の剣を持って打ち合いをしている。

「打ち込みが甘いです。」

セシルの太刀筋を見切り、騎士が片手で握った木製の剣でいなしながら指導をしている。


剣か、剣を習うのも悪くないのでは?

護身にもなるし、それにカイルもきっと剣を振るう女なんて嫌なはず



「駄目だ」

私はその日の夜、アルフレッドにお願いをしたが撃沈している。

「お父様…お願い」

私はアリシアの真似をしてキラキラの上目遣いをする。私に効くなら、血の繋がりのあるアルフレッドにも効くはず

「…そんなに可愛くお願いしても駄目」

ちっ、ダメだったか

「どうして?」

「危ないから」

「納得できないわ」

私は露骨に不貞腐れる。

「パトリシアは何で剣を習いたいんだい?」

「…私はフローレス公爵家の長子です。誰よりも強く、賢くありたい。自分の身は自分で守れるようになりたいのです。」

私は、真剣な顔で訴える。

「はぁ、分かった。でも、クラウドに聞いてからだよ」

アルフレッドはため息をついたものの折れてくれた。

「ありがとうお父様」


説得が上手く行ったことに、ホッとして忘れていたけど、クラウドって誰だ?



「パトリシア、クラウドには話を通しておいたからこれから訓練場に行くよ」

頼みに行った翌日、アルフレッドがクラウドに伝えてくれたようだ。

「はい、あっ…でも着替えないと」

ドレスで剣の稽古は危険だ。

「今日は説明だけだから大丈夫」

そっか、指導の前に挨拶をするだけかな?

なんて軽く思っていたのが間違いだった。


「この剣を持てるようにならなければ稽古をつけることはできません。」

私の前に置かれたのは、訓練用の木製の剣ではなく、実戦で使用する銀製の剣だった。そして、その剣を置いた人こそクラウドだった。アッシュグレーの髪を後ろに結んだ、グレーの瞳の18歳ぐらいの青年だ。


剣は大体2キロぐらいだろう、持ち上げることは容易いが振るうには子供には難しい。


さてはアルフレッド、私を諦めさせるためにわざと

「分かりました」

私は諦めない、少なくともカイルとの婚約を回避できるまでは

「本当に?危ないよ」

アルフレッドは急にオロオロし始める。そして、クラウドに目配せをしている。

「では期日をもうけましょう。二週間以内に持てるようになりましたら、稽古をおつけします。」

「僕からも一つ条件をつけよう」

アルフレッドが言う

「この話はベアトリスにアリシア、セシルとアンナにバレないようにだよ」

「分かりました」



とはいえ、ランニングとかはできないしどうしたものか。

体力、筋力それと体幹を鍛えないと


「お姉様?」

アリシアが私を見つめている。そうだ、良いことを思いついた。

「アリシアは本当に可愛いわね」

私はアリシアを持ち上げる。重っ…くわないけど軽くはない、丁度いい、それなりに鍛えられそう。

「きゃぁ」

アリシアは楽しそうに笑っている。

私はアリシアを持ち上げたままクルクル回ったりして遊んで…じゃなかった、鍛えている。


このまま毎日続けよう。



そして二週間経った日

「では、こちらを持ち上げてください。」

「はい」

私はひょいと片手で持ち上げる。

アルフレッドとクラウドが顔を見合わせる。

「あの、パトリシア様…二週間どのようなトレーニングを」

クラウドは恐縮そうに聞いてきた。

「アリシアを抱っこして遊んだり、ベッドで本を読んでいるふりをして体幹を鍛えたり?」

他にも寝る前に腕立てと腹筋もした。

二人は驚いた顔をして、目をパチパチしていた。


「ひとまず、剣を置いてください」

クラウドの言われ、私は地面に、そっと剣を置く。

「アルフレッド様」

クラウドがアルフレッドを見る。

アルフレッドをうんうん唸っているが、一息ついて

「パトリシア、君の頑張りを認めよう。でも、くれぐれも怪我だけはしない事!いいね?」

と承諾してくれた。

少し悲しそうな表情だった。


「はい、ありがとうございます。お父様」



こうして、私の剣の稽古が始まった。


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