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15 悪役令嬢とかつての記憶

「では、行ってくるよ」

「行ってらっしゃいませ」

「お気をつけて」

ベアトリスと侍女達に見送られてる。


私とアルフレッドは、今馬車に乗っている。

「久しぶりに乗る馬車はどうだい?」

私の向かい側に座る、アルフレッドに聞かれる。

私自体は久しぶりどころか初めてだ。

「はい、風が気持ちいいです。」

「そうだね、晴れてよかったよ」


今日はエリザベートの命日だ。

今向かっているのも、エリザベートの眠っている場所だ。

私はいつもと違う、黒いシックなドレスを着ている。お墓に手向けるための花も用意した。



「そろそろ着くよ」

数時間馬車に揺られていたが、ようやく目的地に着くようだ。

馬車が止まるとアルフレッドが先に降り、私の手を取って降ろしてくれる。

「僕が花を持つから、手を繋ごうか」

私はアルフレッドと手を繋いだまま、エリザベートのお墓に向かった。

すでに誰かが来ていたのか、そこには白百合の花束が手向けられていた。


私が用意した花束は、白百合の他にルピナスも入れている。

「私が、置いてもいい?」

「もちろん良いよ」

アルフレッドから花束を受け取り、お墓の前にそっと置く。



「お母様」

「パトリシア、食堂に行っていたわね?」

「何で分かるの」

「お口の周りにチョコレートがついているわよ、本当に食いしん坊さんね」



「お母様はお花の中で何が好き?」

「そうね、ルピナスかしら」

「じゃあ、私も好き」

「えー、見たことないのに?」

「お母様が好きなものは、私も好きなの」



「ねぇ、お母様の具合はまだ良くならないの?」

「そうだね、もう少ししたら良くなるよ」

「本当?」

「…そうだ、お母様が元気になるようにお花を育てるのはどうだい?」

「うん、私頑張る」

「きっと、良くなるよ」



「咲いた、アンナ咲いたわ」

「パトリシアが良く頑張ったからですよ」

「パトリシアお嬢様、奥様が…エリザベート様が息を引き取りました。」



これは、パトリシアの記憶?

私が転生する前の。私の頬に涙が伝う。


「エリザは喜んでいるはずだよ、パトリシアがこんなに良い子に育って。」

アルフレッドが私の頭を撫でる。

涙を止めたいのにボロボロと溢れてくる。

「うわぁーん」

私は子供のように泣いている。

アルフレッドは、困ったような、どこか嬉しそうな表情をしている。

アルフレッドはしゃがみ、私を抱きしめる。

何も言わずただ、そっと背中を擦りながら。



帰りの馬車、私は泣きつかれたせいか、気づいたら眠っていた。起きた頃にはすでに日は傾いていた。

その日の夜、私はアルフレッドの寝かしつけにより眠りについた。



私は改めて、幸せになろうと決意した。パトリシアの為に。

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