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13 悪役令嬢と王子殿下

色々あったパトリシアの誕生日会も終わった翌朝。


アンナに身支度を整えてもらっていた。

そんなとき、勢いよく扉を叩かれる。

扉を開けると慌てた様子のアルフレッド。

「お父様、どうされました?」

「パトリシア、カイル様がいらっしゃった。」

私は固まってしまう。

エレノアの件もあって、薄々感じてはいた。私が転生したことによって、少しずつ時間の流れが変わっていることに。


「今、応接室に案内したところだから、身支度が整ったらすぐに行きなさい。」

「分かりました」


私は緊張しながら応接室の扉を開けた。

「お待たせしてすみません」

私は頭を下げる。

「顔をあげて、パトリシア」

私は顔をあげる。

「久しぶりだね」

ホワイトブロンドにアメジストの瞳の少年。カイル=ルーク=アルフォード王子、パトリシアと同い年だ。


「お久しぶりです。カイル様お会いできて光栄です。」

「私も会えて嬉しいよ」

カイルが微笑む。こんなに可愛い少年に数年後、殺されるかもしれないと思うと恐ろしい。


「とりあえず、座って話そうか」

私とカイルは向かい合う形でソファに座る。


「それで、今日はどうされました。」

「そうだった、一日遅れてしまったけど、誕生日おめでとう」

スッと小さめの箱をテーブルに乗せられる。

「ありがとうございます」

私はその箱を受け取る。

「開けてみて」

箱を開けるとそこには、小さなアメジストがついたイヤリングだった。

「どうかな?気に入ってもらえると良いんだけど」

カイルが頬を掻きながら笑う。

「素敵なプレゼントをありがとうございます。とても気に入りました。」

私が笑ってみせると、カイルに目を逸らされる。


私の反応が気に入らなかったのかな?どうしよう。

でも、なぜアメジスト?皆は、私の瞳の色の物をプレゼントしてくれた。私はイヤリングを見て固まっている。


「私の瞳の色、君に身に着けて欲しくて」

カイルが私を見つめる。


そうだ、カイルの初恋はパトリシアだった。

アルフレッドと一緒に王宮に行ったパトリシアは、カイルと散歩することになる。カイルはつまらなそうにしていたが、花を見つけるたび無邪気に笑い、一生懸命花の説明するパトリシアの姿を愛らしいと思うようになった。

10歳のときに婚約を申し込むが、その頃にはパトリシアの性格は変わっていた。それでも婚約をした手前、蔑ろにはできないからと月に数回会いに行くが、そんなとき、庭で無邪気に遊んでいるアリシアに一目惚れする。という流れだ。


私が何も反応しなかったからか、カイルは立ち上がった。そして、私の前へ跪くと私の右手の甲にキスをした。

「へ?」

「また会いに来るよ」

カイルは優しい笑みを浮かべ、部屋から出ていく。私は状況を整理するのにいっぱいいっぱいでお見送りをする事ができなかった。


カイルが帰った後、アリシアとセシルとお茶をしていた。

「はぁ」

「ため息なんてめずらしいね」

「少しね」

「お姉様、顔色がよろしくないですわ」

「心配してくれてありがとう、でも大丈夫よ」

私の様子がおかしかったからか、二人が心配してくれた。



「今日はもう大丈夫よ、アンナお休みなさい」

はぁ、緊張やら何やらでどっと疲れた。


婚約者になる前に、アリシアと会わせればいいのでは?でもどうやって?そもそもまだ婚約すると決まったわけではないし。そんな事を考えていたら

扉を叩かれた。

「はーい」

扉を開けると、そこには寝間着のアリシアとセシルがいた。

「どうしたの二人とも」

「やっぱりお姉様が心配で」

「カイル様に会ってから様子がおかしかったから」

幼い二人をこんなにも心配させるなんて、不甲斐ない。

「お姉様が安心して眠れるように、私とお兄様でお姉様を寝かしつけに来たんです」

「え!?」

私ではなくセシルが驚く。

「心配だから様子を見に行くだけだと言っていただろ」

「そうでしたか?」

部屋の前で騒いでいたら侍女が来そうだ。

「二人ともありがとう、今夜は少し冷えるから一緒に寝ましょう」



「お姉様、手を繋いでてあげますね」

「ふふっ、ありがとう」

「ほら、お兄様も」

「…分かったよ」

子供1人が寝るには大きいベッドだったが、流石三人はちょっと狭い。私の左側にアリシア、右側にセシルがいる。

「お姉様、安心てください。私とお兄様がついてますから」

「頼もしいわね」

子供体温が心地良くて、自然と眠気がやってくる。

「何かあったらすぐに言ってね」

セシルが私の手を少し強く握る。

「ありがとう、セシル」


気づいたら眠りについていたようで、目が覚めるとアンナとデイジー、ライラがいた。

そして、アリシアはデイジーに、セシルはライラに叱られている。

「パトリシア様のお部屋に行くなら前もって言ってください。心配したんですよ」

「ごめんなさい」

アリシアはシュンとする。

「セシル様もですよ」

「ごめん」

「二人とも私のために来てくれたの。だからあんまり責めないで」

「そうですよ、二人ともあんなに可愛らしい寝姿を見れたんですからその辺で」

アンナが仲裁に入ってくれ、デイジーとライラがモゴモゴと何か言っている。


なにはともあれ、今はこの時間を楽しもう。



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