12 悪役令嬢と侯爵令嬢
「パトリシア様、おめでとうございます。こちらプレゼントです。」
「パトリシア嬢、本日はお招きいただきありがとうございます。」
はぁ、疲れた。貴族は大変だなぁ
「姉さん、お疲れ様。ドリンクを持ってきたよ」
セシルが、グラスを両手に持ちながらやって来た。子供のなのに気が利くな。
「ありがとう、セシル。主役がこんなに大変だなんて思わなかったわ。」
「そうだね、僕も大変だったよ」
「セシルも?」
「姉さんについて、色々聞いてくる令息達をあしらうのが。」
「私について?」
アリシアならまだしも、なぜ私?
まあ見た目は美少女だから無理もないか。
「姉さんは気にしなくて良いよ」
セシルは、あしらうのに疲れたのかむくれた顔をしている。
「そういえばアリシアがいないわね」
「僕も見てないよ」
始まったときは、確かベアトリスの近くにいたはず。ベアトリスの方に目をやると大人たちと話をしていたが、近くにアリシアはいなかった。
「あなた達いい加減にしなさいよ」
怒鳴り声が聞こえ、私とセシルはそちらへ向かう。
そこには、涙をこらえ震えているアリシアと三人の令嬢。
そして、アプリコットオレンジの縦巻きロール、後頭部にはピンクの大きなリボンを付けた、ローズクォーツの瞳に鋭い目つきの少女がいた。
「アリシア!?何があったの?」
私が慌てて駆け寄る。
「いえ、何でもないですわ。大丈夫ですの」
頑張って笑顔を作ろうとするアリシア。
「セシル、アリシアをお願い。」
セシルがアリシア連れて少し離れたところでなだめてくれている。
「で、何があったか説明していただけますか?」
私は少し威圧を与える。
「い、いや私達は別に」
「そ、そうですよ、何もしていませよ」
「はい」
三人の令嬢はたじろぎ、後退りする。
「いいえ、私はこの目で、この耳で聞きましたわ」
縦巻きロールの少女が、自信満々に話しに加わってきた。
「あなたは?」
「パトリシア様、ご挨拶が遅くなりました。私エレノア=コーデリアですわ」
エレノア?聞いたことがある。でも、小説だともっと後に登場するはず。
エレノア=コーデリアはコーデリア侯爵家の娘、年齢はセシルと同い年。鋭い目つきと高飛車な態度で社交界でも、あまり良い噂のない少女。そんな少女が、謂れのない罪で周りに責められた所を助けたのがアリシアだ。それから二人は親友になり、エレノアはセシルと結婚する。
「エレノア様、お話しをお聞かせください。」
「ええ、彼女達はアリシア様を…侮辱していたのです。」
「私達はそんなことしていません。エレノア様はいつもこうなのです。」
「そうですわ、エレノア様は嘘つきなんです。」
「パトリシア様、信じてください」
この三人の話は聞くまでもない。
「私は嘘などついていませんわ」
エレノアは拳を握りしめ、身体を震わせながら涙声で言う。
「エレノア様、もう良いです。」
「え?」
私がゆっくりと三人の令嬢に近づく
「パトリシア様信じてくださったんで「あなた達は確か、男爵家と子爵家のご令嬢でしたよね」
私は被せて言う。
「はい」
「なら分かるわよね、あなたは公爵家と侯爵家を侮辱したのよ」
「いえ、そんなつもりは」
「そんなつもりは?あら、それはアリシアを侮辱したって認めてるのと同じよね」
「……」
「この話が、ご両親の耳に入れば、あなた達はどうなるのかしらね、食事抜き?それとも課題を増やされるかもしれないわね」
私は大人げないが、意地悪を言う
「も、申し訳ありません」
「ごめんなさい」
「お許しください」
三人が謝る。
「謝る相手が違うのではなくて?」
三人がアリシアのもとへ走る。
「ア、アリシア様、申し訳ありませんでした。」
「ごめんなさい」
「お許しください」
セシルの後ろに隠れていたアリシアは
「分かりました。許します」と言った。
三人はアリシアの許しの言葉を聞き、その場を去ろうとする。
「あら、もう一人謝るべき方がいるのでは?」
私の言葉に三人は、エレノアのもとへ
「「「エレノア様申し訳ありませんでした。」」」
「まあ、今回はパトリシア様のお顔に免じて許して差し上げますわ」
三人はその言葉を聞いたあと走っていった。
「ふぅ、アリシア大丈夫?」
私は一息つきアリシアのもとへ駆け寄る。
「お姉様」
アリシアが私に抱きつく。
私はアリシアの背中を擦る。
「こんな状態でごめんなさい。エレノア様、私の妹を守ってくださりありがとうございました。」
私はエレノアにお礼を言う。
「と、当然のことをしたまでですわ」
エレノアは少し照れながら言う。
まだ子供なのに、自分より幼い子を守るなんて立派だな。
「後日、またご招待させていただきます。お礼をさせてください。」
セシルのためにも仲良くなっておかないとね。




