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10 悪役令嬢の我儘

「お父様、母上お願いがあります。」

セシルとアリシアと、お茶会した翌日。私は朝食の後両親を引き留める。というのも、二人は公務やお客さんが来るとき以外は基本別行動。寝室も勿論別々だ。ここで引き留めないとわざわざ二人を呼びに行く必要がある。


ベアトリスと、パトリシアの母エリザベートは従姉妹だ。ベアトリスの夫が亡くなったとき支えてくれたのが、アルフレッドとエリザベートだった。

そのため二人に恋愛感情はなく、爵位狙いで寄ってくる人達や、再婚を理由に子供を政略結婚の道具にする人達から身を守るためだ。つまり利害が一致したからだ。それを知らなかったパトリシアは、侍女達が話していた、アルフレッドがエリザベートを裏切って他所で子供を作ったという噂を信じ、アルフレッドとも話さなくなるんだよね。


「パトリシア、それでお願いってなんだい?」

ダイニングにから別の部屋に移り、アルフレッドとベアトリスの前に座らされる。

「セシルの、前の家の侍女を連れてくることはできますか?」

「それはどうして?」

ベアトリスが優しく問いかける。

「セシルは、ここでの生活にだいぶ慣れてきたと思います。」

「そうだね、パトリシアとアリシアのおかげだよ」

「それでも、幼い頃からいた人がいないのは寂しいと思うです。」

「私だって、アンナと離ればなれになったら嫌です、もし叶うならずっと一緒にいたいです。」

まあ、難しいのは分かっている。アンナにだってアンナの幸せがある。これはあくまで説得のため。

「でも、それはパトリシアの意見だよね。もしセシルが望んでいなかったら?」

アルフレッドはあくまで諭すように言う。

「お父様は知っていますか?セシルは自分で身支度を整えてるんです。」

「それは自立しようとしているだけでは?」

「違います。セシルはうちの侍女を避けているんです。」

「セシルは前に、お父様に拾って頂いた身で、使用人のようなものだと」

「セシルがそんなことを」

アルフレッドが驚く。今でこそセシルは、アルフレッドを父上、ベアトリスを母上と呼ぶ。その前は公爵様、夫人と呼んでいた。

「慣れてきた今でも、侍女からの世話を避けるんです。」

「でも、セシルは自分で完璧に身支度できているじゃないか。うちの侍女からは必要最低限の世話ができれば良いのでは?」

「それは私が朝食の前に見てあげてるんです。」

シャツのボタンを掛け違えていたり、タイが上手く結べていないなど、部屋に迎えに行くたび直している。

「そうだったんだね、でもね侍女を雇うのもタダじゃないんだよ」

「はい、分かっています」

勿論分かっている、公爵家がお金があっても人を雇うのはそれなりに掛かる。

「だから、私もうお誕生日プレゼントはいりません。」

誕生日会自体をなくすのは、フローレス家の名誉に関わるから、このぐらいが妥当かな。

「そこまでして、セシルの為に」

ベアトリスは目に涙を浮かべている。

「分かった、探してみるよ。でも、見つからない可能性もあることを頭に入れておくんだよ」

「ありがとうございます」

私がお礼を言うと、アルフレッドが手招きをする。

「パトリシア、いつの間にか成長していたんだね。」

アルフレッドの膝に乗せられ、頭を撫でられる。

「パトリシア、あなたはまだ子供なのだから、焦らず、ゆっくり大人になっていきましょう」

ベアトリスに手を握られる。

本当に優しい人だ。



「パトリシア姉さん」

私は授業が終わり、自室へ戻ろうとしていた所、セシルに名前を呼ばれる。走ってきたようで、息が少し上がっている。

「セシル、どうしたの?」

背中を軽く擦ってやると、呼吸を整えたセシルが話す。

「あの、侍女の件ありがとうございます。」

セシルが頭を深々と下げた。

「何のことかしら」

「父上から聞きました。姉さんが、ライラを僕の侍女を連れてくるように頼んだって。」

アルフレッドが言ったようだ、気を使わせたくないのに。

「そう、見つかったのね」

「本当にありがとうございます」

前のように敬語に戻ってるのが気になるけど、アルフレッドと話してからすぐに来たからだろう。

涙目になっている、セシルにハンカチを渡す。

「どうして、僕にここまでしてくれるの?」

私からハンカチを受け取る。

確かに、何で私はアリシアはまだしもセシルに?

「あなたには幸せでいて欲しいからかしら?」

「え!?」

セシルが俯く。

今のはさすがに気持ち悪かったかな。

「それに、アリシアも私の大切な、弟と妹だから」

誤魔化せたかな?

「……それなら、姉さんは?姉さんの幸せは何?」

セシルが顔をあげて、私を真っ直ぐ見つめる。

「…私の大切な人が幸せになって、その幸せを遠くで見守ること…かしら」

あくまでここでの目的は、アリシアとカイルをくっつけることだ。

「それなら、僕がパトリシア姉さんを幸せにする。」

セシルが私の手を握る。

そっか、私の大切な人にはセシルも含まれているからね、セシルの幸せは私の幸せ。


「ありがとう、セシル」


セシルのためにも頑張らないと。

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