表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/13

公爵子息セシル

僕は栄養失調になっていたようで、食事は少量を5回に分けて部屋に配膳される。久しぶりに食べた温かい食事に、涙が出そうになった。


アルフレッド公爵とベアトリス夫人は毎日様子を見に来てくれた。

少しだけお話しをしてくれたり、本を持ってきてくださった。


何日か経った日、僕は窓の方見るとパトリシア様とアリシア様が、庭園で本を読んでいた。

僕の視線に気づいたのか、パトリシア様が僕に手を振る。僕は思わず隠れてしまう。そして、隠れてしまったことに後悔する。

パトリシア様を怒らせてしまったかもしれない。

殴りに来るかもしれない。

その日は、恐怖で眠れなかった。


次の日もお二人は、庭園で本を読んでいた。

その次の日も…



今日から、ベアトリス夫人とアリシア様はご実家に帰るようだ。

パトリシア様がついていかなかったのが不思議だったが僕には関係ないことだ。

と思ってたのに、パトリシア様は僕の部屋にやって来た。

僕は何かされるかもと怯えていたが、殴られることはなく、手を繋いで一緒に庭園に行った。


「あの、それで僕は、何をしたら」

庭の手入れとかかな?やったことないどうしよう

「そうね、じゃあここで深呼吸しましょう」

「深呼吸?」

思わず声に出してしまった。

リラックス効果がどうのって言っていたけど、何で僕と?

その後パトリシアとクッキーを食べた。

久しぶりに食べたお菓子はとても美味しかった。


パトリシアのお気に入りの場所に連れてこられた。

「ここね、ちょうど屋敷の窓からは死角になってるの」

死角って言葉に身体がビクつく、もしかしたらここで殴られるかもと、でもそんなことはなかった。

「ここで好きなだけ泣きなさい」

僕はその言葉で、今まで耐えていたものが溢れてしまった。

無様に泣く僕をパトリシアがそっと抱きしめてくれた。

そして温かい言葉をくれた。


その日、僕とパトリシア様の秘密ができた。



ベアトリス夫人とアリシア様が帰ってこられてかられた翌日。

先日と同様、庭園で本を読んでいた。僕の視線に気づいたパトリシア様が笑顔で手を振ってくれた。僕は嬉しくなって、手を振り返した。パトリシア様はアリシア様と顔を見合わせたあと、アリシア様も手を振ってくれた。

パトリシア様の僕と仲良くなりたいと言う言葉は本当だったことに心が温かくなった。


パトリシア様が僕の部屋にやって来た。

「明日、私とアリシアとお茶しない?」

僕は嬉しかったけど、お二人の邪魔をするのではと不安になった。

パトリシア様はそんなことはないと言ってくれ、明日は迎えに来てくれるそうだ。


「セシル、お庭に行きましょう」

パトリシアが手を差し出してくれ、手を繋いだ。


3人でお茶をして、話をした。


そして、分かったことがあった。

「姉さんとアリシアって、本当の姉妹じゃなかったの?」

衝撃だった。

「ええ、けどそんなに似ている?」

「いや、アル…父上と姉さん、母上とアリシアがそっくりだからてっきり」

「お母様と私は親子ですから」

「私とお父様は血の繋がりのある親子、お父様と母上の再婚で、私はアリシアと姉妹なったの」

姉さんの説明にアリシアはうんうんと頷く。

「そうだったんだ」

「でも、血の繋がりなんて関係ないわよ」

姉さんは笑った。


僕は今とても幸せだ。

血の繋がりのある親戚に虐げられてきたのに、血の繋がりのない家族と楽しい日々を送れている。


フローレス公爵家の一員になれて良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ