9 悪役令嬢とお茶会
相変わらず、6月とは思えないほどの晴天だ。
今日も、庭園でアリシアと本を読んでいる。
「お姉様、明日はお茶しましょう、そして明後日は、書庫に行きましょう。あと、明後日の次は……うんと」
ベアトリスの実家から帰ってきてから、アリシアは前以上に私にべったりだ。
「お姉様に会えなかったのが寂しかったんです。」
なんて、と言っても離れていたのは2日だったんだよね。本当に可愛いな。
「ふふっ、アリシア落ち着いて」
私は読んでいた本を閉じた。
ふと視線を感じ上を見る。セシルだった、私は笑顔で手を振る。すると、セシルは軽く微笑み手を振り返してくれた。
「お姉様?」
アリシアが私の顔見て不思議そうな顔をする。
「アリシア、見てセシルよ。セシルが手を振ってるわ。」
アリシアも、と言って一緒に手を振った。
セシルは、振り返してくれたもののすぐに窓から離れてしまった。
「あの方といつの間に仲良くなられたんですか?」
「仲良くって、まだあまり話したりできてないわ」
私とセシルだけが仲良くなっても仕方ないよね。
「そうだわ、ねぇアリシア明日はセシルも一緒にお茶しましょう。」
アリシアが一瞬シュンとしたように見えた。
「お姉様が言うならそうしましょう。」
私はアリシアの頭を撫でる
「さあ続きを読みましょう。」
私はアリシアと別れたあと、セシルの部屋へ向かう。
「セシル、パトリシアよ」
この前より扉は広めに開けてくれた。
「何か御用ですか?」
怯えた様子はなくなったみたいで安心する。
「良かったら明日、私とアリシアとお茶しない?」
「…僕もいて良いんですか?」
「当然よ」
「……その、お二人はいつも一緒にいるぐらい仲が良いので、僕がいたら迷惑なんじゃ」
徐々に声が小さくなる。
「私はセシルとも、もっと仲良くなりたいし、アリシアとセシルが仲良しになるのも見たいの」
「……分かりました。」
「じゃあ明日迎えに行くわね」
私が手を振ると、セシルも振ってくれた。
「セシル、お庭に行きましょう」
翌日、セシルを迎えに行く。
「はい、今行きます」
セシルは慌てて部屋から出てくる。
「急かしたみたいでごめんなさい。さあ行きましょう」
私が手を差し出すとセシルは手を握ってくれた。
「お姉様」
アリシアはすでに来ていたようで、アンナとデイジーがテーブルにお菓子を並べていた。
「セシルも紅茶で大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「アンナ、お願い」
「かしこまりました。」
私達は椅子に座る。
「アリシア、授業はどう?」
「はい、先生はたまに怖いんですけど、沢山褒めてくださるんです。」
「そう、良かったわね」
「それに、お姉様のことも褒めていらしたんですよ」
「私を?」
「まだ7歳なのに12歳の子がする範囲まで勉強してるって」
「そんな、大したことではないわ」
やばい、新しいことを覚えるのが楽しすぎてそこまで進んでいたとは
「セシルももう少ししたら授業が始まるそうね」
「はい」
「何かあったら言ってね、協力するから」
「ありがとうございます」
うーん、いまいち楽しんでる感じじゃないんだよね。それに敬語、まあアリシアも敬語だけど
「あの、セシル様のことはなんとお呼びしたら良いのでしょう」
アリシアがセシルに聞く
「様付けなんてやめてください。呼び捨てで構いません」
何だかまだ壁を作ってるみたい。
「でも」
アリシアが呟く
「アリシア、お兄様で良いじゃない。私のことはお姉様って呼んでいるんだから」
「そうですわね」
「いや、お兄様は」
「何でですの?」
アリシアは不思議そうな顔をする。
「そうよ、どうして?」
「僕は、その……アルフレッド公爵様に拾って頂いた身で、使用人のようなものだと」
また声が小さくなる
「お父様は家族って言っていたわ、それに私、弟ができたって嬉しかったわ」
「……」
セシルが俯く
「敬語も使わなくて良いし、私のことは好きに呼んでいいわよ」
「……ですが」
「やっぱり急には難しいわよね、気にしないで」
無理させるのは良くないしね
「……パトリシア姉さん」
セシルはまた俯いてしまう。可愛い、思わず笑みが溢れる
「なあに、セシル」
セシルが顔を逸らす、姉さんって呼ぶのが余程恥ずかしかったみたい。
「あ、セシルお兄様照れていらしてるのね」
「て、照れてない」
「お顔が真っ赤になってましてよ」
アリシアは楽しそうに笑う。
「赤くなってない、笑うな」
セシルがムッとする。
その様子がとてもに微笑ましい。
「ふふっ」
「姉さんまで」
「ごめんなさい、2人があまりに可愛くて」
その日から私達は3人はちゃんと“きょうだい”になった。




