03
ドクンと、大きく鼓動が跳ねる。
ーー誰だといっている。
背後から、声が聞こえ、僕は恐る恐る振り返る。
そこにいたのは、頬に血をつけた、銀髪の少女だった。
彼女は、頬に付いた血をぬぐいながら、ゆっくり歩き出す。
僕は、突然の出来事で、頭が追いつかなかった。
気づくと、彼女は腰にかけていた剣を抜き、僕の喉に、剣を向けた。
ーーどうして、ここにいる。
ごくりと喉を鳴らす。
彼女の顔は、怒っているようだった。
僕は無意識に、両手をあげる。
「その、光が見えて、それで……!」
彼女は、すっと剣を降ろし、背を向けて、歩きながら言った。
「子供は、早く家に帰りなさい」
心臓が跳ねる。
家。
そんなものは、僕にはもうなかった。
僕は俯き、手に力を入れる。
「帰る場所なんて、ないです」
彼女は立ち止まる。
僕は感情が抑えきれず、叫ぶ。
「僕にはもう、帰れる場所なんて、どこにもない!」
座り込み、涙が溢れる。
ゆっくりと、足音が近づいてくる。
彼女を怒らせた。
きっと、僕を殺しに来た。
そう思い、目を強く閉じた。
その瞬間。
僕の頭に、暖かい感触が広がった。
ーー泣くな。
その一言に、僕はハッとなる。
ゆっくり顔をあげると、少女が、僕の頭に手を置いていた。
彼女は膝をつき、僕の頭を優しく撫でる。
理解が追いつかなかった。
さっきまで、刃を向けていた僕の頭を、撫でてくれている。
ーーなんで……?
思わず、声が漏れる。
彼女の行動が、今の僕にはわからなかった。
「泣いているのを、見るのが嫌いなだけ」
彼女はそっと手を離し、一歩下がって、口を開く。
「名前は?」
その声に、さっきの怒りは感じられない。
「シオン……。姓は、もうない」
僕は下を向き、力なく答える。
彼女はそっと立ち上がる。
「そう…」
それだけ言って、彼女は歩き出した。
「私はもう行く。だが、その剣には触れるな」
ゆっくり遠ざかる彼女の背中を見つめて、僕は思わず、口が開く。
ーー待って…!
僕が叫んでも、彼女は止まらなかった。
置いていかれる。
また、僕は、見放される。
彼女との距離がどんどん離れていく。
草木に消える背中を、僕は、必死に立ち上がり、彼女の後を追う。
ーーなぜついてくる。
彼女は立ち止まり、そう言った。
僕は、何も言えなかった。
彼女はふたたび、歩き出す。
その後を追おうと、歩きだそうとした。
その瞬間。
足がもつれ、僕はその場に倒れ込む。
どんどんと、彼女との距離が離れていく。
手をぎゅっと握りしめ、涙が溢れだした。
ーー置いていかないで……。
泣きそうな声で、僕はそう言った。
その言葉に、彼女の体はピクっと動き、立ち止まった。
大きなため息をついて、彼女はふたたび、歩き出した。
「好きにして」
僕の鼓動は大きく跳ねる。
拒絶される、そう思っていた。
本当にいいのか?
わからない。
でも、今の僕には、彼女についていくしかなかった。
ゆっくりと立ち上がる。
足を擦りむいたのか、少し痛い。
でも、先へ歩く彼女のもとへと、走り出す。
※子供の表現の仕方がわからなくて、難しくてめっちゃ書き直してます。
※少女は喋り方は大人だけど、感情的になったり、照れたりすると、優しい喋り方になるって設定にしてます。ツンデレみたいな?
この作品は難易度が高い!!
彼女の正体は一体なんなんでしょうか?




