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02

ーー着きました。

声が聞こえ、僕はゆっくりと目を開ける。

どうやら、眠っていたようだ。

目をこすり、背伸びをしてから、馬車を降りる。


夜の空気は、少し冷たかった。

「では、さようなら」

男はそう言って、馬車は来た道を引き返して行った。


「これからどうしよう」

眠ってしまったから、ここがどこだか分からない。

もしかしたら、ものすごく遠い場所まで、連れてこられたかもしれない。

少し不安になるが、息を整え、森を見つめる。

幸い、森の外だから、来た道を戻れば、帰れる。


ーー帰るって、一体どこに?

僕の帰る場所など、どこにもない。

幼いこの体じゃ、街に着くにも、相当時間がかかるだろう。


僕は、ゆっくりと、暗い森へと歩き出す。

「どうせ、帰る場所なんてないんだ」

この森で、静かに生きていこう。

そう思い、僕は森の中へ入る。


森の中は、薄暗く、不気味な雰囲気を漂わせていた。

僕はゴクリと喉を鳴らした。

「これが森……」

巨大な木々が並んでいる。

幼い僕にとっては、小人になったような気分だった。


思わず、進む足が早くなる。

初めての場所に、不安や恐怖はある、だが、それ以上に好奇心が湧いた。

「一人……だもんね」

僕は、森を走り出す。

いつもなら、母に怒られるだろう、でも、僕を怒る人は、もういない。

森の中を、走り回った。


ーードサッ

息を切らしながら、大きく手を広げて、地面に横になる。

月明かりが、僕の顔を照らした。


「綺麗……」

初めて見る夜の空に、僕は見とれていた。

夜は危ないからと、外に出させてもらえなかったのだ。

「サナが見たら、きっと大喜びするな」

力なく笑う、僕の目には、涙が浮かんでいた。


ーー会いたい。


みんなに、もう一度会いたい。

何かの間違いって、嘘だって、言って欲しい。

……でも、父と、母のあの言葉、あれはきっと、嘘なんかじゃない。

月に、そっと、手を伸ばす。


魔力があると分かれば、今頃、家族と楽しく笑っていたんだろうか。

涙を拭き、そっと立ち上がる。

「弱気になっても、仕方ない」

森をふたたび歩き出す。

視界の端で、何かが光ったような気がした。

僕は、光が出た方へと、体を向ける。


木々が生い茂っているだけで、光を放つようなものは何も見当たらない。

しかし、僕はその方向へ、歩き出す。

「何か、ある」

確証は無い、でも、何故かそう思った。

草を分け、まっすぐ進んでいく。


少し歩くと、小さな空間が、姿を見せた。

「ここは……?」

木々が生い茂り、他の場所と、切り離されたような、そんな場所。

なぜだろう、胸が少しだけ、温かく感じる。

ゆっくりと歩き出す、ふと、月明かりが刺した。


ーーあれは……?


空間の中央に、剣が突き刺さっていいる。

僕はゆっくりと近づき、その剣を見つめる。

全体が古く、錆び付いているように見える。


剣……。

今の時代じゃ、使うものは全くいない。

嘲笑の対象が、目の前にある。

「君も、捨てられたのかな」

こんな場所に、たった一つの剣が、刺さっている。

おそらく、誰かがここに置いて行ったんだろう。

境遇は違う、だが、少しだけ、胸が痛くなった。


剣を取ろうと、ゆっくり手を伸ばす。

その時。


ーー誰だ。

声の正体は一体なんでしょう!?

自分で書いててあれなんですけど、シオンがかわいい。

第3話は、明日投稿予定です。

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