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学園生活日記 アゼルマ編

今回はアゼルマ編です!

 2025年/7月18日/金曜日/天気:晴れのち雨。


 今日はただただ眠くて仕方なかった。原因はエポニーヌだ。昨日の夜、エポニーヌの一方的な恋バナに付き合わされたせいで、あたしは結局一睡も出来なかった。


「ねぇアゼルマ!もうすぐ夏休みね!!」


「……そーだね。」


「ねぇ何する!?今年も2人で海行く!?あ!それよりも……コゼット誘いましょうよ!!」


「……はぁ?」


 全ては、エポニーヌのこのトンチキな発言から始まった。


「……何でコゼット?」

 

「何でって…。分かってるでしょアゼルマ!!コゼットを海に誘って、そこで距離を縮めるのよ……!あ、勿論私とコゼットのね?」


「……また無謀なことを…。そんなこと企んでもいい結果にはならないよ。」


 あたしはこのエポニーヌの無謀な作戦を、スマホをいじりながら聞き流していた。


「何ですって!?」


「それに、もしその企みを本当に実行するんなら、あたしは一緒にいかないよ。」


「えぇ!?何でよ!?」


「……はぁ…。あのねぇ。エポニーヌがコゼットと距離縮めたいんなら、2人で行けばいいじゃん。あたしいらないっしょ?ってか、逆に邪魔にならない?」


 あたしはスマホを置いて、エポニーヌに向き直る。


「……そんなことないわよ!!だって……。」


「だって……?」


「……アゼルマいなかったら、私何するか分からないもん……。」


「……はぁ!?」


 あたしがいなかったら一体何をするつもりなのかと、あたしは一瞬怖くなった。そうだ。エポニーヌは本来こう言うやつなんだ。前に、エポニーヌの幻惑の能力を使って、コゼットつけ回した時もそうだった。あんなトンチキな作戦に、あたしよく付き合ったな。と、今思う。


「とにかく!!アゼルマいないと会話もたないし!アゼルマの方がコゼットと仲良いでしょ!?ねぇお願いよ!力を貸して~!!」


 エポニーヌにブンブン肩を揺すられて、少し気持ち悪くなった。


「……あぁもうめんどくせー!何なんだよ!!そもそも!エポニーヌ面と向かってコゼットに一緒に海行こうって言えるの!?」


 あたしがそう言った瞬間に、エポニーヌは固まった。


「……アゼルマ手伝って。」


「……ほらな。……ってか、本当に誘うの?」


「勿論よ!コゼットと一緒に海に行って、この夏は恋人として回りが羨ましがるくらいラブラブになってやるんだから!!だからアゼルマ!!ちゃんと手伝いなさいよね!!勿論、当日、アゼルマも来るのよ!!親友として、私の恋を実らせるのを見守ってちょうだい!」


「手伝ってもらいたいのか見守ってほしいのかどっちなんだよ。」


 それから、夜中。エポニーヌの変な妄想話は、長々と続いた。


「それでね?結婚したら、エスカロッティの街の噴水広場の近くに可愛い家を立てて2人で住むの!子供は……そうねぇ……。コゼットに似た可愛い男の子が欲しいわ!」


「早い早い。早いって。何でもう結婚までいってるんだよ。付き合ってもないのに。」


「バカねアゼルマ!いつか絶対そうなるのよ!」


「じゃあ本当にその未来が来るかどうか、今度アンに見てもらったら?」


「嫌よ!アンは怪しいもの!」


「何で!」


「だって、コゼットとあんなに親しいし、それにダイアナ!あの娘もコゼットと距離近いのよ!なんだかいつもつるんでる感じじゃない!ホントやめて欲しいわ!」


「恋する乙女の暴走を止めるのがあたしの仕事じゃないけどさ、あえて親友の立場から言わせてもらうと、別にコゼットが誰と交友関係持ってもいいじゃん。」


「い、いいえ!ダメよ!アンとダイアナは明らかに怪しいわよ!絶対あの娘達もコゼットが好きなんだわ!」


「絶対違う!!」


 こんな感じで、あたしは一晩中エポニーヌの一方的な恋バナに付き合わされ、気付けば、朝になっていた。


「……今日休みじゃないのに……。」


「あれ~?アゼルマ、寝不足?」


「うるせぇ。誰のせいだと思ってんだ。」


「アゼルマって機嫌悪いと途端に口悪くなるわよね?」


「だから誰のせいだよ。ってかお前はいつ寝たんだよ。」


 同じ時間まで起きていたくせに、エポニーヌは平気そうだった。それが何かものすごくムカついた。


「さぁ!準備して学校行くわよ!」


「……はいはい。」


 あたし達は準備をすると、学食に朝食を食べに行った。そこにはコゼットがもう来ていて、周りにはいつものメンバーが集まっていた。


「…ほら見なさい!やっぱりアンとダイアナがいるわ!」


「だからアンとダイアナはコゼットのこと恋愛的な意味で好きじゃないって……。」


「……まぁいいわ!最後に選ばれるのはこの私よ!行くわよアゼルマ!作戦決行よ!」


「……わかりましたよ……。」


 エポニーヌはおもむろにコゼット達の方に歩いていき、あたしも後を追う。


「あれ?エポニーヌ、アゼルマ。おはよう。」


「おはようコゼット!」

 

「おはよ……。」


「あれ?アゼルマ寝不足?目の下のクマすごいよ?」


「……あぁ…気にしないで。大丈夫だから……。」


 コゼットの優しい気遣いにあたしはひらひらと手を振る。


「ところでねぇコゼット!夏休みのことなんだけど……私達と海に行かない?毎年アゼルマと一緒に行ってるんだけど、今年はあんたも誘ってあげるわ?光栄に思いなさいよ?」


 エポニーヌの申し出に、コゼットは少し申し訳なさそうに笑う。


「……あ…お誘いは嬉しいんだけど……。ごめんね。僕ら、もう先にみんなで海行く約束しちゃったんだ……。」


「……え、ええ!!??」


「ダイアナの叔父さんが海に別荘持ってるみたいで、そこにみんなで泊まりに行くことになったんだ。」


「みんなで花火やるんだぜ!!打ち上げ花火やるだろ!?なぁ!!」


「花火と一緒にお前打ち上げてやるよネロ。」


「…は、はぁ!?なんだよラビニア!やる気か?」


「スイカ持っていって食べよ~ね~。あ、ラビニー、スイカ割り一発で出来るって言ってたけど、そんなことしたらスイカがかわいそうだからやっちゃダメだよ?」


「お前醍醐味を切り捨てるようなことを言うなよグリンダ……。」


「…馬鹿と一緒なのは気乗りしないけど…みんなでお泊まりは楽しそうだものね…。ダイアナもお姉様も一緒だし…。それに、ジョオ姉様もいらっしゃるのよね?ダイアナ?」


「ええ。姉様、楽しみにしてたわ。特に、コゼットには初めて会うからって!」


「本当?僕も楽しみだなぁ、お姉さん2年生なんだろ?」


「そうだよ~。ジョオはあたしの親友なの。」


「グリンダの親友で、ダイアナのお姉さんなら、安心だなぁ…。」


 完全に、エポニーヌはおいてけぼり状態になってしまった。


「あ、エポニーヌ達も来る?いいよね、ダイアナ。」


「ええ。人数多い方が楽しそうだものね。」


「……結構よ!!行くわよ!アゼルマ!!」


 案の定エポニーヌはキレてしまい、作戦は失敗に終わった。


「……あ、エポニーヌ!!」


「…どうしたんだろうエポニーヌ…。」


「ツンデレって、見てて楽しいね~。」


「やめろグリンダ。」


「まぁまぁ、でも、何でエポニーヌ怒って行っちまったんだろうな。来ればいいのに……。」


「…アゼルマ。あなたはどうする?」


「……このまま行ったらエポニーヌに恨まれそうだからやめとくわ。」


 あたしはエポニーヌの所に戻った。


「…もうツンデレはやめなよ。」


「うるっさいわね!!アゼルマ!海は2人で行くわよ!」


「……最初っからそうしとけばこんな面倒なことにならなかったのに……。」


 あたしは思った。きっと、この夏もエポニーヌに悩まされるだろうと。まぁ、何にせよ、夏休みは楽しみだから、今から色々計画を立てようと思う。

次の日記をお楽しみに!

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