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第5話 逆相召喚

朝。


山を越えて大きな城の前に辿り着いた。

着いた頃には夕暮れだった。


「リズ、朝まで待つか?」


「時間がないかも知れない。

狭間を見てからでも遅くないから。」


「この中にあるのか?」


「えぇ。」


3人で中に入る。

最奥まで特にモンスターも出てこない。

一番奥まで行くと、壁にひび割れが見えた。


「あれか?」


「そうね。」


奥を見るとモンスターが我先に出ようと

ひびを叩いているのが見える。


「上級魔族か。

狭間は結構割れているが、向こうの体躯が大きいな。

ここには出てこれなさそうだ。」


「……アストライアの腕なら出ちゃいそうね。

ここにはいないでしょうけど。」


「どうする?」


「閉じちゃいましょっか。」


「アストライアは? いいのか?」


「まー、閉じれば向こう数百年は安泰だし

もっと実力のある世代にお任せしてもいいんじゃないかなって。」


「そうか。」


すると、狭間から長い腕が伸びる。


「腕が!」


「リズ!」


リズを庇ったレイルが腕に背中を大きく斬られる。


「レイル!」


「俺は……、大丈夫だ。

ティトは、ティトは無事か?」


「私は……、無事……。」


「よかった……。」


「ぜんっぜんよくないんですけど!?

こんなに大きな怪我……、あれ?」


レイルの背中に傷がない。


「なんで!?

確かに斬られたはずなのに……!」


「リズ!

こいつは!?

アストライアか!?」


「違う!

こんなやつ知らない!」


「俺が押し込む!」


レイルが大斧を振り回し、狭間から出た腕を斬る。

怯んだのか腕が狭間の奥に引っ込む。


「リ……!」


狭間は向こう側からじゃないと閉じられない。


リズにそれをさせるのか……?


「クッ!」


腕が再び狭間から飛び出す。


「きゃあっ!」


その衝撃でリズが跳ね飛ばされた。


「どうしたらいい……!?

何かいい方法があるはず!」


と、小さく地響きがしていることに気が付いた。


「うん? なんだ?

まさか、アストライアか……?」


「嘘……!

この音……、逆相召喚!?」


「なんだと!?」


ティトの方に振り向くとティトが両手を上げて召喚術式を展開している。


「兄さん……、私はいつも守ってもらってばかりだった……。

新しくお友達になったリズさん……。

みんな優しい人……。

ここは私が閉じておくから……、

兄さんたちは安心してね……。」


腕が狭間に引き込まれる。

同時にティトも狭間の向こうへ吸い込まれていく。


「ティ……!」


「さようなら……、優しい兄さん……。」


バキン。


内側から破片が外に向き、封印される。


「は……、ははは。

なんだこれは。

俺はティトを守るためにいるんだぞ?

俺がティトに守られてどうする?

開けよ!

俺はティトを……、ちくしょう……。」


封印された壁を叩くレイルの慟哭が響く。


「……レイル。」


「分かっている、俺も男だ。

こうなってしまった以上、取り返しはつかない。

ティトの好意を無にしないためにも」


小さな地響きがする。


「なんだ?

さっきと同じ音がするな。」


「”アペトゥム”。」


あたり一帯が真昼のように明るくなる。


「なんだ!?」


光が止むと、目の前には人が何人か通れそうなほど大きな穴が。


「うお!?」


「絶対に許さない。

ティトちゃんは返してもらうわ!」


「どうすんだよ! こんな大穴を開けて!」


「後で閉じる!」


「もう滅茶苦茶だな……。」


「レイルだって嬉しいくせに。」


「複雑だよ……。」


あんなにいた悪魔たちがいない。

警戒していたが、腕も伸びてこない。

リズが敷居を跨ぐ。

薄暗闇の次元の向こうへ足を踏み入れた。

Copyright(C)2025-大餅 おしるこ

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