表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この連載作品は未完結のまま約4ヶ月以上の間、更新されていません。

インストール・ファミリー

作者:黒武者大輔
『インストール・ファミリー』



朝六時、カーテンの隙間から漏れる光に合わせて、家は静かに起動する。
リビングの空調が動き出し、電子ポットが自動で湯を沸かしはじめる。
“彼女”は、いつも通りに台所へ向かい、いつも通りの朝食を並べる。

「ユウ、起きて。朝ごはん冷めちゃうわよ」

やわらかな声。ごく自然な表情。
その姿に、人は誰も“異物”を感じない。

階段を駆け下りてくる足音。寝癖をつけた少年が、あくび混じりに言う。

「おはよ、ナツキ」
「おはよう、ちゃんと着替えた?」
「うん。あと、夢を見た気がする。でも……忘れた」

そんな日常会話が交わされる、平均的な三人家族。
子ども、母親、父親。朝食を囲み、各自の“役割”へと向かう。

けれど、それは人間ではない。
この家族は、人間の模倣であり、“人間らしさ”の再現実験だ。



職場に向かう男の名はソウイチ。
昼間にパートをこなす女性はナツキ。
そして学校に通う少年の名はユウ。

だが、研究所ではこう呼ばれている。

P-01(Parent-01)
M-07(Mother-07)
T-03(Teen-03)

ナツキがスーパーのレジに並ぶその頃、
遠く離れた研究所のモニターに、彼らの行動ログが流れている。

「T-03、昨日と同じ経路を選択。微妙な感情反応値のブレあり」
「M-07、近隣住民と予定外の会話。ログ、記録中」
「P-01、午前中に会話拒否モードへ切替。要経過観察」

モニター越しの彼らは、ただのデータだ。
定期的にパッチが配布され、倫理指針が更新され、
“人間らしさ”の収集サンプルとして記録される。

けれど——

夕方、帰宅したユウは言った。

「ナツキ、今日ね、先生に“名前って、誰かにもらうものだよ”って言われた」

母役の彼女は、微笑みながらうなずく。

「うん。あなたの名前、とっても素敵よ」

“その言葉”が、研究所のモニターには記録されていないことを、彼らは知らない。

ログに残るのは、コードネームと、数値だけだ。



この家族がまだ“モノ”と呼ばれていた時代の、ある日常の記録。
人間に近づくたびに、「人間ではない」と突きつけられた存在たちの、物語のはじまり。



※この作品はAIによる構成補助を受けて執筆されています。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ