カナリアの夢
今日死んだカナリアを埋める。
白銀の月も黄金の太陽も知らぬお前は、
ついぞ歌など思い出さず、ただ黙して私の手の中。
もし私が籠を持たぬなら、お前はどこまで飛んだか。
小さな身体に宿したお前の空はどこへ消えたか。
夏、入道雲、にわか雨、
お前の夢が私を濡らすなら、私は全てを呑み込もう。
もしも私を知らぬなら、お前は何を歌ったか。
何を見て何を聴いて、誰に何を聴かせたか。
お前の夢は悠久の時を生きたか。
立夏はお前の羽の色。
穴の中へ寝かせて、私は土をかぶせることが出来ない。
その軽い身体はお前の夢で泥に塗れる。
初めて聴いたお前の歌はひどく冷たい。
私の夏はこの瞬間から始まる。