#64:幻の温泉を見つけたところで険しい帰り道が待っているに違いない
最近何かと物騒な音がするフランチェスカ学園であるが、何故かここ数日は平和な日々が続いていた。
華佗「一刀、平和なのはいいんだが何か忘れてないか?」
一刀「そういえば最近騒動の大本がいないような┅」
一刀が考えると
一刀「そうか! 及川が入院してるからだよ!」
及川は前回恋によってチ〇コが千切れるくらいにまで引っ張られたせいで入院していた。
華佗「そういえばそうだよな」
一刀「まさかあいつが入院するだなんてな」
しかし、学園が平和なのは及川がいないだけではなかった。
更に騒動の大本がいないのだから┅
場所は変わり、ここは吹雪が吹く雪山
この場所にて
麗羽「さぁ、何としてでも見つけますわよ!」
麗羽一行がいた。
斗詩「麗羽様、もう帰りましょうよ!?」
真直「学園はどうするんですか!?」
麗羽「お黙りなさい! 見つけるまで帰らせませんからね!」
麗羽の側近も大変であった。
猪々子「なぁ斗詩、真直、そもそも何であたしら冬に雪山に来てるんだっけ?」
斗詩「えぇと、確か┅」
数日前、華琳が皆を温泉旅行に招待した際
麗羽「おーほっほっほっ! 誰が華琳さんの主催する温泉旅行に行くものですか。わたくしはわたくしで温泉旅行を満喫しますわ。それでは行きますわよ」
猪々子「へ~い」
斗詩「何だか嫌な予感がするなぁ」
真直「これも麗羽様に仕えるものの運命というものですね」
麗羽は側近三人を連れて温泉旅行に参加せず、自力で温泉旅行に向かった。
※詳しくは60話参照
しかし、ただの温泉旅行で麗羽が満足するはずがなく
猪々子「麗羽様、幻の温泉の地図を見つけました!」
麗羽「幻の温泉ですって、ならそこに向かいますわよ!」
側近三人を連れて幻の温泉を探しに向かったのだが、それから数日後、いまだに温泉は見つけられずにいた。
斗詩「帰った時、留年なんてやだよ~!?」
真直「軍師として留年なんて恥です~!?」
猪々子「心配すんなって、留年阻止するために補習受ければいいんだからさ」
それもそれで問題であった。
麗羽「あなた達、何をさっきからぶつぶつ言ってますの! 早く温泉を見つけますわよ!」
三人「「「はぁ~い」」」
そんな三人の心を知らず温泉探しに夢中な麗羽であった。
斗詩「大体文ちゃんがあんな地図を見つけるからこんな目に遭っちゃうんだよ」
真直「どうしてくれるんですか!」
猪々子「ごめんなさい!?」
さすがに反省する猪々子
すると
猪々子「なぁ、こうなったら麗羽様を見捨ててあたいらだけで下山しないか?」
猪々子が麗羽に聞こえないようとんでもない提案をしてきた。
斗詩「そんな!? 麗羽様を置いてくって言うの!?」
真直「バレたら麗羽様の母親様からお仕置きだけでなく私達の親の危機ですよ!?」
斗詩達の親は麗羽の母の会社の役員である。
猪々子「麗羽のかあちゃんには麗羽様が行方不明になったとでも言えばいいじゃん。このまま付き添ってたらあたいらまでマジで留年の危機だぜ」
この猪々子の提案した悪魔の囁きに
斗詩「でも┅」
真直「しかし┅!?」
基本善人である二人の天秤が揺らいだその時!
麗羽「ありましたわ!」
麗羽の声が響いてきた。
猪々子「あったって何がですか麗羽様!?」
驚いた猪々子達が麗羽に近づくと
麗羽「温泉に決まってるじゃありませんの! ほらあそこ!」
麗羽が指を指した場所には
もやぁっ!
数メートル先だが確かに温泉独特の湯気が見えた。
猪々子「あれって幻とか蜃気楼じゃないよな!?」
真直「猪々子、雪山に蜃気楼なんて発生しませんよ」
斗詩「ということは本当に温泉!?」
麗羽だけでなく斗詩達にも見えているのだから幻ではないらしい
麗羽「きっとあれが幻の温泉に違いありませんわ! 早速入りに行きますわよ!」
ダッ!
すると温泉を見つけた麗羽は
ぽいぽいっ!
走りながら服を脱いでいった。
猪々子「ちょっと麗羽様!? 誰も見てないからって服を脱ぐだなんて!?」
斗詩「雪山で裸になったら死にますよ!?」
麗羽「すぐ温泉に入れば大丈夫ですわ!」
そう言って下着姿になった麗羽は
ぽいぽいっ!
ブラとパンツを脱ぎ捨て
麗羽「そうれっ!」
バシャンッ!
温泉に飛び込んだ。
麗羽「ぷはぁ、いいお湯ですわ♪」
温泉を満喫する麗羽を見て
猪々子「斗詩、真直、あたいらも入りに行こうぜ!」
ぽいっ┅
麗羽のように服を脱ごうとする猪々子であったが
斗詩「文ちゃん、私達は脱がなくてもいいじゃん!」
猪々子「そういやそうだ」
斗詩に止められた。
すると
真直「あれ? 麗羽様の隣に誰かいるように見えるんですが?」
真直が麗羽の隣に誰かいるのを見つけた。
一方
麗羽「あら先客がいましたの、ここはわたくし達専用ですから出ていきなさい!」
ぐいっ!
麗羽は先に入っていたにもかかわらず温泉を独り占めしようと先客を押すが
麗羽「あら、毛深い人ですわね」
押した手の感触が毛深いと感じ
吹雪が少し止むとそこには┅
ウガッ?
バァンッ!!
大きな熊がいた。
麗羽「く┅熊ーっ!?」
熊が目の前にいることに気付き大声を出す麗羽
そしてその声は猪々子達にも響き
猪々子「熊だって!? 斗詩、死んだフリだ!?」
斗詩「距離が離れてるんだからする必要ないでしょ!?」
大体熊に死んだフリは現在でも逆効果である。
麗羽「く┅熊がいるなんて聞いていませんわ!?」
温泉から出ようとする麗羽であったが
麗羽「あっ!?」
ここで麗羽は気付いてしまった。
麗羽「服が!?」
自分が服を脱ぎながら温泉まで来てしまったことを
吹雪が吹くなか、裸で走れば凍死はほぼ確実
それより先に熊の速度に麗羽が敵うわけもなく熊に食われる
側近達は熊にビビって助けにこられず
という絶望的な状況のなか
麗羽「(こうなったら助けが来るまで何時間、何日でも待ちますわ! わたくしは学園の人気者ですもの、きっと今ごろ捜索隊が来てるに違いありませんもの)」
温泉の中で耐える麗羽であったが
学園では
一刀「いや、及川じゃなくて何か忘れてるような┅、そういや、俺ってば日直だったっけ!?」
誰も麗羽の存在に気付いておらず、その結果、麗羽は熊が冬眠するまで更に数日粘ったものの、湯中りした挙げ句、体がふやけまくるのだった。
麗羽「(何で助けが来ませんの!?)」
三人「「「麗羽様!?」」」
その後、麗羽は側近三人の手によって下山するのだった。




