#50:普段体を動かしたことのないアイドルがプロレスをやると必ず筋肉痛になる
突然海外から戻ってきた張三姉妹の母である平和は三姉妹を海外に連れていこうとするも一刀と離れたくない三人はこれを拒否し、どうしても三姉妹を海外に連れていきたい平和は三姉妹に戦いを挑むのだった。
そして場は武道場へと変わり
陳琳「さぁ皆さん、世紀の戦いがいま始まろうとしております! それではまずは選手の紹介といきましょう」
実況解説役の陳琳が言うと
陳琳「まずは赤コーナー! 張三姉妹のお母さん。張 平和選手の入場です!」
平和「ヘーイッ!」
服をプロレスのようなコスチュームに着替えた平和はリングに立った。
陳琳「続きまして青コーナー! 連れ戻そうとする母を止められるのか!? 張三姉妹の入場です!」
陳琳が言うと
天和「どうも~♪」
地和「やるからには勝つわよ!」
人和「負けるわけにはいきません!」
こちらもプロレスのコスチュームに着替えた張三姉妹が現れた。
陳琳「ルールは簡単。いまから平和と張三姉妹による無制限プロレスバトルを開始し、相手選手を全員KOした方の勝ちとなります」
つまり平和の場合は天和達三人倒さなければならない
大人と子供の戦いとはいえ一対三では張三姉妹に有利かと思いきやそうもいかない
何故なら三姉妹の母である平和はスタントマン無しでアクションを行えるほどの武闘派、普通じゃ三姉妹が勝てるわけがないのだ。
わぁーわぁーっ!!
陳琳「それでは観客達も大いに盛り上がってきたところでいよいよ試合開始です┅」
と、陳琳が試合開始を宣言しようとしたその時
地和「待った!」
地和が待ったをかけた。
陳琳「どうかしましたか?」
地和「どうかしましたか? じゃないわよ! 何で観客が男子しかいないのよ!」
そう。地和の言うように会場にいる観客は男子ばかりで女子はモブくらいしかいなかった。
地和「桃香は? 華琳は? 蓮華は? 一体何処行ったのよ!」
地和が叫ぶその桃香達はというと
桃香「もう一刀くんったら、風邪で休んでるなら連絡してよね」
華琳「私が治療してあげるから安心なさい」
蓮華「ほら、私が用意した雷魚で作ったお粥だぞ!」
何処からか一刀が風邪で寝込んでいることを知り、桃香達は男子寮に集まり、側近達も桃香達のことが心配で集まっていた。
そのため張三姉妹の現状を知らないのだった。
陳琳「それでは気を取り直して試合開始です!」
カァーーンッ!
陳琳が勢いよくゴングを鳴らすと
平和「ヘイ、カモン娘達! 誰から来る? いっそのこと三人がかりでも構わないわよ」
平和が三人を挑発すると
天和「ママったら、いつまでも私達は子供じゃないもん! 今日こそはその高い鼻を折ってあげるんだから!」
バッ!
まずは天和が向かっていき
天和「うおりゃーっ!」
平和に掴みかかろうと向かうが
パシッ!
天和「えっ?」
平和は天和の手を軽く掴むと
平和「天和、まさかあなたが一番に攻めてくるだなんてね。だけどあなたでは勝負にならないわ!」
めきめきぃっ!
そのまま天和を倒して腕ひしぎ十字固めを繰り出した。
天和「痛い!? 痛い!? 腕が折れちゃう~!?」
バンバンッ!
柔道のごとくリングを叩きまくる天和だが、これはプロレスなため解放されなかった。
地和「何やってるのよ姉さん!」
タッチ!
見かねた地和が天和とタッチし
地和「隙ありよママ!」
バッ!
平和が天和を痛め付けている間にドロップキックを繰り出す地和
だが
パシッ!
地和「えっ?」
平和は天和を解放した後、向かってきた地和の両足を掴むと
平和「地和、あなたは姉妹の中でも運動派だったわね。だけどママはあなたよりも多く運動してるのよ!」
ブォンブォンッ!!
地和「いやぁーっ!? 目が回るーっ!?」
そのまま地和をジャイアントスイングで回しまくり
平和「てぇいっ!」
パッ!
地和「ぎゃんっ!?」
人和「えっ!?」
そのまま地和を人和のいる方向へ投げた。
平和「どうする人和? 怖いなら戦わなくていいのよ」
平和が人和を挑発してきた。
普段の人和ならば争い事を避けてギブアップするのだろうが
人和「私を今までの臆病者だと思わないでください!」
バッ!
人和は向かっていき
サッ!
平和に体当たりする直前で曲がり、背後に回ると
ガシッ!
そのままバックドロップを繰り出そうとした。
人和「(私の知識によるとバックドロップは小柄な人でも大柄な相手を倒せるプロレス技、これが決まればママとて┅)」
ところが
平和「人和、まさかあなたまで私に歯向かうだなんてね。確かに決まればいいけれど┅」
ぐぐっ!
平和は力を込め
平和「逆に反撃を食らいやすいのよね!」
ドシャァッ!!
人和「ぐえっ!?」
人和の力が足りず、逆に押し潰されてしまった。
その後も三姉妹は果敢に母に挑みかかるが
平和「甘ーい!」
ドドンッ!!
次々と返り討ちにあってしまった。
天和「もうダメェ!?」
地和「ママったら強すぎよ!?」
人和「本当に元とはいえアイドルなんですか!?」
母の実力を前に諦めかける三姉妹であったが
平和「フフッ、もう諦めて降参なさい。そして私と海外に行くのよ!」
と平和が言うと
天和「それは嫌っ!」
地和「海外には行きたくない!」
人和「今は大事な時期ですし」
三姉妹は痛む体に鞭を打ち、立ち上がった。
平和「どうしてなの? 海外にいけばあなた達は世界どころか地球一のアイドルになれるというのに、昔から一番のアイドルになるのがあなた達の夢だったじゃない!」
母の問いに対し娘達は
天和「確かにそうだけど」
地和「海外ならいつでもいける」
人和「ですが┅」
三人「「「女の戦いは今しかできないの!」」」
三人はこのまま海外に行くと帰った時には一刀が誰かの婿になっているかもしれない
それが嫌なのだ。
平和「まぁいいわ。なら少しは痛め付けてやらないと言うことを聞いてくれなさそうね」
平和がズンズンと近づいてくるなか
天和「ママが迫ってくるよ!?」
地和「一体どうすればいいの!?」
と、その時!
人和「姉さん達、耳を貸して」
人和が何かに閃き、姉二人の耳にひそひそと声を出すと
天和「できるかなぁ?」
地和「できなくてもやらなきゃ敗けは確実でしょ!」
人和「それでは行きましょう」
すると
ババッ!
地和と人和が天和から離れ二手に分かれると
天和「やぁーっ!」
ガシッ!!
天和が平和に抱きついた。
平和「何を狙っているかは知らないけど私を倒すなんて不可能なのよ!」
ところがだ。
地和「私達を!」
人和「甘く見ないでください!」
ガシッ!!
平和「へっ?」
すかさず地和と人和が平和の横に抱きつき
三人「「「そいやぁーっ!」」」
バッ!
三人は渾身の力を出して平和に抱きついたまま高く飛び上がると
ガシッ! ガシッ!
平和の頭をリングに向けるようにし、地和と人和が平和の両腕を押さえ、天和が平和に対してパイルドライバーのような形にした。
その直後
三人「「「トライアングル・ラブドライバー!」」」
ドオォーーンッ!!
ドシャァッ!!
三人は平和をリングに叩きつけた。
もちろんパイルドライバーを食らったところで倒せるはずがないのだが
平和「きゅ~っ┅」
平和は体力が尽きて倒れてしまい、その瞬間!
陳琳「おぉーっと、これは誰が予想したでしょうか!? まさかの張三姉妹のKO勝ち! ここで試合終了です!」
カカカァーーンッ!!
平和が気を失って倒れたことで張三姉妹の勝利が宣言された。
天和「やったーっ!」
地和「あのママに勝てたわよ!」
人和「やりましたね」
母に勝てて喜ぶ三人であったが
平和「(三人がかりでくるだなんて少しは成長したみたいね)」
実は平和は気を失ったフリをしており、三姉妹の成長を喜んでいた。
その後
天和「ママ、本当に行っちゃうの?」
地和「少しはゆっくりしておけばいいのに」
敗北後、すぐに学園を去ろうとする母を止める三人であったが
平和「私はまだ海外で仕事が残ってるしね。それにあなた達のことなら心配は無さそうだし、ママは嬉しいわ」
人和「ママ┅」
一刀のことがなければ一緒に海外に行っていた未来があったのかもしれない
平和「それじゃあね娘達、ママは海外で待ってるから用件が済んだらあなた達も来るのよ!」
こうして平和は日本から去っていった。
天和「やっぱりママは強かったね」
地和「まだまだちぃ達も鍛練が必要だわ」
人和「明日からレッスン再開ですね」
明日から頑張ろうと意気込む三人であったが
翌日
天和「痛い!? 痛い!?」
地和「体中がバキバキするーっ!?」
人和「痛くて動けそうにありません!?」
昨日、あれだけ動き回ったからなのか筋肉痛に苦しむ三姉妹であった。
ちなみに
一刀「俺、復活! でも今日は三姉妹が休みか」
一刀の風邪は回復したが張三姉妹が休んだ理由を知らない一刀であった。