#47:デートの約束は最初にしておかないと抜け駆けされる恐れがある
季節は秋、フランチェスカ学園ではあることが話題となっていた。
それは┅
『剣道部、県大会出場!』
一刀が所属する剣道部が県大会進出を決めたのだ。
フランチェスカ学園は女子の方が実力があり、女子の方は多くの大会に出ているのだが男子の方は県大会どころか地区大会初戦で敗退するレベルである。
そんななか、男子である一刀が所属する剣道部が県大会進出を決めたのだからそれなりのニュースとなった。
そして
天和「フンフ~ンッ♪ 一刀ったら剣道部頑張ったようだし、ご褒美として遊園地デートに誘っちゃおっと♪」
そう言う天和の手には話題のテーマパーク『洛陽ランド』のチケットが二枚あった。
ややスキップしながら一刀のいる男子寮に向かう天和であったが
その道中にて
地和「姉さん!?」
天和「ちぃちゃん!?」
地和とばったり会ってしまった。
しかも地和の手には
天和「ちぃちゃん、それって洛陽ランドのチケット┅」
地和「こ┅これは最近一刀が頑張ってるようだからご褒美としてちぃがデートしてあげようってわけよ!?」
どうやら姉妹、考えていることは同じなようで
天和「ちぃちゃんはダメだよ! そういうのはやっぱり姉である私がやらないとねぇ♪」
地和「あっ、こら姉さん!」
地和を出し抜き、男子寮に向かう天和
しかし、天和は運動面では地和に劣ってしまうためすぐに並ばれてしまった。
天和「私が行くの~!」
地和「ちぃに任せなさい~!」
二人がいがみ合いながらも男子寮に着いたその時
人和「そうですか、ありがとうございます」
月「いえいえ」
男子寮の前にて人和が男子寮管理人である月と話をしていた。
そしてもちろん人和の手には洛陽ランドのチケットがあったのだった。
天和「人和ちゃん!?」
地和「ちょっとあんた、何抜け駆けしてるのよ!」
二人は抜け駆けした人和を責めるが
人和「姉さん達、先手必勝って言葉を知らないの?」
地和「なぁっ!?」
天和「ムカつくーっ!!」
人和は二人を馬鹿にするかのような態度をとるのだった。
人和「まぁ、私も先を越されちゃいましたけどね」
天和「えっ?」
地和「それってどういうことよ?」
地和が月に聞くと
月「一刀さんでしたら、今日は剣道部の皆さんと一緒に洛陽ランドへ出掛けているそうです」
月からの話を聞き
地和「何ですってーっ!!」
天和「ずるいよ一刀ーっ!!」
月「へぅっ!?」
二人は怒り狂い、そんな二人を見て怯える月であったが
人和「一刀さん、帰ってきたらお仕置きが必要なようですね」
実は人和も少し怒るなか
当の本人である一刀はというと
バァンッ!!
剣道部のメンバーと共に洛陽ランドに来ていた。
その理由は┅
如耶「諸君、剣道部県大会出場を感謝する。ご褒美として今日1日羽を伸ばすがよい」
部長であり、一刀の憧れの存在である不動先輩の提案であった。
一刀「(まさか不動先輩と遊園地デートができるだなんて!? 神様、感謝しております!)」
日頃から神様に対して恨み言や覚悟しろよと言っている一刀も今日ばかりは神様に感謝するしかなかった。
しかし、遊園地デートといってももちろん二人きりというわけではなく
真桜「あ~りゃ完全にウチらのこと見とらんな」
沙和「こんなにかわいい女の子がいるのに見向きもしないなんてダメ野郎なの!」
同じ剣道部の真桜と沙和
真桜「まぁ、回りを見てへんのはあの二人もそうやけどな」
真桜が見つめる先には
愛紗「(最初は薙刀部に入ろうかと思ったが一刀殿と同じ剣道部に所属してよかった! まさか一刀殿と遊園地デートができるだなんて!)」
凪「(空手部ではなく先輩のいる剣道部に入部してよかった! まさか先輩と遊園地デートができるだなんて!)」
一刀と同じく回りを見ていない同じ剣道部所属の愛紗と凪であった。
如耶「さて、皆にはそれぞれ楽しんでもらおうと思ったが折角六人いるのだから二人ずつのペアに分かれて楽しもうではないか」
不動先輩がそう提案すると
ぴくんっ!
一刀、愛紗、凪が反応した。
一刀「(不動先輩と二人っきりのデートができる!)」
愛紗・凪「「((一刀殿・先輩)と二人っきりのデートができる!)」」
真桜「何だか考えとることが手に取るようにわかるな」
沙和「先輩はともかく普段真面目な愛紗先輩と凪ちゃんまでおかしくなるだなんて恋は大変なの」
とにかくペアを決めるためのくじ引きが始まった。
一刀「(神様、もう一度奇跡を頼みます!)」
愛紗「(一刀殿と組ませてください!)」
凪「(お願いします!)」
六人組のうち自分を除いた五人の中で一人だけ組みたい人物がいる場合、確率で言うなら5分の1である。
果たして彼らの望みは叶うのだろうか!?
真桜「何だかウチら、蚊帳の外やな」
沙和「まぁ、凪ちゃん達に当たったとしても楽しめばいいなの」