#28:恋の抜け駆けをすると神様から天罰が下される
どうも皆さん、自分は楽進 凪と申します。
私達剣道部は夏休みを利用して不動先輩の実家のお寺で合宿することになりました。
合宿初日は海で遊び、そして合宿二日目
沙和「くたくたなの~!?」
真桜「今時長い階段の登り降りなんて古臭いで~!?」
私はまだ平気ですが真桜と沙和の二人は疲れてしまったようです。
愛紗「何を言ってるんだ二人共! そんな体力でよく剣道部に入部しようと思ったな」
愛紗先輩は二人を叱りますが厳密に言うと真桜と沙和の二人は本心で剣道部に入部したわけではありません。
あれは去年、当時の私は中学と同じく空手部に入部しようと思っていましたが部活紹介の時の一刀先輩の姿に目を奪われ、いつの間に剣道部に入部届けを出してしまい、二人はそれを恋心だと見抜いて私の恋路見たさの面白半分で剣道部に入部したのですから
如耶「まぁまぁ関羽殿、二人は少しずつでいいから進んでもらおうじゃないか」
真桜「不動先輩┅」
沙和「優しいなの♪」
不動先輩の優しさに感動する二人でしたが
如耶「まだ地獄の合宿は始まったばかりなのだからな♪」
真桜「マジかい!?」
沙和「悪魔なの~!?」
不動先輩の発言に顔を青ざめる二人であった。
一方
一刀「不動先輩、俺はまだ大丈夫なので先に行ってきますね!」
如耶「あぁ、だが決して無茶はするでないぞ」
一刀「はい!」
そう言いながら一刀先輩は先を進んでしまいました。
真桜「また部長にええとこ見せようとしとるで」
沙和「ホントに下心がわかる人なの」
どうやら不動先輩以外には一刀先輩の考えはバレていたようです。
確かに一刀先輩を自分のものにするには最強の敵である不動先輩を何とかしなければならない
しかも、当初は恋敵が少ないと思われていた一刀先輩の周囲には多くの女子が集まってきていて全身傷だらけの私なんかが相手にされるわけがない!
そう。私は小さい頃、子供を助けようとして車にはねられてしまい命は助かったものの全身に傷跡を負ってしまい、中学の頃は真桜と沙和以外の人から避けられていましたが一刀先輩はそんな私を見ても
『俺は傷跡くらいで人を避けたりしないよ』
という言葉をかけていただき、その瞬間! 私の中にはっきりとした恋心が芽生えてしまったのです。
と、私が色々と考えていたその時
真桜「凪ってば!」
凪「うわっ!?」
横から真桜に大きな声で叫ばれました。
凪「い┅いきなり大きな声で叫ぶな!?」
真桜「いきなりちゃうで」
沙和「さっきから何度も呼び続けてたなの」
な┅何と!? 私としたことが考え事に夢中で二人に気付けなかった!?
真桜「それより凪、愛しの先輩をおとすためのいい案があるんやけどなぁ♪」
沙和「案にのれば絶対におとせること間違いなしなの~♪」
何やら二人の嫌らしい視線からしてろくでもないのは理解できるのだが奥手な私に名案が思い付けるわけがなく
凪「乗ろう!」
私は悪魔の囁きに耳を傾けてしまった。
後にその出来事が私の人生でかなりの汚点になることを知らずに┅
そして時は過ぎ、夜になった頃
一刀「ったく沙和の奴め」
夜、一刀先輩が浜辺を歩いていました。
というのも実は┅
沙和「先輩、実は浜辺に沙和の大事なブローチ落としちゃったなの! 探してきてほしいなの!」
と一刀先輩は沙和に言われ
一刀「もう夜だし、明日に┅」
一刀先輩は断ろうとしますが
真桜「そういや不動先輩って優しい男が好みやったなぁ、見つけたったら好感度上がるんとちゃうか」
と真桜に言われ
一刀「俺に任せとけ!」
と、一刀先輩は浜辺に来ました。
ちなみに真桜達と愛紗先輩、不動先輩はというと
真桜「今日は朝まで遊ぼうやないか」
沙和「負けないなの!」
愛紗「だから我々は遊びに来たわけでは┅!」
如耶「まぁまぁ関羽殿」
四人でボードゲームをしていました。
一刀「えぇと、ブローチは何処だ?」
その一方でブローチを探している先輩の元へ
凪「せ┅先輩」
浴衣姿の私が現れました。
一刀「凪、どうしてここへ?」
凪「お┅お風呂上がりにちょっと海を見ておこうと思いまして、先輩はどうして?」
一刀「あぁ、沙和が落としたっていうブローチを探しにな」
先輩が再びブローチを探そうとしていると
凪「あ┅あの先輩、ブローチってこれではないですか?」
スッ!
私はあらかじめ沙和から渡されていたブローチを先輩に差し出した。
一刀「うん。多分これだろうな。それじゃあブローチも見つかったことだし、帰るとするか」
先輩がそのまま帰ろうとしたその時
凪「せ┅先輩!」
ギュッ!
私は先輩の服を掴むと
一刀「どうした凪?」
私は真桜と沙和に言われたように
凪「こ┅これを見てください!」
バサッ!
浴衣を脱ぎ、下着姿を先輩に見せた。
一刀「なぁっ!?」
せ┅先輩が驚いている!?
まぁ、目の前で女性が下着姿になれば驚くのも無理もないが
更に驚くべきことに今の私の下着は普段身に付けているスポーツブラと地味なパンツではなく沙和が用意した色気のあるストラップレスブラとパンツであった。
凪「ど┅どうです。似合いますか?」
は┅恥ずかしすぎる!?
相手が先輩でなければ自害していたかもしれない
そして私の問いに先輩は
一刀「あ┅あぁ、似合ってるよ」
顔を赤くし、こちらをちらちら見ながらも似合ってると言ってくれました。
う┅嬉しすぎます!
そして私は更に先輩に恋心を抱いている他の皆さんより一歩進むべく
凪「せ┅先輩っ! じ┅自分は先輩のことが┅!!」
気合いを入れて告白しようとしたのだが
そんな私に神様が罰を与えたのであろう。
プチンッ!
はらっ!
気合いを入れすぎたせいでブラのフロントホックが外れてしまい
ぷるんっ♪
私は先輩に胸を見せてしまった。
凪「〇×※#@%☆!?」
それに気付いた私はもはや告白なんてしている暇はなく
パシッ!
私は落ちていたブラを拾い上げると
凪「うわぁーっ!?」
ダダダーーッ!!
パンツ一枚のまま逃走してしまいました。
ちなみに先輩は┅
一刀「フッ!」
ブバッ!!
ばたんっ!
私の胸を見た衝撃で鼻血を出し、後から様子を見に来た真桜と沙和に連れていかれたようです。
そして私は┅
凪「は┅恥ずかしすぎるーっ!!」
そう叫びながら浜辺を走りまくる私でした。
皆さん、恋の抜け駆けは過剰にすると天罰が下るそうです。