魔塔の階段は動く
ジュエル隊が所属する魔塔に着けば、紺色のローブを来た
メロウが入り口に立ち待っていた。
私たちに気づき、ブンブンと大きく手を振る彼女が可愛くて
私も手を振り返せば、隣のニレは呆れた顔をしていた
ニレも手を振ったら?と誘うが、彼はため息を吐くと
王太子らしくして下さいと眉を顰めて注意された
あんなに喜んでるんだから振り返してあげてもいいのに
「早かったですね!上で隊長がお待ちです!」
早速メロウが大きな門の中へと案内してくれるのでそのまま魔塔へと足を運んだ
魔塔の中に入るのは正直初めてなので、興味がある。
キョロキョロと魔塔内を見渡せば、紺色のローブを被った魔道士達が数名居て、私に気がつくと一斉に頭を下げた。
いつもの様に挨拶をすませると堅苦しい彼らに楽にしていいよと伝える
それでもやはり彼らは、何度か頭を下げてそれぞれの仕事に戻っていった。
「殿下、気をつけてくださいね」
そう言って私を螺旋階段まで連れていくとメロウは階段に乗る前に足元注意と言った
普通の階段に注意ってどういう意味だろうと疑問に思っていれば、階段に一歩足を乗せた瞬間、ウイィィーンと音を立てて、階段はエスカレーターの様に動き出す
突然、動き出した階段に驚いた私は一瞬だけびくりと体が反応してしまう
驚く私にメロウは、私も最初はびっくりしたんですよと優しく笑ってくれた。
ニレは相変わらず冷静で、螺旋階段を見上げていた
彼の視線を追って見れば階段は果てしなく遠いところまで続いていた。
徒歩で、流石にあそこまで登るのは絶対に無理だ
「流石に、歩きはきついですからね」
メロウの言う通り、絶対に歩きは無理だ
動く階段だからまだ楽だけど、と階段を見つめ納得していれば視界に何か動く物が入ってきた
気になって視線を向けるとその正体は箒に跨り飛んでいく魔道士達の姿
螺旋階段の真ん中を凄いスピードで上に上がっていく姿に私は小さく声を上げた
ニレは彼らを見ると、あぁと納得した様であれは無理ですよと私に言い聞かせる
「箒で上にいく手もありますが、あれは適正試験を受けないと乗れません、殿下はこっちで我慢してくださいね」
「へぇ、適正試験ってどんなの?」
「まず、箒を乗るにあたって視力、バランス、判断能力これが必要になってきます。それが合格したら次は実技、箒の乗り方を教える授業が3回、その次に実技試験を合格すれば乗れます」
「なるほど、運転免許が必要ってことね」
「そうです!それにあの箒を作ったのも師匠なんですよ!殿下、あれを見てください」
「なにあれ?みんな箒から出てる色が違うね?」
「そうなんです!それぞれ魔力によって箒から放出される色や性質が違うんですよ、綺麗ですよね」
たしかに、箒から水や火が出てたりとそれぞれ違っていて綺麗だった。こういうのを考えるニレはセンスがいい
「見てるだけでも楽しめるのはいいね」
「ありがとうございます」
「本当にその通りです!」
「私も免許とろうかな」
「殿下が乗り出したら探すのに苦労するのが目に見えています。ぜひご遠慮頂きたいですね」
「えーせっかく移動が楽になるのに」
「貴方に使える者の身にもなって下さい」
残念だ、せっかく私も箒に乗って色んな場所に行こうと思ったのに、ニレには私の考えはお見通しの様で許可されなかった
だけど納得いかずに口を尖らせブーブー文句を言う私をニレは相変わらず冷静に対処している
どうしても、私に試験を受けさせる気はない様だ。
まぁ、箒が乗れなくてもいいさ。
それなら私は移動できる魔道具でも開発してもらおうと胸に決めた。
それにしても、ここの壁には本が沢山収納してあって、まるで大きな図書館みたいだ
「本が多いね?図書館みたい」
「ここには数々の魔法や宝石、植物、薬草など色んな種類の本がありますよ」
「魔法や宝石に関した本もあるの?」
「えぇ、私達は特に知識が必要ですからね」
「へぇー!すごい」
私の魔塔のイメージはジメジメしていて、蜘蛛の巣だらけの暗い感じだったけれど、ここの魔塔はその反対
本も均等に並べてあるし壁画なんかも飾ってある
それに植物や花も置いてあり、ここの主のセンスを感じた
王宮とはまた、違うここは魔法が常に見られて実に面白い場所だった。
なんならここの隊に入りたい、本も読み放題だし。
そう思えるほど、ここは魅力のある場所で終始胸がときめいていた。
まだ、どんな人か分からないけれど、魔塔の雰囲気を見た所、ここの隊長がどんな人なのかは何となく想像ができた、きっと優しくしっかりした人なんだろう。




