浄化は2人で
先生の召喚の準備が整った所で、挑戦する者は自主的に前に出る様に言われた。
早速フリントはプルメリアを連れて、俺が先にいく!と声を上げている
もはや1人で戦う気なのか、ズカズカと結界の中に入っていくフリントの後ろを、プルメリアは呆れた様についていった。
彼はチーム戦だということを分かっているのだろうか?
まぁ、でもこっちもカメリアが治癒しかできないなら
私1人で戦うって事は同じかもしれない
そう考えたら余計に緊張してくるので先程の可愛い弓を握りながらフリント達を見つめた
彼らは先生達が作った結界の中へ入ると、魔獣が召喚されるのを待っている
魔獣が出ない様に作った結界の中で、先生達が召喚魔法を唱えれば眩い光が辺を照らした
光が眩しすぎて目逸らして、もう一度フリント達へと視線を戻した。
するとそこには人型の、まるでゾンビの様な皮膚をした爪の長い魔獣が2体立っていた。
口からは涎を垂れ流して、低い声で唸り出す様を見て私はカメリアと目を合わせた
それは、完全に気持ち悪いゾンビにしか見えなくて、あんなのが下級だとしたら上級魔獣は一体どんな姿をしているのだろう、想像するのも嫌になった
「…あんなに気持ち悪いって知ってた?」
「いえ、昔、上級魔獣を見た事があるんですけど…あんなに恐ろしくは無かったです…」
「え、見たことあるの?!」
「えぇ、うさぎの様に愛らしい感じでした」
「…それが下級魔獣だったんじゃない?」
下級が醜くて上級が愛らしいってどうゆう事よ
まぁ、確かに愛らしいと攻撃しづらいから逆に強くはあるけど…
え、まさか、この世界じゃ強いと見た目が可愛いって事だろうか?
ま、まさかね!今度、図書室で魔獣について調べてみよう。
「へぇ、やっぱキモい面してんなぁ!よし、さっさと終わらせようぜ」
今にも飛びかかりそうな魔獣に手のひらから炎を浮かべると炎の球を魔獣に向けて何度も放った
2体とも襲い掛かる暇もなく、フリントの炎が体全体にぼおおおっと広がり、魔獣はチリとなり地面に落ちていく。
プルメリアが出る幕もなく、呆気なくフリントが2体とも焼き尽くした事で、周りの生徒達は皆、響めいていた
しかし、はじめに先生は言っていた。
制限時間内にペアで浄化しろと。
制限時間は3分、先ほどチリになった魔獣は数を2体増やして復活し始めている
それに気がついたプルメリアはフリントに声を上げた
「フリント、気を抜かないでよ」
「うーわ、まじかよ!倒すだけじゃダメってことかぁ?っち!めんどくせぇ!」
魔獣は再生すると、2人を目掛けてもの凄いスピードで襲いかかっていく、それも4体揃ってだ。
フリントは咄嗟に炎で剣を作り、彼らに向かって走っていくと、炎の剣を振るい魔獣の身体を斬り裂いた
その姿は流石騎士団、素早い身のこなしに剣の扱いはお手のものだった。
しかし、倒す度に彼らはどんどん数を増やし復活し始めるので、普通の攻撃ではまったく意味がない
プルメリアも同じく彼らに向け、雷の槍を空から何度も降り注いだが、結果は同じだった
「おい、なんだあれ?普通の魔獣じゃねぇな!キリがねぇ!あいつら浄化できそうか?」
「フリントが協力してくれないと出来ない」
そう、普通の魔獣なら炎で焼き切れるはずだが、先生達の魔法のおかげで彼らは何度でも蘇る。
この授業は最初から1人で倒すんじゃなくて協力して浄化しないと意味がないのだ。
何度もフリントが倒しても、魔獣はキリがなく増え続けちゃんと浄化しないと意味がない事にやっと気がついたフリントはプルメリアの近くに戻ると、彼女の腕を掴み、自分の魔力と彼女の魔力を合わせ始めた
ぼおおおーと彼女と魔力が交わっていくのが側から見ても分かるほど彼らの周りを赤と黄色のオーラが包んでいく
しかし、4体だった魔獣はいつの間にか16体になって、物凄いスピードで地面を蹴り向かっていく、その様は側から見ているだけでも恐ろしい光景だった。
まるでゾンビ映画さながらで、ゾンビが苦手な人はまず無理だろう。
フリント達はもう攻撃をする気配はなく、魔獣が近くに寄って来るのをひたすら待っている様だった
あと少しでフリント達に手が届きそうになった所で
プルメリアの雷が閃光の様に空から降り注ぎ、彼らの動きを阻止した
数が増えない様、器用に魔獣達の動きだけを止めると
いう技術は素晴らしい。
すると、フリントとプルメリアの魔力を含んだ赤い炎と黄色い雷が混ざり、赤い炎の色がオレンジ色に染まった
未だ槍の中で、もがいている魔獣をオレンジ色に染まった炎が包み込むと、彼らは跡形もなくその場から消えた。
フリント達は攻撃ではなく、協力して浄化を行ない魔獣を消滅させると、側で見ていた先生へと声を上げた
「再生したら浄化な!よくわかったぜ」
「それはよかった」
それに気がつくまでに少しだけ時間はかかったものの時間は1分02秒と好記録。
彼らの一部始終を見ていた私は不安な表情を隠す事なくニレを見た。
「ねぇ、カメリアは浄化できないってよ…」
「殿下、光魔法はもともと浄化に特化した魔法ですから心配する事ありません、協力しなくても1人で浄化できるのが王族の強みなんですよ?」
「あ、そうだった…」
「光魔法以外では他の属性と力を合わせないと浄化出来ないんです、だからペアを組んで浄化させる授業を行なっているんですから」
「私、余裕じゃん」
「はい、ではお先にどうぞ」
え?と声を出す前にニレに背中を押されて前に出された
ちょっと待ってよと振り返り口を開こうとしたのにそれより先に先生から名前を呼ばれたので仕方なく、はいと返事を返し、隣のカメリアと結界の中へと足を運んだ。
「殿下、私の魔力をお貸しする事はできるので、ちゃんとサポートいたします!」
「モリオンさん、ありがとう。絶対怪我させない様に気をつけるから極力、私の後ろにいてね」
お互い、緊張してしょうがないのに結界の中に入る前にそう声をかけてくれるヒロインちゃんに、私も勇気付けに声をかけて、目を合わせた。
お互い、頑張ろう!と。




