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可愛いは強い



「どんな魔獣が出てくるか楽しみだぜ!」


「フリント、1人で突っ走らないでよ」



今から魔獣が召喚されて、一人一人挑戦したい順から実技が始まるらしい

フリント達は案の定楽しそうで、うずうずしている


特にフリントが。


プルメリアは1人で突っ走って行きそうなフリントに若干警戒気味だ、気持ちはすごく分かる。




そんな中、黙っていたけれど重大な問題があった

転生してから魔法を一回も使っていないので、正直上手く扱えるか不安という事だ。

転生前のゼニスの記憶の通りにやれば、何とか上手くいくんだろうけど、もし魔法が発動しなかったらどうしよう


最初の順番は、多分フリント達が行くだろうから大丈夫だろう。

だけど、一応隣にいる心の支えであるニレに声をかけた



「ニレ…今更なんだけど、病み上がりでこの何日も全然魔法使ってないから本番で魔法が発動しなかったらって不安になってきたんだけど…」



流石にペアであるカメリアに聞かれたら、彼女が不安になるのでニレだけに聞こえる様に言えば、彼は顔色ひとつ変えずに大丈夫ですよと答えた



「…いや、大丈夫じゃないよ?私、今酷く緊張してきたしほら!手!震えてきた!どうしよう?!」



地味に震える私の手を彼に見せつけるけれど

彼はその手を見ても表情ひとつ変えずに冷静に答えた



「殿下、貴方の魔法は光魔法です。頭に武器を思い浮かべれば剣でも弓でも何でも光魔法で作れるんですよ?まずは深呼吸をして、想像してみましょう」



「な、なるほど想像ね…わかった、やってみる」



想像で武器が作れるのはわかってるけどあんまり想像力が良く無い私は自信がなかった。

だけど、こんなに人がいる中で全く魔獣を倒せなかったらすごい恥ずかしいし、カメリアにも申し訳ない



どうにか、深呼吸をして弓を想像してみれば右手にあたたかい光のベールが出てきた

それは、だんだんと形を得て私の想像した通り光り輝く弓へと変わった



「わぁ!すごい!できたよ弓矢!」



ほらみて!とニレに見せればそれはハート型の可愛らしい弓だった。

喜ぶ私とは別にニレは何だか、複雑そうな表情でその弓を見ていた



「…とても愛らしい弓矢ですね」



「え?あぁ、キューピットの弓矢を思い浮かんだんだけどまさかそのまま出るなんて思ってなかったよ、羽まで生えてて可愛くない?」



「武器に可愛さを求めた事はないです、それよりも性能ですね。扱いやすそうですか?それは、随分小さいですけど」



「うーん、というか矢がないけど、これをこうやって引っ張ったら攻撃できるのかな?」



適当に引っ張ってみればひゅん!と勢いよく光の矢が地面に突き刺ささった

あまりの速さに正直、目で追えない程だった

攻撃するつもりなんて全くなかった私は飛んで行った光を見てゾッとした。


たまたま光の矢を放った場所には人が居なかったからいいものの、突然びゅん!と音を立てて光の矢が飛び出たので近くの生徒達は何事?と驚いて突き刺さる矢と私を交互に見ていた



「威力はある様ですね、合格です」


「ご、ごめんね…」


下手したら人に貫通してたかもしれないのに、ニレは全く気にしていない様で、光の威力について話を続けた


一応驚かせてしまったので、周りに謝罪をすれば彼らは優しく許してくれた。


ほんと誰も怪我しなくて良かった…




「それに、もしもの時は防御魔法があるので殿下は大丈夫でしょう」



私は大丈夫とカメリアをチラ見しながらいうニレに

そういや防御魔法あったから焦る必要もなかったと今更思い出した。

だけども、私は無事でもカメリアには防御魔法が通用しないので、どちらにしてもカメリア頼りになるか、最悪の場合は彼女を守らないといけない




「ねぇ、モリオンさんは浄化魔法使えるんだよね?」



一応確認のつもりで近くにいる彼女に聞けば、カメリアは申し訳なさそうに首を横に振った



「すみません殿下、私まだ治癒魔法しか出来てなくて…」



まさかの彼女の言葉に私は、ん?と再度聞き直した




「浄化魔法の練習はしているんですけど…まだ上手く扱えていないんです」




という事は、完全に私が魔獣を倒さないといけないって事だ、これはちょっと大変な事になったかもしれない


凄く申し訳なさそうにしているカメリアには悪いけれど、今はそれをフォローできる余裕がない。


私が何とかしないとゼニスとしてではなく王族として大勢の前で恥をかいてしまう。


…ん?でも王になるつもりがないからそれはそれでアリか


でも、一応私から誘った手前、彼女がもし怪我でもしたらそれは困る、責任とって何とかこの場を乗り切るにはどうするか考えよう。


必死に、どうやって彼女を守るか考えている私とは違い全く悩むことがない余裕のニレはカメリアに大丈夫ですよ。と、言わなくていいことを言い出した。




「モリオン嬢、気にしなくても大丈夫です。殿下はお強いですから」




このニレの余計な一言に安堵するカメリアを見て確実にこの場から逃げられないことを悟った





だけど、心の中では私は手を挙げて叫んでいた


先生!やっぱり私辞退したいです!!!


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