相性
「さぁ、ここからは男女ペアになってくれよ」
やっと普通の授業が終わり、念願の実技の授業の為
他のクラスと合同で学園の裏側にある実技演習場に集まっていた。
だけど冒頭で言われた通り、早速先生からペアを組む様に言われた私は、王太子という事を忘れて周りの生徒と共に項垂れた
何で、男女ペアじゃないといけないのだろうか…
どうせなら安心できるニレと組もうと思っていたのに
知らない相手とペアなんて不安しかない
あからさまに残念そうにしてる私と違って、私の側近であり友人の彼は、もうすでにクラスの女子とペアを組んでいた…ずるい。
なら、フリントはどうだろうかと彼を見れば、フリントの周りにも何人かの女生徒達が彼とペアを組みたくて集まっていた。
フリントはあんなでも顔がいいから結構人気なんだよな…
よし、こうなったら、私も誰かと組まないといけない
誰と組もうかと、女生徒に目を向けると周りには大勢の女子が集まってきていた。
人気なのは分かるし、もちろん嬉しいけれど、こんなに何人もいたら1人なんて選べないし、逆に誘いづらい。
どうしたものかと、考えていれば不意にどこか見覚えのあるピンク頭が視界に入った
華やかな髪色を眺めていれば、彼女がこちらに視線を向けた。
ちょうど私も彼女を見ていたので、彼女の黒い瞳と私の視線が重なり、彼女がヒロインのカメリアだと分かった。
焦る私を他所に、彼女は何事もなく私から視線を逸らした。
彼女の態度にあれ?と思ったけれど、そう言えばニレが彼女の記憶を消していた事を思い出しカメリアの態度に納得した。
とりあえず、生ヒロインを改めて見た感想はびっくりするほど可愛くて胸がときめいた。
顔なんか小顔で、目は大きくて鼻は小さく完全なる美少女だった。
ゼニスが倒れる前に彼女に惹かれた理由がよく分かる
それにしても…あんなに可愛い子の記憶を私の為だとしても平気で消し去ったニレは強い
チラチラと私に誘ってほしそうに見てくる女生徒達には申し訳ないけれど、この中で選ぶとしたら勝手に記憶を消された恩人のヒロインちゃんしかいない。
本当は関わりたくは無かったけれど、彼女の能力は治癒
もし何かあったら回復してもらえるし、何よりお礼も言わずに記憶だけ消した事はやはり引っかかる
取り敢えず、この女生徒達の輪から出ると迷わず彼女に声をかけた。
「ねぇ、私と組まない??」
「…え?で、殿下とですか?!」
突然私から話しかけられたカメリアは目を開いて驚いていた。
それもそのはず、クラスが一緒でもない王太子に急に声をかけられれば誰でも驚くだろう
一瞬戸惑った彼女だったけれど、王太子のお誘いを断れるはずもなく、頷くとよろしくお願いしますと頭を下げた。
流石はヒロイン、本当は嫌かもしれないのに、嫌な顔ひとつしない彼女は本当に、優しい子なのだろう
実際私自身がカメリアに会って惚れた?と言われれば
断じてそれはないけれど、彼女とは友達になれたらいいなと思った。
カメリアと挨拶をしていれば、突然後ろから私の肩に肘を置き、こいつと組むのか?と聞いて来るフリント
彼の登場に、いつの間にこっちに来たんだ?と横目で見ていれば、フリントはカメリアに視線を向けた。
一通り私とカメリアを交互に見たかと思いきや、急に納得した様になるほど、と頷いた
「わかった、お前こうゆうのタイプだよな」
ちっこいし、なんかメイに雰囲気も似てると彼はカメリアの前で言い出した。
小さけりゃ何だって私のタイプだと言い出し、ひとり納得しているフリントがなんだか恨めしく思い、私の肩に乗せる肘を振り払った
「ねぇフリント、タイプとかすぐそうやって言うのやめて。大体、授業でペア組むだけだし?私は彼女が治癒魔法が使えるからそっちのタイプで選んだんだけど?!フリントは顔で選んでんの?」
「…あ、そっか!だから選んだのか!なるほどなぁ!てっきり好みで選んでるのかと思っちまったよ」
「なわけないだろーが!全く…ちゃんと相性とかで選びなよ」
悪い悪いと振り払った私の肩にまた触れてくるフリント
別に悪気があって言った訳ではないだろうけど、ちゃんと周りの空気を読めよ、と心の中で愚痴を吐いた。
周りの女生徒達は、さっきのフリントの言葉を聞いて凍りついていたけれど、私が魔法の相性で選んでいると言う言葉を聞いて一斉に納得していた。
彼女達の動揺する姿を見て、フリントの言葉次第では下手したら平民のくせに!なんて言って、何もしていないカメリアに嫉妬をした女生徒達が彼女を呼び出したりと意地悪なんてし始めたら大変だ
実際、小説の中ではそうだったのだから、変に誤解される様な事をしたらカメリアが可哀想だ
それを防ぐ為にも、一応、言葉を選んで良かったと私自身もホッと胸を撫で下ろした。
フリントと私に挟まれたカメリアは困っている様なので、ニレのところに行こうと彼女を連れて行った。
去り際に、ちゃんと相性で選んでよとフリントに言えば
分かったと彼は手を振った
横を歩くカメリアは確かにフリントが言う様に雰囲気はメイに似ている
彼がこうゆうのがタイプ?と聞いて来た時は驚いたけれど確かに、異性としてではなく同性として好きな感じではある。
意外と彼の言葉は的を得ていたけれど、もう少し周りをみて発言してほしいと心から思った。
とりあえず、フリントの相手がどんな相手になるのかは気になるので、振り向いてペアが決まったら教えてと彼に聞こえる様に声を上げれば、おー!あとでそっちに行くーと私に聞こえる様に叫んだ。




