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ガルメニ人なんだよね 2

 東域宇宙和平維持連盟地球防衛基地に駐機しているスターキッドの中では捕らえて来たガルメニ人がガルメニ人の甲殻を被った別の種族の宇宙人? だったのが分かり引き続き九論とオビス司令官が話を聞いている。

 一方、コクピットへと戻ってきたアイリーンと昴くんがじゃれ合っている内にエスカレートして、恥ずかしいことを口走ったのをスターキッドAIに聞かれてしまう。

「Aちゃん!いつから居たのって、最初からに決まってるわよね忘れてた訳じゃないのよ」

〈分かってますって2人が自分達の世界に没頭してたのですよね。見ててこっちまで赤面しましたよ、本当に貴重なデータを得られました。ごちそうさまでした〉

「分かってると思うけど、ちゃんと削除しなさいよね、さもないと…」

〈ハイハイ、分かってますよいつも通りに処理しますって。そうそう、データと言えばアイリーンと昴くんは年齢が少し下がったみたいですけど数値化は難しいです。どうしましょうか、今まで通り16才と15才のままにしておきますか〉

「僕は見た目が大人っぽくなってるでしょう、多分このままだと思いますから、少しだけ上乗せして欲しいです」

 昴くんが大人びた表情をする。

「あーっ、ずるーい、だったらうちも特盛でお願いしたいわー」

 アイリーンが唇を尖らせながら言う。

〈アイリーンは16才のままが妥当だと思いますよ、急いでおばさんになる必要もないでしょう、それと一人称を『うち』から『私』に変えるんじゃなかったのですか〉

「うちは18才がいいな、娘18番茶も出花って言うじゃない」

 アイリーンがしなを作ってる。

「アイリーンそれって褒め言葉じゃないから、自分で使うの間違ってると思うよ、それに最近『愛はいま16だから』って歌ってたじゃないそのままの方が可愛いと思うよ」

「何で昴くんがうちが歌ってること知ってるのよ!?」

「だってスピーカーから聞こえてたよ、皆に聞いてもらいたかったんでしょう」

 アイリーンはそんな恥ずかしいことをするわけないじゃないって表情をした。

「そんなこと知らないわ…もしかしてAちゃん、また勝手なことしたわね、怒るよわよ~」

〈だってアイリーンは昔アイドルになるんだって言ってたじゃないですか。だからいろんな人に聞いてもらわないといけないと思ってやっちゃいました。でもどこからも苦情がきてないので半分くらいは成功したと思いますよ。どこからもお呼びが掛からなかったので半分以上は失敗だと思いますけど〉

(そうだった、Aちゃんの居る所で気を許したうちが悪かったんだわ)

「昴くんうちはね最初から人に聞かせるつもりで歌ってたらもっと上手に歌えるわよ」

「無理だと思うよ、逆に緊張してしまうんじゃないかなあ、誰にも聞かせるつもりがないから自然できれいな歌声だったよ」

「それって褒めてるのよね、そうしておくわそれでねえ、いろんな人に聞いてもらうためってまさかとは思うけど……やっぱりいいわ聞かない。何も聞かなかったことにするわ」

〈アイリーンの年齢は16才のままでいいですね、それと昴くんは何気にアイリーンって呼びましたね、そっちの方が合ってると思いますよ。今の昴くんの年齢は18才でどうですか〉

 アイリーンがじっと見つめてる。

(やっぱりお兄ちゃんが目覚めてるんじゃないかしら)

「昴くんがうち…いや、私…より年上になるの?何か嫌だなあ、亭主関白にならないでよ」

 昴くんが顔を赤らめる。

「アイリーンそれも使い方間違えてると思うよ」

〈婚姻届、出しときますか〉

 スターキッドAIが茶々を入れてくる。

 アイリーンも顔を赤らめた。

「2人とも、夫婦漫才は終わっりましたか」

 コクピットの入り口に新月さんが立って微笑んでいる。

 アイリーンと昴くんは微笑み返しをしながら照れだす。

「ご馳走さま、ままごとで終わらせないようにしなさいよね」

 新月さんは胸の前で手を合わせた。

「またひどいこと言うのね」

「酷いことはこれから起きるかも知れないわ、さっきのガルメニ人はガルメニ人じゃなかったのは何となく分かるわよね」

 新月さんは今まで聞き取って分かった事を伝えに来てた。

 アイリーンが先に質問する。

「最初は鎧を着てたわよね、外甲殻を持つガルメニ人が鎧を着るってのは教科書には載ってなかったわ、そしてガルメニ人の中に別の生物が共生してるってのも始めて知った。だいたい共生生物ってのは昴くんの中に居るスーちゃんだけじゃなかったの?、まあ、宇宙は広いんだし、わた、わた…うち達が知らない事の方が多いのかも知れないわね」

 アイリーンは『私』と言うのは無理かもしれないと思う。

「あなたの疑問に答えると長い話になるけど良い?」

「嫌だ!」

 アイリーンは即答した。

「じゃあ結論だけ言うわね、あのガルメニ人の甲殻の中にはロースって名前のコスモピクシーが閉じ込められていたのよ」

(今度は省略され過ぎてさっぱり意味が分からん)

 2人はそう思った。

「ロースって美味しそうな名前ね、ピクシーってからには思った通り妖精で良かったんだね、妖精さんも宇宙人でいいのよね」

 アイリーンは涎を拭う素振りをする。

「ロースで『美味しそう』を連想するアイリーンはお腹が空いてらっしゃるのかしら、先程、丼を持って出て行かれたように見えたのですけど、まあそれは別の話しになりますから今はいいですね、ピクシーとも少し違いますけど宇宙人とは言わないのですよ妖精は人族に分類されないのです」

「どういうことよ、ピクシーと妖精が同じでないっての」

「そうですね、簡単に説明すると1つの物を長い年月崇めているとその物に気が宿るようになるのです。それを更に多くの人が崇め続けると精霊に進化して最終的に妖精に変化するのですよ。ここだけの話にしますけど私は妖精さんを見たことがあるのです」

「新月さんそれって夢の中でのお話じゃないでしょうね」

「いいえ私がまだ10歳小学3年生の夏休みで暑い日の夕方前だったですね」

「だったら白昼夢だよね、普通に起きている時に夢を見るんでしょう、とても気持ちが良いらしいじゃない、うちはまだ見たことがないんだよ見てみたいわ~」

「先生は最初から宇宙人じゃなかったんですね、あっそういえば13歳の時に宇宙へ連れだされたって言ってましたね」

「うちが宇宙へ出たのは4歳の時だったわ…」

 アイリーンは言った端からお兄ちゃんのことを思い出して悲しくなって沈み込む。

「あなた達は私の話を聞きたくないのですか、ここまででこの話は終わりにしますよ」

「「先生ごめんなさい」」

 2人して素直に謝る。

(それ程続きを聞きたい訳ではないけど先生の機嫌を損ねたらいけないよね)

 昴くんはそう思った。

 新月さんは話を続ける。

「その時私は幼い頃より町の向こう側、家々のすき間から遠くに見えてる大きな木が気になっていて、いつか行こうと考えていたのを実行しました」

『新月さんの幼い頃って何歳なんだろうね、うちは多分3歳だったと思うんだけど、その頃には遠くに見える山まで行って狩りをすれば1人でも生きて行けるんじゃないかと考えたことがあるわ』

 アイリーンは新月さんに気付かれないように昴くんにテレパシーを飛ばす。

 ・・・

『ねえ、昴くん聞こえてる?』

 昴くんが全く反応しない。

『何か返事しなさいよ』

 アイリーンは不安な気持ちが募るのを押さえきれずに昴くんを突っつく。

「えっ、何かな?静かにしとかないとダメだよ」

 昴くんが口に指を当てて『しーっ』てしてる。

 新月さんはその様子を睨んで無言の圧でおとなしくさせてから続きを話しだす。

「自転車でやっとの思いでたどり着いたのですけどそこは隣町の小さな神社になっていて校区外でした。他の子供に見つかって告げ口されるのではないかとびくびくしながら鳥居の手前に自転車を停めたのを覚えてます。そして目的の大きな木まで近付いたら、その木陰に青磁色の夕日みたいな上下トレーナーを着たほっそりした性別が分からない小さな子供が立っていました」

「新月さんはその少年が妖精だと言うのよね」

 アイリーンが早く話を終わらせたくて言う。

「そうですよ目があったらスーって消えたのです」

「それって普通だったら幽霊を見たって言うんじゃない、逢魔が時だったんでしょう」

 新月さんはアイリーンの発言を無視して続ける。

「その木は神社の御神木で精霊が宿ってもおかしくない風格がありました。私が見たのは完全に人の形をしていましたので妖精と呼んでいいと思います。でも会えたのはその時だけでした」

「良くわからないけどわかったわ、つまり人の祈りが気になってそれが成長して最終形態になったのが妖精って言うので良いのよね」

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