昴くんは道草
学校の帰り道でコンビニへ寄り道しようとなった。
昴くんは『これはお使いだから』と言う解釈を用いて妥協してる。
「宣ちゃん買い溜め出来る程お金持っているんだ」
「内緒よ、女の子は非常事態の時のために少し持っているものよ、でも買い溜めはやめることにしたわ」
「「どうして?」」
「あなた達が買い物袋ぶら下げた女の子と一緒に下校していて抵抗ないならいいけど…って、本当は私のほうが嫌だからみたいね」
「そうなんだ僕たちは気にしないけど、宣ちゃんが嫌なら仕方ないね、それで何を買うのかもう決めてる?僕の全財産300円だよ」
「僕も似たようなものだよ石焼き芋と缶コーヒーで丁度なくなるよね、宣子さんは何を買うの?」
「私はアイスクリームだけね」
「「アイスクリーム?」」
「この真冬にかい?」
「真冬に焼き芋食べている双子の兄弟の間でアイスクリーム食べている女の子っておしゃれな絵になると思わない」
「そう言えばさ女性って欲求を満たす時でも見かけを優先させるって本で読んだ気がする」
「昴よ~ぉ、引きこもりの雑学かいR18じゃないだろうな」
「とんでもない。まだ手は白いままだよ」
「汚ねぇー」
(お兄ちゃん宣子さんが居る前で何てこと言うんだ酷過ぎるよ)
「お兄ちゃんこそ心が汚れているんじゃない」
(ああ~、宣子さんが不思議そうな目をして見ている)
「宣子さんもそんな目で見ないで欲しいな」
「2人共何の話をしているの?私にも分かるように話してよ」
「宣ちゃんは清い乙女のままだなって話してたんだよ、なぁ昴」
「そ、その通りさ」
(兄貴よそれ、何のフォローにもなっていないことに気付かないのか)
「わかんないわね、いいわ私も焼き芋にする。公園のベンチに3人並んで座って食べましょう」
「ごめんよ余計な事を言って食べたいもの食べていいよ」
「ふふ、実は焼き芋も食べたかったの、翔くんと昴くんが少しづつ分けてくれると思ってたのよ」
「しまった~。そしたら僕達は宣ちゃんの食べてるアイスクリームを分けて貰えたかも知れなかったんだ」
「そうかもねさあ3人一緒に同じもの買いましょう、それもお洒落かも知れないね」
(公園のいつものベンチに先客が座ってる。この寒空に何してるんだろう)
「翔くん、あっちへ行こうか昴くんどうしたの?固まってるよ」
「あの娘だ!兄ちゃん女の子がいる」
「見たら分かるさ僕たちと同じ位の歳かな、でも初めて見る子だね」
「そうね私も知らない子ね、クリスマスに家族と一緒に帰省して来ているんじゃないかと思うわ」
「おや、こっち見たぞ、うわっ目が青い帽子からはみ出てる髪の色凄い、ブルーアイズ・シルバーヘッド・ガールだ、こら昴固まっている場合じゃないだろう激レアだぞ早くボールを投げろよ」
(兄貴よそんなことを易々と言って後で後悔しても遅いよ、僕が網に掛かってしまったことくらい察して欲しかったのに)
「こんにちわ昴くんそちらのお二人は初めまして、うちは鈴木愛鈴と言います」
(えっ何だって!)
「昴よ」
「昴くん」
「「一体誰よ」」
「朝の登校時に話していたアイリーンって言う女の子だよ、夢の産物だった筈なのにどうしてここに居るの?」
「昴よお前大丈夫か立ったまま居眠りしてないよな」
「だから夢の中に出て来た女の子だって、そうだろうアイリーン!僕が昨夜見た夢の中で会っているよね、最後は輝く光の中でバラバラになって消えていったよね」
「違うわ夢の中でじゃなくて現実よ、正確には昨夜じゃなくて今日の午前1時3分よ、昴くんが自分で言ってたじゃない、最後は昴くんがフラッシュを使ってあなたそのまま気を失ったのよ、お陰でうちは出直すことになって今ここにいるの、それとアイリーンじゃなくて愛鈴って呼んでって言ったでしょう」
「宣ちゃんこいつら2人共頭がどうにかしてるぜ」
「鈴木愛鈴さんって言ったかしら、私は、氷室宣子と言います。宜しかったらお話ししませんか」
(可愛い子ね、昴くんが動揺するのも分かる気がするわ)
「大丈夫よ昴くんと一緒に直ぐ消えるから心配しないで、翔くんと宣子さんは大人たちに何か聞かれたら見たことだけ言ったらいいわ、ここで聞いた事は他言無用よそうしないとあなた達まで巻き込まれるわ」
「翔くんねぇ、昴くんがおかしな事を言っていたのは引きこもっている間にこの子と遊んでいたんじゃないかしら」
「昴よお前は学校に行かないだけか、俺に隠れてこんな可愛い子と付き合っていたのか?」
「お兄ちゃん!宣子さんも僕のことを信じてよ、この子は僕の夢の中…あれは…本当に…現実の事だったの?」
「だーかーらーずぅーっと現実の事だって言ってるじゃないうちの話をちゃんと聞いてる」
「そんなには言ってなかった…と思う」
「そうだったかしら仕方ないわね。そう言えばお腹が空いたわ昴くんが持っている袋の中には焼き芋が入っているわね、半分ちょうだいな」
「さっきまで何か食べてなかった?それに何で石焼き芋と分かった?」
ステルスモードのスターキッドから監視(覗きではない)していた九論が愚痴った。
「アイリーンの奴禁止してたのに天王星の氷パン持って行ったな」
〈そうか出掛ける前に氷パンを一口サイズに切っていたのはこの為か一口で食べてしまえば屑を落とさないからね、後は排泄をしなければ良いんだ。今こそ昴くんを捕まえて、そのままテレポートで戻って来ればいいのに…〉
「何も食べてなんかいないわ、それより焼き芋のいい匂いがここまで漂って来てるわよ」
(なにか支離滅裂な女の子みたいね)
「愛ちゃんと呼んでも良いかな」
「嫌、だけど許すわ昴くんにそう呼ばれたらうち泣いちゃうかも知れないけど」
「?」
「?」
「?」
「昴お前はやってはいけない事をやっちまった訳じゃないだろうな、そして別れた…だから会いに来た…」
「兄ちゃんやめてよそう言う根も葉もない事で物語を作って宣子さんの前で言わないでくれる。誤解されるのは僕なんだよ!愛鈴さんも皆が納得出来る様に説明してよ」
「分かったわちょっと長い話しになるから立ち話も疲れるでしょう。ここに座りましょう。半分くれるよね」
「ここは寒いでしょう。私たちの勉強部屋に行きませんか愛ちゃんも一緒に行きましょう。私も久しぶりに勉強部屋に入ってみたいから、翔くん勉強部屋に入れるよね」
「昴、大丈夫だよね」
「そうだね大丈夫だよ、布団が敷きっぱなしだけどね」
「!」
「!」
「このベンチはそんなに寒くないよ冥王星に比べたら天国みたいな所だよ、でもうちも一緒に行くわ移動しているほうが安全だしね」
「昴よぅ~この子どこかの施設から抜け出して来てるんじゃないだろうな、下手すりゃ俺たち誘拐犯になっちまうぞ」
「勉強部屋には既に一度来てるし大丈夫だと想うけど、もう何が何やらで思考が逃避してるよ」
(布団が敷きっぱなしの所にか?そう言えば夜中の1時?!に会っていたのか、それで断って粉々になって消えたって…勿体ない)
「ねえ愛ちゃん冥王星ってどんな所だったの」
(宣ちゃんまでおかしくならないでくれよな頼むから)
「冥王星はね、何もない所よ、月よりも小さな星で窒素と一酸化炭素の大気は薄く気温はマイナス200度の氷の世界なのよドームの中に居てもすごく寒かったわ、でもそこから見える小さく輝く太陽は綺麗でうちは好きだったわよ」
(この子、言っている事はヘンテコなのに凄く賢い子供の様に見える)
「愛ちゃん焼き芋ね私のを半分あげる、良かったら食べて」
「わあ、ありがとう嬉しいわもぐっ、美味しいね、これで氷室さんとは家族になったわね、だって食べ物くれたんだからね、うちの妹で良いよねうちは数え年で16才なんだし証拠はないけど1997年6月3日が誕生日なんだよ、だからカレンダー年で言えば24才だね」
「「「 え~~っ!!! 」」」
「そんなに驚くことかなぁ?まあ女子だし年齢のことは考えないで歩け歩け」
「愛ちゃんそんなに一人で先に行っても道が分からないでしょう」
「この先を右で良いのよね…わっ、ちょっと危ないわねこの車は歩行者優先なのはいいけど目の前で急停車しないでよね。心臓が止まったら大変でしょう気を付けてよね」
「豊福昴くんだよね、私達はHTETだ…と言っても分からないだろうけど、一緒に来てもらうよ…2人居るなさすが宇宙人だどっちが豊福昴くんか分からないな、正直に言わないと2人共任意同行お願いするよ」
「昴くんこっちに走って、手を取って」
(人前でテレポートはしたくないわ、ダメだって言われていた気もするそれにここからじゃスターキッド見えないや)
「何で逃げるのさ弁解しないと却って不利になるんじゃないかな」
「あいつらはうち達の話を聞いたりしてくれないよ…体に聞くんだよ、凄く痛いんだから…逃げたほうがいいよ…ハア、しまった~地球の重力がぁ~重い…」
いつの間にか昴くんがアイリーンの手を引っ張って走っている。
キキキッーギャウン
「うわっ危ない!車がまた目の前で急ブレーキ掛けてから、この辺の運転手は交通ルールを知らないのかしら」
「昴くん!乗って、早く!」
「あっ望月先生!?」
「新月です!さぁ早く、アイリーンさんも乗って下さい」
「「 !? 」」
アイリーンと昴くんを乗せた新月先生の車は猛スピードで公園から遠ざかる。
「ハントザETの奴らは追って来ないわね」
「追っては来てるけど追い付けないのだと思うよ、なんたってこの車速いもん新月先生って僕たちの学年主任でよかったんですよね」
昴くんはタイミング良く現れたものだと不思議に思いながら聞く。
「そうよ昴くん直接話したことがないのによく分かったわね」
「新学期教師紹介で名前を聞いた時に何て美しい名前なんだろう一度お話ししたいなと思っていたんですよ」
「昴くんはお世辞が上手なのね、お願いだから年増殺しにはならないでね」
アイリーンは昴くんが他の女性に馴れ馴れしくするのが許せない。
たとえそれが学校の先生だろうと。




