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みんなの思惑 2

 東域宇宙和平維持連盟地球防衛基地日本支部の成富支部長がコクピットに入ってきてから姑の目をして見渡している。

《そうですね僕の…スターキッドの中には、洒落たテーブルやティーセット、バスにトイレ、ベッドが備わってないと嘆いていました》

『あの娘らしいけど…あなたも優れたAIなら私がここに来た理由くらい察しているんでしょう、それともあの外部端末は振りをしている訳ではなかったの私を落胆させないで欲しいのだけど』

《すみません。物欲を先に言っておかないとキャプテンへの弁明が大変なんですよ》

『わかるわ。自分の利益を先に確保してからでないと行動を起こさないどこにでも居る普通の人間、私たちの話しはあの娘には難しそうだからあなたから教えてあげてね。支部には真実の情報が入ってきてないと思うのよ・・・』

〈だから、僕が仕方なく現在の東の辺境宇宙勢力分布と今後の見通しについて支部長の話し相手をしてあげたんです〉

「その日はうち達が支部に着いた翌日だよね、バイオキッドは支部の建物内に残ってたんだ。帰してもらえなかったのかなあ、まさか人質じゃないよね」

〈アイリーンが夕方には帰って来るだろうからその時まで待つって言って支部に泊まり込んでいました。そうしていたら翌朝あなたの位置情報が突然消失したんです。だからテレポートしたんだと直ぐに思いました…ここに帰って来るんだと〉

「ごめんなさいスターキッドの操縦席目指してテレポートしたわ、でも着いたのはイノマンの所だった。あまりにも未熟で凄く危ない事をしていたのだと思い知ったわ、だからブレインで封印したの訓練して完璧にできるようになるまではテレポートを使わないって。でもそうね、お互いが別れてからの出来事を今から語ってたんじゃあ一日一夜あっても足りないわね、何時か時間を作ってゆっくり話しましょう。それよりバイオキッドは何処にいるのか分かっているの」

〈今は地球防衛基地メインコンピューターアシュラの助言によってケンタウルス座アルファ星へ向かう恒星間宇宙船エム08の中に居て、地球防衛基地に居住していた地球人の移民者と一緒にコールドスリープしています〉

「どうしてって… あのアシュラの指示ね、まだお付き合いしてたんだ。だったら信じて従うしかないわね、それでうちがキッドをアポーツで無理やり呼び寄せたことになってしまったけど大丈夫だった?」

〈宇宙人狩りで日本支部が襲われた時、僕は支部長を乗せたまま一度飛び立って(逃げ出したんじゃない)攻撃が収まった頃を見計らってから日本支部の駐機場に戻ったんです。支部長達と別れてからバレないように生き埋め状態にしてカムフラージュしました。アイリーンがもし戻って来たら掘り出そうとするでしょうから、それも踏まえてです〉

「あんたも結構無茶苦茶な事をやっていたのね、それじゃあいきなり向こう側で消えても問題なかったのね。良かったわ~うちもコールドスリープを1年ほど経験したのよ、それでうちは11歳なんだけど地球では何年が過ぎたのかしら」

〈アイリーンが消えてから6年半になります。バイオロイド端末もコールドスリープに入ってほぼ6年ですよ〉

(うちの手作りカレンダーは正確だったのね)

「バイオロイド端末なんて寂しい言い方やめてよね、ちゃんとキッドって呼んでやらないといけないんだから」

〈アイリーンには言いにくい事なんですが、バイオロイドにあまり感情移入しないほうが良いって…もう十分、感情移入しちゃってますよね、バイオキッドの寿命…〉

 アイリーンはスターキッドAIの言葉を両手を振って遮り最後まで言わせなかった。

「AIキッドそれ以上言わないで、心の準備していないし今はバイオキッドの救助に専念しましょう。その前にイノマンがどこに居るのか分からないかなぁ」

〈そうですねバイオロイドにとってもイノマンが必要だと思います。しかし残念ながら居場所は不明です。発振機とかも付いてませんし、でもアイリーンはイノマンと繋がっているんじゃなかったのですか〉

「イノマンはパパッと来れるみたいだけどうちには無理ね、この前みたいなテレポートも出来そうもない。仕方ないからイノマンは後回しにして先にケンタウルスアルファ星に向かいましょうよ、移民船はもう到着してるのかしら」

〈標準距離は4.5光年ですけどバイオキッドが乗った鈍足宇宙船は途中からコスモホールを利用してますからねあと1年半で到着します、僕たちも同じ頃に到着するように速度調整しながら追い掛けましょうか〉

「コスモホールって何かしらワームホールならこの前聞いて知ってるけど又イノマン博士の発明か何かなの」

〈コスモホールは恒星間張力によって引き起こされる自然現象です。誰かが昔、海を引き裂いたって話しを聞いたことがないですか、あれと同じようなものです〉

「ふ~ん、ちょっと違うんじゃない宇宙を引き裂いても距離は縮まらないよね」

〈ああ、すみません例えが悪かったかも知れません〖うずしお〗のほうが良かったですね、宇宙を引き裂くではなく空間を引き裂いて距離を縮めるのですよ〉

「わかったわ本当はよく分からないけど(つい最近も同じようなことを言った気がするわね)、まあいいわ直ぐに行けるんでしょう今すぐ行きましょうよ、ちょっと待って『同じ頃に着くようにしましょうね』って言ったよね本気出せばどのくらいで着くのよ」

〈本気の本気を出してコスモホールも利用すれば5ヶ月です。光速で4年半ですけどね、アイリーンが乗っているから加速と減速に時間を掛けないといけないですからね〉

「さすが光速キッドね、うちの事を気遣ってくれてありがとうね」

(コスモホールって浦島現象は起きないみたいだけど、どうせ聞いても分からないよね、それにやっと勉強から解放されたんだし…)

〈それでアイリーンはコールドスリープしときますか?〉

「簡単に言うけどあれも結構疲れるのよ、起きた時の感触は思い出すだけでも嫌だし、バキバキになっている身体をほぐすのも凄く痛いのよ。1年半でしょう、うちはもっと勉強しなくてはいけないと思うの…本当よ。テレポートのイメージトレーニングもしたいしね、それにいつまでも年を取らないと成長した昴くんに会った時、年下になってしまうわ、うちはお姉ちゃんと呼ばれたいんだから」

〈本音は最後の1小節ですね。わかりましたすみませんコールドスリープは冗談のつもりで聞いたのですよ、ここには設備がありませんからね。アイリーンもかなりお疲れの様子です。本来なら直ぐに切り込んで来ると思ってじゃれてみたくなったのですよ。ああそれなのに…それでは1年半分の食料とか日用品を仕入れましょうか〉

「AIキッドもうちにじゃれつきたい程に寂しいのね、でも強く生きるのよ? 仕入れましょうかってどこでよ、ここら辺にコンビニなんかないでしょう」

〈今、ちょうど移動販売所が来ましたよ〉

「バイオキッドみたいな冗談は言わないでよ… ちょっと待って、ねえ誰が来たって」

 アイリーンがそそくさと外部環境ディスプレイを操作する。

(外部スクリーンに映っているのってドロンパ号に似てるけどまさかね)

〈こちら地球防衛艦隊輸送艦キャメロット、スターキッド応答願えますか〉

「キッド! あんた黙っていたわね何で教えてくれなかったのよ」

〈教えたらアイリーンまたテレポートしちゃうかもって思ったんですよ、それともそのままの格好で宇宙に出て行くかもね、どちらにしたって誰もが迷惑する事になるから、皆の為だから、落ち込んでいるアイリーンを浮上させるサプライズも兼ねましてね〉

「失礼な言い方ね。でもまあいいわグズグズしてないでさっさと乗り込むわよ」

〈ほら直ぐにせっかちになる悪い癖ですよ、先に通信に応じて下さい。待たせてしまってますよ〉

「スターキッドのことを呼んでいたじゃない」

〈……〉

「はい、はい、分かりました。AIキッドは冗談が通じないから嫌いよ」

〈こちら地球防衛軍所属輸送艦キャメロット、スターキッド応答願います。アイリーン居るんでしょ!さっさと通信に応答しないと0点にするわよ〉

(何でゴートさんが乗ってるの反則じゃない)

「はいこちらスターキッド操縦者アイリーン、ドロンパ… え、え~っと」

〈キャメロットよ、本当に興味ないことは覚えないんだから何とかしないと追試験だよ、着艦許可は取ったからね、前回と同じ着艦方法にしてあげてる。だからと言って気を抜くんじゃないよ… 返事が遅いよ〉

「了解です。全身全霊集中して着艦します」

〈大変良い答えです。100点満点をあげても良いですよ〉

(褒められたんだよねだけど何か怖いわ)

〈リターン信号受信、着艦まであと15分… アイリーン、聞こえてますか?全集中してますか?〉

「ラジャー!」

 アイリーンは胸の奥が詰まって上手く言葉が出てこなくなってた。

(冥王星から地球に向けて飛び立ったたのが2年前でここまで30億Km、これから冥王星を通り越してケンタウルス座アルファ星まで42兆5千億Kmの彼方へ飛行するのに1年半、宇宙の落とし穴を利用するにしたって何か釈然としないわね… 宇宙ってうちが想像するより奥が深いのかもね…)

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