超能力少女なんちゃったりして 2
「キッドー、いま何時~」
(おかしいいつもの時間のはずなのに目覚ましキッドがやって来ない、しょうがないなぁ一人で起きるか、あれ…何でうちはスターキッドの操縦席で寝てるんだ)
「キッド、キッドー直ぐに来てー」
操縦席に座ったままとりあえず叫ぶ、とても寂しくて落ち着かない。
「アイリーンどうかしましたか」
やって来たバイオキッドはアイリーンの姿を見て赤面する。
「アイリーン前… 前がはだけてますよ」
バイオキッドがそっぽを向いて告げる。
確かにバスローブがお腹で縛っている紐を起点にX開放しているけど胸元と太ももが少しだけ見えている程度でそんなに騒ぐ程の事でもない。
それでも挙動不審に思えるバイオキッドを試してみる。
「キッドうちのこと…見た?」
(キッドの目がキョロキョロしていかにも見ましたと白状しているじゃない)
「あ、アイリーンが昨日、床の上で寝てしまったので他にどうしたら良かったんですか、それにそれ、バスローブと思い込んでますけど昨日スターキッドが気密プールで耐圧試験を受けた時の緊急処置用の万能シートを粘着テープでつなぎ合わせたものなんです。昨日は朝から健康診断と耐圧試験のために備品関係は全て艇の外に出していましたので、今この機体の中には食料も衣服もいつもはあるはずの物が何も無いんです」
「そういうことねバスローブにしてはえらい斬新な作りだと思ったわ、言わなきゃ分からなかったのに小心者ね、でも食料と水も無いのは死活問題よね」
「分かってはいましたけど正直者と言ってくれないのが残念です。水はありますよ氷を溶かしたものですけど」
「うちのことだんだん分かってきているじゃないの、だったらうちが次に何を言うかも分かるわよね」
(僕は間違ってもテレパストではないけど、今はアイリーンが考えていることが手に取るように分かってしまうよ~)
「とても僕の口からは言いたくないのでアイリーンが言って下さい」
僕の考えが間違いであることに僅かな望みを賭けて勝負に出た。
「キッド~ぉ、あんたが着ている服をよこしなさいな」
「ああやっぱり…僕の負けです。脱ぎますから後ろ向いて下さい」
「うちが後ろ向いててどうしろってのよ、キッドがあっち向くのよ、ほらさっさと脱ぎなさいよ」
「あぁ~、ちょっと引っ張らないで~」
「女の子みたいになよなよ脱がない、潔くパッと脱いでうちに渡すの…かなり大きいわね、まあ、曲げて曲げて何とかなりそうね…ちょっと待ってキッド!あんた何でパンツまで脱ごうとしてるのやめて、誰があんたのパンツなんか穿くものですかこの変態キッド!」
「アイリーンったら酷い、そんな言い方はないと思うな僕の好意を受け取ってよ…ほら」
「ぎゃー!こっち向かないで…で、何で何も付いて無いのよ、あんたもしかしてマネキンキッド?」
「ほらまたぁーそんな酷いことを言う。そんなんだと百年の恋も一瞬で冷めちゃいますよ」
「悪かったわよごめんなさい。しかし、誰が百年も片思いするってのかねぇ…それじゃぁちょっと触らせてもらうわね」
「どう言う脈絡でそうなるんですか!あっ、あっちょっとそんな触り方しないで」
例によってアイリーンの醸し出す雰囲気が一瞬で変わる。
『フフフ、いやはやなんとも素晴らしいものを私抜きで作ったものよ合格だ、いやいや久しぶりに嫉妬心が燃えたぞ』
「あ、アイリーンだよね、どうかしたの?」
「女の子みたいなことは言わないのよ」
(あれ、気のせいだったのかなあ)
「いや、いまアイリーンが変なことを言い出してなかった」
「何のこと分からないわ、へぇ~肌は柔らかいのね暖かいし、心臓?も動いているのね、でも乳首とおヘソと下が無いわ下はともかく、乳首とおヘソは書いといたほうがいいわね」
(油性ペンは無かったわね…残念だわ)
「ちょっと、まじで書くのはやめて下さいね」
「当たり前田のクラッカーでしょ」
バイオキッドはアイリーンが脱ぎ捨てた応急バスローブを分解して腰巻きにして再利用した。
「もうアイリーンの下らないジョークにも慣れてしまって突っ込みも入りませんよ、それよりこれからどうします。辿る道は1つしかないように思いますけど、今はまだ地球防衛基地は検査場爆発事故による混乱の渦中でしょうから僕たちのことまでは手が回っていないと思います(僕のことはあの爆発で消滅した事になるだろうけど、アイリーンはどうなのだろう)アイリーンは以前地球防衛隊日本駐屯所へ連絡したことがあったでしょう、そこを頼りましょう」
「わかったけど、ライフスターの爆発事故ってどういう事よ、まあいいわそれより呼び出しチャンネルを覚えてないわね、光一兄ちゃんじゃなくてキャプテンがやってくれたからね、キッドなら分かるよね」
(基地の検査場の爆発事故って原因はなんだったのだろう、まさかキッドがやったって事はないよね)
「ご期待に沿いましょう。でも話をするのはアイリーンですからねヘッドセット着けて下さい。今は現地時間2007年6月2日土曜日午前8時55分です。準光速移動による時差が5年間でほぼ1年発生してますね」
「キッドさあ、うち明日が10才の誕生日なん?」
「アイリーンは5日前に9才の誕生日を迎えたばかりでしょ、この話しはややこしくなるのでやめますよ、ほら通信して」
「こちらは、行動調査チーム所属スターキッドよりアイリーン、地球防衛隊日本駐屯所応答願います。どうぞ」
「……」
「返事がないわね、おかしいわねチャンネルを変えたのかなぁ」
「いえ、呼び出しチャンネルは間違いないですけど、変ですねもう一度呼びましょうか」
「こちらは行動調査チーム所属スターキッドのアイリーン地球防衛隊日本駐屯所応答願います。どうぞ」
〈あーあ、こちらは地球防衛基地日本支部スターキッドは当方を呼び出しているのかな、どうぞ〉
「キッドあんなことを言っているよ」
「相手さんの名称が変わってたみたいですね、ここは下手に出て機嫌を取ったが良いでしょう」
通信機は切っているのだが2人して小声で話してしまう。
「こちらスターキッドそちらの名称を間違えた事をお詫びします。田舎暮らしが長く世情に疎くなっていて変更があったのを知らなかったです。改めてお願いします、緊急事態発生のため日本支部への着陸を許可願います。どうぞ」
「上手い誤魔化し方ですね、感心しましたよ」
「茶化さないの!」
〈こちら日本支部、詳細を知らせて下さい。どうぞ〉
「地球防衛基地の検査場で爆発事故があり、その影響による空間変位に巻き込まれたみたいで気が付いたら地球の衛星軌道上、現在地点にいました。基地のほうがまだ混乱状態にある様子でして連絡が取れませんので日本支部に緊急避難の許可をお願いします。どうぞ」
〈こちら日本支部、今アイリーンさんとスターキッドの登録確認が取れました、あとアイリーンさんは以前駐屯所経由での一般通信履歴がありましたし、スターキッドはあの人型バイオロイドAI端末搭載の光速宇宙艇ですよね心より歓迎致します。誘導ビーコン発信しますのでそれに乗って1番ゲートへ着陸願います。リムジンを向かわせますので入国手続きは車の中で済ませて下さい。了解ですか、どうぞ〉
「スターキッド了解、あの、1つお願いがありまして事故に巻き込まれた時2人共、その…入浴中でして着る物を2人分用意して頂けないないでしょうか、どうぞ」
〈日本支部了解しました。用意しますのでサイズを教えて下さい、どうぞ。… 2人で入浴されていたのですか?〉
「違うわよ!以上スターキッド通信終わり。ばか!」
〈アイリーンさんは普通の女の子だったんですね安心しました。日本支部通信終わり〉
(もうどいつもこいつも、うちの事を何だと思ってるのよ)
「キッドさん聞きまして1番ゲートですってリムジンでお迎えですってVIP.待遇じゃない」
「行ってらっしゃい、そしてちやほやされて来ると良いですよ」
バイオキッドは副操縦席から手を振った。




