プリまし
「お姉ちゃん。昨日新しい子がきたんですって?どんな子ですか??」
レッスンが終わると、妹が話しかけてきた。
「ええ。誰とでも仲良くなれる素敵な子よ。翠も仲良くなれると思うわ。」
「あら、それは楽しみですわ!」
この子は私の妹の田中翠。
私に対して好きって気持ちを全面的に出して接してくる良い子だ。
普段はあんまりベタベタする人は好きじゃないんだけど、不思議と翠は受け入れたくなるのよね。
私の行くところについてくるし、なんでも言うことを聞いてくれるから都合が…ゲフンゲフン。もとい……
言い逃れできません。
結構振り回しちゃってる。
そんな妹だけど、姉という視点を抜きにしてもまず顔が可愛いの。そして誰にでも優しい。それなのに周りからどう見られているか、思われているか、少し鈍いところがあってちょっと危なっかしい。
だからこそ、お姉ちゃんの私がしっかりサポートしてあげなきゃね。
「ねえお姉ちゃん。昨日の『プリまし』まだ見てないでしょ?一緒に見ましょう。」
「今回は確か、薫ちゃんが新曲を披露するのよね?早く見たいわ。」
実は私、アイドルに憧れてるの。
キャッ。言っちゃった。
あんなキラキラして、眩しくて…。
そんな存在に私もなりたい。
テレビに出たいとか、そういう気持ちはあまりわからないけど、とにかく歌って踊ることが楽しくて。その副産物としてみんなが笑顔になるならもっと楽しい。そんな感じ。
トップアイドルになりたいってわけでもなく、ただ見てほしい人に見せられればいい。
今はママや妹の翠くらいしか見せる相手がいないけど、もっと見せたい人が増えるといいな。
その点、薫ちゃんは好きな人のためにまっしぐらで、より憧れちゃう。
早く見なきゃ。今日のステージはどんなキラキラを見せてくれるんだろう。