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緑と桃とアイドルと  作者: ぴっぴ
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入学、そして転入生

ある日、1人の女の子がうちのダンスレッスン教室に入ってきた。名前は朱雀院桜子すざくいんさくらこっていうみたい。なんか仰々しい。

久々に妹やママ以外とダンスができそうで、嬉しくなってつい自分から声をかけてしまった。

でもとても嬉しそうにしていたから良かった。


朱雀院さんはその日は踊ったりはせずに見学だけして帰ってしまった。

まぁ、焦ることはない。今度こそ仲良くなれるといいな。


そして次の日。入学式だ。気合の入った私立というわけでもなく、ごく普通の少し田舎の公立。

結果から言うと、朱雀院さんと同じクラスになった。1学年1クラスなので当たり前と言えば当たり前だけど、なんでそんな中で朱雀院さんのことを知らなかったのかと言うと、今年度から引っ越してきたみたい。


私もぼっちの名をほしいままにする者(そう、何を隠そう私はぼっちなのである!…そこ!笑うな!)として、少し心配していたんだけど、取り越し苦労だった。

あっという間にみんなと仲良くなり、それどころかみんなの中心のような位置にいる。…くっ。これがコミュ力というやつか…

私が築けない関係をいとも簡単に…!



くらえ!嫉妬ビーム!


これで明日、朱雀院さんは寝癖がどうしても治らずみんなに笑われる呪いにかかった。




…はぁ。

こんなことやってるからぼっちなんだよね。反省反省。


ーーー



「気をつけ、礼。」

「「「ありがとうございました」」」


悲しい1日だった。己の薄っぺらさを再認識してしまった。

…ま、いっか。帰ろ。

「田中さん、さようなら!」

「うん。さようなら」


あ、申し遅れました。私の名前は田中碧(たなかあおい)。…そこ!朱雀院に比べて地味すぎって顔すんな!


こんな感じでみんなちょくちょく挨拶してくれたり、話しかけてはくれる。でも、すぐ駆け足で去って行っちゃうのよね…。嫌われ由来のぼっちではないだろうなとは思うし、だからこそそこまで現状を変えようと頑張る気が起きないのだけれど。


鞄を持って教室を後にし、下駄箱まで来たところで。

「田中さん。田中さん。」

お化けが話しかけてきた。

「わたしこの後ダンスレッスン行くんだけど、一緒に行こう?」

一応クエスチョンマークはついてるけど、もうそうする気満々って感じ。コミュ力の根底にはこの押しの強さありってところかな。

だからというかなんというか、意地悪したくなった。


「今日、「田中ダンスレッスン教室」はお休みですよ?」

ふっ、勝ったな。


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