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緑と桃とアイドルと  作者: ぴっぴ
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これが出会い、です

初めて彼女と話した時、わたしは「一緒にいて楽しいな」と感じました。それはわたしの専売特許のはずなのに…。


わたしは人の心が読めます。…ええ、恥ずかしいことを言ってることはわかっています。

読めるとは言っても、人の表情や声色などの微妙な変化から感情がよく感じ取れてしまうというだけのことなのです。


もちろん、会話などを通じて芽生えた感情などを読み取るだけで、心の奥底にある深層心理、簡単に言えば夢や願いなどが簡単にわかるわけではありません。

異能のように紹介してしまいましたが、このくらいのことは「コミュ力お化け」と呼ばれる方々なら無意識に感じ取っているレベルかもしれません。



とはいえ、どう会話したら喜ぶか、この後どう行動すれば信頼してくれるかわかるのですから、そりゃあもうみなさんに好かれますし、モテます。モッテモテです。…嘘です。好かれたくもない男子女子相手にそんな配慮しません。

配慮してもその結果がむしろ相手にとって逆効果になることもままあります。それが人の難しいところであり、面白いところです。日々勉強です。



話を戻しましょう。彼女の話です。

同じような能力を疑いたくもなりますが、どうも配慮されている、低俗に言えば胡麻をすられているわけでもなく、むしろ思ったことはただ発しているだけのように感じました。

楽しいって感じた時に「楽しいね」って言えるとても素直で、実直な子です。

それでもなぜか居心地が良く、そして目が離せなくなってしまいます。


久しぶりに自分の感情について考えた気がします。自分の気持ちより先に相手に思いやり、配慮する人生でしたから。

でも、この子の前では「自分」を素直に出せる気がします。

そして確信しました。わたしはこの子のずっと友達でいるんだ、と。


ーーーーーー


まだわたしの番です。

彼女との出会いは中学の入学式前日。わたしがダンスレッスン教室に体験入会に行ったその先に彼女はいました。

ダンス?ダンスが好きだったの?って気持ちもよくわかりますが、わたしの込み入ったプロフィールは後で良いのです。え?わたしじゃなく彼女のプロフィール?わかったからもう少し待ってください。


わたしは見惚れてしまいました。わたしはそこまで技術的な部分を語れるほど教養があるわけではありません。でも、仕草ひとつひとつが魅力的でした。ぼーっと彼女を見ていると、踊り終わったのかこちらに近づいてきました。

「あなたが新人さん?よろしくね」

「う、うん!よろしく!」


久々に取り繕うことを忘れていました。

そんなうわべなことを考える余地がないくらい、彼女は魅力的でした。

会話や雰囲気で心地よくさせてくれるなんてわけじゃない、彼女が意図して行った動作全てが力強く伝わってきます。これはたぶんわたしだからこそ感じられるなんてわけでもなく、誰しもが感じ取れる、ある種暴力的と言ってもいい感情表現。それが暴力にならないのは、ひとえに彼女が魅力的だから。

自分でも何を言っているのかわからなくなってまいりました。

とりあえず今はこの辺でいいでしょう。

勉強はそこそこ、人の機嫌をとりながらひょうひょうとこなしてきたこの毎日がやっと動き始めます。


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