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30.部活見学①〜ダイブルーム〜

◼️前回までのあらすじ◼️

eスポーツ部にスカウトされた真雪は、とりあえずという事で部活見学をすることにしたのであった。

 私はeスポーツ部の部長さんに連れられて、ダイブルームまでやってきた。


 今、私は用意された椅子に座って、ダイブルームの端で一二年の部員達が部屋の清掃と換気をしているのを眺めている。


 部長さん曰く、部活の開始前と開始後に部屋を掃除・換気することが部活の決まりとなっているみたいだ。最上級生の三年生は見てるだけというワケではなく、大きなサーバマシンに端末をリンクさせ、機材の動作確認とメンテナンスをしているとのことだった。


「先週はブレバトメンテで部活が休みだったからな、埃が溜まってると思うんで、念入りに掃除と除菌するんだぞ」


 私の横で部長が下級生に指示を出している。


 下級生達は「はい!」と元気に返事を返すが、その視線がチラリと私に向くことがあり、その視線が痛い。


「あの、部長さん。私もお手伝い――」


「いや、君については今日のゲストなので雑用をやらせるわけにはいかない」


 私の言葉を遮って部長さんが答える。


「それに――」


 部長さんが視線を向けた先には、朱音ちゃんと美月ちゃんが掃除の手を止めて、私に座ったままでいてとハンドサインを送っている。


「君のクラスメイトと担任から、君に運動させてはダメだと言われているのでな」


 はっはっはー、と笑う部長さん。


 私は申し訳なくて肩を窄める。そうしていると、ダイブルームの入り口に明るい声が響いた。


「ごめ〜ん。補習で遅れちった〜」


 遅れて入ってきたのが、ツインテールの可愛い女の子だった。


「ギリ間に合った?」


「遅刻だ。あとでペナルティーの腕立て30回な」


「うげ、マジで」


 明るい声とともに部屋に入ってきた少女は、筋肉質の三年生の先輩に遅刻ペナルティーを言い渡されて嫌そうに顔を顰めた。

 っていうか、今気づいたのだけど、ツインテールの子が着けているリボンタイの色が緑色だった。ということはこの幼く見えるツインテールの子も三年生のようだ。ぱっと見、私と同じ一年生かと思っていた。


「せっつん、怖いよー。キュートな胡桃ちゃんを筋肉マッチョにしようとしている変態さんがいるよー」


 ツインテールの先輩は、泣き真似しながら部長さんに抱きつく。その行動は同性の私から見ても可愛らしく思えた。


「はっはっは。私に泣きつかれても、一応、部のルールだからな。膝付けでいいんで、ちゃんと腕立てやるんだぞ」


「むー、ってあれ、新しい子?」


 部長に軽くあしらわれむくれ顔のツインテール先輩と目が合う。


「そうだ。今日、私がスカウトして来た」


「へー、って事は()()()って事か。

 ふーん、そんなに強そうには見えないけどねー」


 ツインテールの先輩は目を細めて私の事を観察する。


「こら、そうジロジロ見てやるな。後輩が緊張してるだろ」


「そうね。最上級生で大人の私に睨まれたら、若い後輩は緊張しちゃうか。

 ごめんね。私は百瀬(ももせ) 胡桃(くるみ)。よろしくにゃん」


 可愛らしく自己紹介する先輩に、私も「よろしくお願いします」と頭を下げた。


「……う〜ん。第一印象じゃ、どっちか分かんにゃいな」


 小声でそう漏らす百瀬先輩の言葉に、私は首を傾げた。なんだかすごく観察されてる気がするんだけど、なんだろう?


「ま、いいや。掃除も終わりそうだし、ちゃっちゃと腕立てして、部活を始めよう」


 そう言い残して、百瀬先輩は部屋の隅で腕立てを始めた。


 百瀬先輩の腕立てが終わる頃には、掃除と換気も終わり、部長の周りに部員が集まっていた。その中には男子生徒もいる。共学校なんだけど、男子と女子で校舎が分かれているため、男子生徒を間近で見るのは初めてかもしれない。


「それでは部活を始めるぞ。


 っとその前に気づいているかと思うが、今日は一人見学の子がいる。


 1年E組の柊木 真雪ちゃんだ」


 部長さんは部活が始まる前に、私の事を紹介してくれる。部長を抜いた総勢13名の部員はクラス名を聞いて少し騒つく。


「1のEってもしかして副部長を瞬殺したあのプレイヤー?」

「想像してたイメージと違うね」

「榎崎さん、あの子ら本物?」

「ほう。やはり慎一郎を斃した子か……」


 なんだか分からないけど、色々と言葉が飛び交っている。しかし、そのざわめきを部長が手を叩いて止める。


「みんな、色々と聞きたいことがあると思うが、今日はこの子は見学だ。みんなはいつも通りブレバトの練習をしてくれればいい」


 部長さんはそう部員に伝えて、いつも通りダイブカプセルへ入るように指示する。


 部員は総勢14名。ダイブカプセルは20あるので全員カプセルに入っても余る計算になる。


「モニターで見ることもできるが、ダイブして目の前で見た方がいいかな?」


 部長さんは私に空いているダイブカプセルを勧める。


 私も直接ダイブして見たほうがいいと思ったので「ありがとうございます」とお礼を言ってダイブカプセルに入った。


 入り側に部長さんはメガネでイケメンの先輩と何やら話をしていた。どうやら私が本当に『Snow』なのか疑っていたみたいである。


 だよねー。Snowはあんなに強そうなのに中身がこんな弱々しい私だって言われても信用できないもんね……


 私は苦笑しながらも、鞄と靴を棚に仕舞ってリクライニングシートに横になり、ブレバトを起動した。


 病院でもう一度師匠に会おうとして、先生達が見舞いに来てくれた翌日にブレバトを起動した時はなんかメンテナンス中となっていてダイブ出来なかったので、何気にスポーツ大会で倒れた時以来のダイブになる。


「久しぶりのダイブだな。よし、ダイブ――」


 身体がフルダイブ独特の浮遊感に包まれ、そして意識はゲームの世界に落ちていくのであった。

◼️登場人物紹介(仮)◼️

eスポーツ部の部員は総勢14名です。

キャラ名が出てき次第、補足していきます。


〈三年生〉

・久遠寺 刹那

  部長、兼エース。黒髪ロング、涙ホクロの和風女子。

・椛谷 慎一郎

  副部長、兼参謀。縁無しメガネのインテリ系イケメン

・百瀬 胡桃

  ツインテールで見た目が幼い女子。あざとい。

・楠木 緋鞠

  赤縁メガネ、ショートボブの女子。

・芦田 彰

  角刈り、筋肉マッチョ。


〈二年生〉

・風祭 楓

  目つきの悪いショートヘア。転校生。次期エース候補

・???

・???

・???


〈一年生〉

・榎崎 朱音

  サイドテールの元気っ娘。期待の新人。

・大鍬 美月

  三つ編みの知的美人。

・???

・???

・???


(見学)

・柊木 真雪

  病弱っ娘

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― 新着の感想 ―
[一言] ゆっくりでいいんで連載続けてくれると嬉しいです。 続き楽しみにしてます〜
[良い点] 大人の女性は自分を大人だとアピールしなヤメテクダサイシンデシマイマス
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