「第一話 魔人」
俺はスラム街の地に足を踏み入れた。
「おいおい。スラム街って言ってもこんなに人がいないこととかあるか?」
俺は同じUGNに所属している女友達の零に疑問を投げかけた。
ちなみにUGNっていうのは俺たち魔術師によって大半が構成されていて魔術関係の事件の対処や調査。
他には魔術師の援助なども行っている結構大きな組織だ。
そして今回俺は魔人の出現通報を受けて零と一緒に任務に来ていたのだ。
「当たり前ですよ。魔人が出現したんですよ。ここら一体の人たちは避難か家にでもうずくまっているでんしょう。」
「なるほど。ていうか普通に考えたらそうだろうな。」
俺はさっきの質問は愚弄だったなと少し思った。
「祐司君。向こうから何者かの魔力反応がある。」
「あぁ。たぶん魔人のだろうな。」
俺たちは魔力を感じる方へと足を進めた。
すこし進んであと五メートルほどという所まで来ていた。
「ここを曲がったところですよ。準備はいいですか?」
「あぁ。行こう。」
俺たちは建物の角を曲がった。
するとそこには灰色の肌をした人型の怪物が居た。
何やら地面に座り込んで何かしているようだ。
薄暗い中それに目を凝らせた俺は今の現状を理解してしまった。
「っち。一足遅かったか。」
怪物は人であったであろう肉塊にむさぼりついている。
その瞬間カラスの鳴き声があたりに響いた。
「っひ!」
零がその音に驚き声を上げた。
その音にきずいたのか魔人はむさぼるのをやめこちらを向いた。
「よし。やるぞ、零!」
「は、はい!」
俺は身構え拳と足に力を集中させる。
零は呪文詠唱の態勢に入った。
そうしていると魔人の背中からズバっと羽が生えたのだ。
そして地をけりあげて空中に浮かび上がった。
「っち。こんなこともできるのかよ。」
その瞬間怪物は零に狙いを定め飛び込んできたのだ。
しかし俺はそれを見逃さず零の至近距離まで迫ってきた魔人の顔面に拳で強烈な一撃を叩き込んだ。
俺の拳を受けた魔人は勢いよく後ろへ吹き飛んだ。
「大丈夫か?零。」
「はい!ありがとうございます!」
「よし。じゃあもう終わりとするか。零行けるか?」
「はい。魔力充填完了しました。」
そういうと零は地面に倒れてもがいている魔人に狙いを定めた。
「氷結呪文、コールドブリザード!!」
その瞬間倒れている魔人を囲むように魔方陣が生成され鋭いつららが何個も放たれ魔人の体を貫通していった。
「うわ。結構えぐいことするよなお前。」
「うるさいですよ。そんなことより。たぶんまだ生きてますよあれ。」
「うっそだろ!?あんな状態でまだ生きているのかよアイツ。どんな生命力だ。まあ、再生しないだけましか。」
「分かったんで早くしないと逃げられちゃいますよ。」
そんな会話をしていると魔人は穴だらけの体で立ち上がりこちらを凝視してきたのだ。
「なんだあいつあの体でまだやるつもりなのか?」
その瞬間俺の立っている地面に魔方陣が生成されから炎が放たれた。
「んなっ!」
間一髪だった。
俺の反応が少し遅れて後方にジャンプできていなかったら結構やばかったかもな。
「あぶねえなこの野郎!!」
「大丈夫ですか祐司君!!」
「あぁ。何とかな。にしてもアイツまだ隠し玉を持っていたとはな。でももう終わりだ。」
俺は手を広げ力を集中させた。
そして紅い光を放ったと思うと俺は紅い光を放つ短剣を握っていたのだ。
これが俺の使うことのできる魔術の一つ「深紅の魔剣」。
そして俺は地をけり魔人に近づきその首を斬り落とした。