夏の思いで
一章
「申し訳ございませんでした」
目の前のテレビから謝罪の音声が流れてきた
テレビにはニュースがながれており
40代男性教職員による性的暴行および体罰による
謝罪会見だった
職員と校長先生が2人とも涙をながしながら謝っていた
僕は昔似たような光景を見たことがある
10年前
当時僕は中学2年生だった
夏の大会にむけその日は入部している野球部の練習があった
僕がいた中学校は近隣の学校から馬鹿にされるぐらい
どの部活道も弱かった
それもあいまってなのか部活はとても緩く幽霊部員も多かった
しかしそれは去年までの話しだった
今年から入ってきた新人の先生が野球部の顧問になった
年齢は20代そこそこだったが
昭和によくいる熱血的な先生だ
野球部をどうしても夏の大会で優勝させたく
今年から厳しい練習が始まった
7月の初めの頃だった
その日はいつも通りキャッチボールとノックを終え
バッティング練習を始めて10分頃だ
バッティングをしていた石井が急に倒れこんだ
7月に入ってから大会が近くに迫ってることもあり
なかなか休憩をとらせてもらえず
ひどい日は炎天下の中3時間は休憩をとれないまま
練習をさせられていた
その日もキャッチボールの後に5分間の給水をとってからは
いっさいの休憩をとらせてもらえなかった
石井が1分ぐらい倒れこんだままだった
その光景を見た顧問の先生がこちらにきた
先生は顔色の悪い石井をみて胸ぐらを掴んだ
「夏の大会前なのになにをしてる。お前がいなくなったら試合もでれなくなるんだぞ」
と怒鳴りあげた
石井は意識はあったため
「すみません」
と言いすぐさま練習に戻ってしまった
周りのみんなは心配をしている様子ではあったが先生に逆らうことが怖いためだれも休ませようなんて意見をいえなかった
石井が倒れたことに腹を立てたのかは知らないがこの日はいつもより休憩の数がすくなった
練習を終え道具の片づけをしてる時だった
ボールの整理をしていた石井がまた倒れこんだ
石井の顔はまっ青で意識もないため
流石にやばいと思ったのか先生は急いで救急車を呼び
10分もしないうちに救急隊は到着し
石井が運ばれていった
しかし、この日石井は死んだ
次の日学校で石井が死んだことを報告された
昨日のことを親に話した生徒がいるらしく
朝から学校にクレームを言いにきてる親御さんたちを何人もみかけた
そのこともあったせいか一週間後に謝罪会見が開かれ
顧問の先生は解雇に野球部の夏の大会の出場停止が発表された
これが最初にみた謝罪会見だった