お茶会、油断大敵です
誤字脱字などのご指摘を頂きましたら順次直していきたいと思います。
楽しんで頂けると幸いです!
呼び方を少々変更しました〜
ルーニャと呼ばれていた少女は王妃から招待を受け、王宮にお茶会をしに来ていた。
まぁ、これはお茶会という名の顔合わせであろうが。
「王妃様、本日はお茶会に呼んで頂き光栄に思います」
彼女は王妃に向かい、綺麗なカーテシーをする。
「あらァ〜・・・今日はそこまで畏まらなくてもいいのよ?だって私達しか居ないのだもの」
そう、今日という日が顔合わせだと思っていた彼女は拍子抜けしていた。
「いえ、そういう訳にはいきませんわ。今回の件で親しくさせて頂くと以後、それが出てしまいそうですから。辞退することも無礼と存じますが、どうかお許しください」
「あら?いいのよ?これから義理とは言え親子になるんですもの。そこまで遠慮されると悲しいわ」
「ですが・・・・・・」
「ふぅ・・・まぁ、今日はいいわ。でも、いつか、義母様と呼んで頂きますからね!態度も母に接するそれで!いつか、女の子に呼んで欲しかったのよ〜」
「・・・」
王妃は初めのうちはしっかりしていたが、次第に心の声が漏れていた。
「あぁ、そう言えば今日のお茶会はね、あなた達の顔合わせのはずだったのだけど、息子がどうも忙しいらしくてね。息子は後から来るわ」
顔合わせと思い気を張っていたが初め王妃しか居ないのを見て緩んでいた心に王妃の言葉は大打撃を与えた。
(う、嘘でしょ!?・・・・・・でも、それならそれで当初の計画通り頑張るだけね。・・・どうにかして殿下との婚約は破棄しなくては!とっても今更だけど王太子妃になった時点で勉学に追われ本を読む時間など無くなる!王妃などになろうものなら詰み、ね。本があればどこでもいいとは言ったけど、読めなければ意味ないわ!殿下は多分、今まで猛獣のような女に追われ疲弊し、少なからず苦手意識があるはず!だからこそ、利用させてもらうわ!今日のためだけに苦手な香水をたぁ〜ぷり付けたわ!そして、殿下を本に見立てれば熱ぅ〜い視線もクリアよ!どうにかして嫌われて婚約破棄を意地でもしてやる!・・・・・・でも、懸念があるとすれば殿下の性格ね。人形王子、ねぇ。私の張りぼての恋心と打算、見破られないかしら?)
そう。今回彼女の婚約者である彼は巷では人形王子と揶揄されていた。
何をやらせても人並み以上にこなす。
社交も、勉学も、武術も。
顔にはいつなんどきも絶やさぬ笑み。
そんな彼に嫉妬し、畏怖したが故に付けられた二つ名。
それが人形王子だ。
彼が喜んだ所も、怒った所も、哀しんだ所も、楽しんだ所も、誰も見たことがない。
彼の両親である陛下達もだ。
御世話係も然り。
彼の心は誰一人として読める者はいない。
しかし、彼は誰の心でも読むことができる。
これは誰が言った言葉だろうか?
彼女はこの噂が真実か嘘かは知り得ない。
だからこそ、怖い。
(前世で完璧なあまり喜怒哀楽の乏しいヒーローなんて、掃いて捨てるほど見たわ。だからこそ、『周りと違う』・・・いわば『特別』に依存する傾向にある事も知ってるわ。だってそれが、王道だから。だからこそ私は『周りと同じ』・・・・・・いわば『平凡』を目指す。前世の記憶持ちの転生者、という時点で少し特別寄りだけど、まだ、行けるわ!昨今では悪役令嬢のざまぁ物も多い!希望はまだあるわ!)
彼女は既に『周りと違う』物を一つ持っていた。
だが、他が『周りと同じ』なら・・・・・・外見的特徴でない『周りと違う』物は誤魔化せるのでは無いか?
彼女の持っている『周りと違う』物は他にも、持っている人がいるのではないか?
そんな淡い希望を彼女は胸に、王太子との対面に備えるのだった。
そんな彼女は気づいていない。
自身の持っている『周りと違う』物は幾つもあるということに。
『転生者』というものが与える付随効果に、未だ気付かずにいた。
王妃様「早く義母様と呼んで欲しいわ〜」
ルーニャ「本の為、目指せ婚約破棄よ!」
王妃様「あら〜?王族にしか見ることの出来ない本もあるわよ〜?」
ルーニャ「(*`ω´)ぐぬぬ・・・」
王子「匂いキツイし、この熱い視線、周りと同じだよ( ´・ω・`)」
周囲「今に化けの皮が剥がれるよ( ◜௰◝ )」