乙女ゲーム始動、つかの間の天国です
誤字脱字などのご指摘を頂きましたら順次直していきたいと思います。
いつもよりは長めなはずです(´・ω・`)
お待たせした(*・ω・)*_ _)ペコリ
楽しんで頂けたら幸いです
エルデビルトに先導され、訪れた部屋はこの学園で一番防音が効いた部屋だった。
「エルデビルト、そこで見張っててちょうだい」
「かしこまりました」
エルデビルトにそう言い残し彼女らはその部屋へと入る。
エルデビルトはヒーリアの言いつけ通り、扉の前で待機しているのだった。
部屋に入り、この空間にはルーニャとヒーリアの二人しか居ない。
重い沈黙がこの場を支配するが、先に沈黙を破ったのはヒーリアだった。
「さて、唐突ですが、エルルーニャ様に一つお聞きしたいことがあるんですの」
「まぁ、どうなさいましたの?」
「エルルーニャ様は、日の丸というものはご存知ですか?」
「・・・・・・そこはもっと直接的に転生者ですかと聞けばよろしかったのに」
「・・・やった!やっぱりそうなんだ!あ、話し方これでいいかな?あとね、あとね、私のことはヒーリアって呼んで!様なんて付けないで欲しいなぁ〜・・・」
彼女はヒーリアの「日の丸」と言う発言に目を少し見開いたがそこからあることを察し、あのような返答をしていた。
彼女の返答にヒーリアは貴族令嬢らしからぬが、ぴょんぴょんと跳ねて喜んでいた。
そんなヒーリアの行動を微笑ましそうに彼女は見つめる。
それはまるでどこか昔を懐かしむようなものだった。
「分かったわ。私のことはルーニャと呼んでちょうだい。この貴族口調なのは気にしないでくださいまし。こうでもしてないと、平素でも素が出てしまいそうで怖いのですわ」
「え、えぇ、分かった」
ヒーリアは彼女の視線と落ち着きぶりに自分のはしゃぎっぷりを恥ずかしく感じ、茹でダコのように真っ赤な顔をする。
(懐かしいわ。私の妹もこんな子だった。クルクルと表情が変わって、忙しなくて、危なっかしくて、老若男女問わず魅了してしまう私の自慢の妹。私も外面を取り繕うのは上手かったからそこまで姉妹の差を周りに言われたことはない。まぁ、妹は少なからず私に劣等感を抱いてたようだけど・・・・・・三歳の差は意外と大きいんだから、姉である私と比べるほどの事でもないのにね。またそこが可愛かったわぁ〜・・・)
「ところでルーニャさん、貴女の向こうでの名前を聞いてもいい?」
「ふふふ、ルーニャと呼び捨てでもいいんですのよ?・・・そう、ですわね、前世の名前は城田李凛ですわ」
彼女が前世の名前を言った瞬間、ヒーリアは目を見開く。
その瞳からは一筋の雫が頬を伝ってゆく。
その様子に彼女は焦るが、次の一言で合点がいった。
そう、彼女の直感は間違っていなかったのだ。
「わ、私は城田瑠璃だよ?分かるよね、お姉ちゃん?」
「もちろん分かりますわ。妹相手にこの喋り方は違和感しかありませんが、致し方ありませんわよね?向こうでの私を知ってる貴女なら分かりますわよね?」
「うん。あんな猿山のボスみたいなお姉ちゃんがそんな喋り方なんて、鳥肌モノだよ・・・て、人の頭を撫でるな!」
ポロポロと涙を流すヒーリアの頭を彼女は撫でる。
これは前世でよくやっていた事だ。
悪いことや良いことがあるときは頭を撫でたりギュッと抱きしめあったりした。
その行為に昔を思い出しているのかヒーリアは更に泣き出す。
遂には嗚咽を漏らして。
その様子を彼女は微笑ましそうに見つめながらもヒーリアの頭を撫でる手は止めなかった。
あれから、どのぐらいの時間が経ったのだろうか?
ヒーリアは泣きやみ、今では赤く腫れた目のみがヒーリアが泣いていたことを証明するものとなっている。
彼女は未だにヒーリアの頭を撫でながら微笑んでいる。
今までのことにヒーリアは羞恥を覚え顔を赤らめるが咳払いを一つするとやっとの思いで喋りだした。
「お姉ちゃん、察しはついてるかもだけど、ここはある乙女ゲームの世界なのよ。しかも、プレイはスマホでしか出来なかった」
彼女はヒーリアを撫でている手をおろすと真剣な表情でヒーリアを見つめる。
ヒーリアも負けじと、彼女を睨む勢いで見つめた。
「そうですのね・・・・・・でも、私は乙女ゲームは管轄外ですわ」
「そういえば、そうだったね。お姉ちゃん、小説とか漫画ならそういうの見るのにゲームはRPGとかバトロワとか音ゲーばかりだったもんね」
「ええ、そうですわ。まぁ、そのような事は置いておいて、そのゲームの詳細を教えてもらってもよろしいです?」
(嘘でしょ!?ここにきて乙女ゲームを避けていたのが仇になるなんて!乙女ゲームは基本的には課金しないと楽しめないものが多かったから自分の財布のために避けてたんだけど・・・・・・やってれば良かったと今更と分かっていても後悔するなぁ・・・まぁ、私のゲームでの立ち位置は悪役なんだろうなぁ〜・・・初っ端からヒロインが婚約者なんてほぼ有り得ないもの。婚約者は悪役令嬢のポジションよね!・・・これ、私に死亡フラグとかあるのかな?)
悶々と後悔し、有り得る可能性を考えている彼女にヒーリアはある紙束を渡した。
「あぁ、この紙束あげるよ。ここに全部書いてるから・・・・・・やっぱり、あのヤンチャなお姉ちゃんがその口調だと鳥肌立つよ・・・」
(おっ、ナイス!流石私の自慢の妹!用意周到ね!だから、鳥肌云々は目をつぶっておくからね!)
「それはもう、諦めてくださいまし・・・まぁ、その紙束は有難く頂きますわ。家に帰ったらじっくり読みますわね」
「うん!まぁ、話したいことはこれぐらいかな?付き合ってくれてありがとね、お姉ちゃん」
「いえ、こちらこそ助かりましたわ」
「・・・後は、よろしくね?」
ヒーリアが最後にぼそっと言った言葉は紙束を流し見している彼女の耳には届かなかった。
そして、意気揚々と部屋を出た彼女は彼に捕まり、紙束を読む暇なく、お説教をされるのだった。
ルーニャ「可愛い、可愛い。ヨシヨシ(。´・ω・)ノ゛」
ヒーリア「やめろぉ(/// ^///)」
ルーニャ「ほんと、家の妹は可愛いわぁ〜」
ヒーリア「そんなこと言われてもヒロインは押し付けるから(ボソッ)」
ルーニャ「ん?今なんて?( ´ •௰• ` )」
ヒーリア「なんでもなぁ〜い!」
レイル「みぃ〜つけた( *´꒳`* )」
ルーニャ「ごめんなさい(´・ω・`)」