デート(?)前、詰む通り越して地獄に落ちました
誤字脱字などのご指摘を頂きましたら順次直していきたいと思います。
楽しんで頂けると幸いです!
今更感ありますが一応殿下は3歳年上の8歳です。
5歳で2人ともあれはやばいです( ´・ω・`)
ルーニャちゃんは転生者で通せるけど、レイルくんは無理!だから一応8歳で!
また今度設定集作ります( ´・ω・`)
いつもは静かなシフォア家の庭園では二人の男女が言い合いをしていた。
「ル、ルーニャお嬢様!?今日は殿下とお約束がありますよね!?何故、庶民の服を着ているのですか!?」
「セルバンテス、うるさいわよ!今日は本のバザーがあるのよ!?行かないという選択肢なんてあると思ってますの?・・・否、有り得ませんわ!私は何がなんでも行ってやりますわ!」
年相応と言うべきか、彼女は駄々をこねる。
そんな彼女とセルバンテスと呼ばれた執事のやり取りを1人の男が遠目から眺めていた。
「ルーニャお嬢様!!!お願いですから、殿下との約束はお守りください!罰せられるかもですよ!?」
「上等ですわ!罰すると言えば婚約破棄ですわよね!大歓迎です!と言うことで、私はバザーに行ってまいりますわ!」
彼女が五歳児の女の子のそれとは思えない俊敏な動きでセルバンテスから逃げ出し、遠目から眺めていた男の方へ走っていく。
「ふふん!私を舐めたのが貴方の敗因よ!」
執事の方を見てばかりいた彼女は前を見ておらず、男とぶつかった。
「ヘブッ・・・・・・ごめんなさ・・・・・・」
勢いよくぶつかったが、男が受け止めてくれたのでお尻は無事だったが変な声が出た。
ぶつかった男へ謝罪しようと彼女が顔を上げ見た顔はいつかみた顔だった。
そう、彼女の婚約者でこの国の王太子でもあるレイルであった。
「・・・・・・・・・。」
俯き気味に無言で肩を震わす彼に彼女と彼女のことを追いかけてきたセルバンテスが顔面蒼白になる中彼は・・・
「は、あはははははは!・・・ふっ・・・お、お腹いた・・・」
大笑いしだした。
そう。怒りに肩を震わせて居たのではなく、笑いを必死に堪えてたのだ。
「はぁ〜、初めてですよ、心の底から笑ったのは・・・それが貴女の本性なんですね・・・セルバンテス、で良かったですか?2人きりにしてもらえると嬉しいんですが・・・」
「仰せのままに、殿下」
「ちょっ!?セルバンテス!?主を間違えてない!?貴方の主は私よ!?裏切るの!?」
「私、自分の命が惜しいので・・・では、お話がお済みになりましたらお呼びください」
それだけ言うとセルバンテスは屋敷の中へ入っていった。
二人だけの庭園にはいつも通りの静寂が訪れる。
先に静寂を破ったのは王太子であった。
「ねぇ、あれが本当の貴女なの?」
「・・・・・・そうですわ。だから、なんだと言うんですの?」
あんな言い合いを聞かれていたらもう、言い訳なんて出来ないだろう。
(あぁぁぁぁぁ!せっかく!せっかく顔合わせの日に頑張ったのに!全部台無しよ!ここに来るなんて聞いてないわ!これで彼に対する好意がないと言うことが露見したわ!詰んでた!既に詰んでたけど!今度は地獄に落ちたわ!ない!ないわ〜・・・・・・・・・誰か私にギブミー身代わりちゃん!)
「それならば、私も少々本性をお見せしましょうか?」
彼の言葉は彼女にとって寝耳に水だった。
「け、結構です!」
彼女は首が取れるのではないかと言うほど横に振る。
(冗談じゃないわ!!!殿下の本性なんて知ろうものならこのまま結婚するのと同義よ!こういうタイプのヒーローは粘着質なのが多いんだから!しかもあれでしょ?本性なんて俺様かドSでしょ?やだわ〜・・・知りたくないわ〜)
彼女は気づかない。既に結婚まっしぐらで、執着されているという事に。
「ふっ・・・やっぱり面白い。お前を婚約者に選んだ父上と母上には感謝せねばな」
「嫌ですわ!私、何も聞こえませんわ!お医者様にお世話になる必要があるのかしら〜!!!」
往生際悪くも彼女は耳を塞ぎ白々しいセリフを吐く。
「・・・・・・まぁ、いいだろう。ところでお前は俺との予定を無視してまでバザーに行きたいのか?」
「当たり前ですわよ?」
なにわかりきったこと聞いてんだこいつ?と言いたげな表情で彼女は肯定する。
先程までの頑なな態度は無くなっていた。
本の力は彼女の前では最強である。
「行ってもいいぞ?」
「本当ですか!?殿下はわかっていらっしゃる!」
「ただし、条件付きだがな」
「条件ですか?・・・よっぽどの事でなければ全然いいですわよ?」
「それはだな・・・」
こうして、二人の波乱の一日は幕を開けた。
ルーニャ「もう分かったわよね?恋心は皆無よ♡」
レイル「だからこそ面白い」
ルーニャ「(こんなの、男勝りな前世の自分見せたらどうなんだろ?し、知りたくな!)ほ、ほほほほほ・・・( ´・ω・`)」