第八十七話 戦闘と勇戦戦争
俺はそっとラズラの手を握りしめた。
フラフラになりながらも、俺はラズラの暖かい手の感触をなんとか得ていた。
「マゼル、私やったよ……!」
「そ、う、だ、な……」
もう俺は言葉一つ出すだけで苦しかった。
しかし、ラズラは俺の手を握りしめながら泣いていた。
「マゼルは本当に人のこと思って行動してくれているのはわかるよ……。けど、私怖いよ。
君が一人で勇者軍本部に行くなんて……」
「すまなかった、な……」
これで、やっと勝てた。そう思ったが、勇者はまだ諦めていなかった。
ゆっくりと血を流しながら立ち上がる。
一人で逃げたやつ(槍使い)を抜いて、三人の美しい女性たちに囲まれた勇者は、拳をぐっと握りしめた。
「そんな簡単にやられると思うなよ……! 魔法攻撃再開!」
勇者の後ろにいた魔法使いが、一斉に魔法書を構える。
このままでは本当に危ない。
勇者が攻撃を再開させたのは、勇者の剣の輝きが無くなったから……。
ならば、攻撃が全部こっちにやってくる。
俺はとっさに両手でラズラを突き飛ばした。
あの地獄のような魔法攻撃が始まった。
俺はラズラを抱きしめた。
どうにかラズラに魔法が当たっていないようだが、俺はまだ頭がクラクラしている。
しかし、そんなこと言っている場合ではない。
ここからどうするか、それが重要なのだ。
ラズラは小声で「怖いよ……」と耳元で囁く。
こんな魔法攻撃受けていたら誰でも怖いだろう。
俺はそんな魔法攻撃を受けているから、怖いなんてことはもう思わなかった。
俺は無理矢理ラズラの魔法書を取り上げて、その魔法書を構えた。
「魔法封印術!」
魔法攻撃が止まった。
やはり、魔法封印術は有効であった。
「マゼル、受け取れ!」
フランコさんが投げてきたのは、虹のポーションと魔法書だった。
俺は両手で受け止めて、急いで虹のポーションの蓋を開けた。
瓶を片手にポーションを飲み干すと、一気に力が入ってきた。
頭のクラクラも無くなって、完全に戦える状況が揃った。
しかし、魔法封印術で魔法を使えなくしているため、魔法を使えない。
魔法封印術を使うのは間違いだったか。
けれども魔法使いたちの魔法攻撃はもう終わった。
これで魔法攻撃を受けなくていい。




