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マゼルの勇戦戦争  作者: モルモラ
第三章続き
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第八十四話 毒と勇戦戦争

 頭の中が本当に真っ白だ。

 俺はさっぱり何が起こったのかわからなかった。

 もう俺の体力が残っていなかったのだろうか。


 俺の意識はなんとかすぐに取り戻したが、なんだか頭がクラクラしてきた。

 ぼんやりと勇者の姿が歪んで見えた。


 そして、どんどん俺の力が抜けてくる。

 自分自身の足で立ち上がれなくなくなった。

 すると、勇者は倒れた俺の顔を黒い靴で踏みしめた。

「マゼル、お前は裏切られたんだよ!」


 螺旋階段があった方から声が聞こえた。

 俺が振り返るとそこにはシータの姿があった。

「君は僕に騙されたんだよ。マゼル」

「シータ……!」

 まさかシータの攻撃だとは思いもしなかった。


「この魔法、意識を失わせる協力な毒を浴びせる魔法なんだけど、やっぱりマゼルは。意識を失っていないなんて。

 でも、この毒はマゼルの体力をどんどん蝕んでいくからね」

「なんで……!」

「えっ? 僕は君の仲間なんかじゃないよ」


 すると、勇者は思わず笑みをこぼした。

 勇者の顔は勝ち誇ったような顔だった。


 しかし、俺は信じれなかった。

 まさかシータが勇者の仲間だったとは……。

 確かに俺の背中には白い剣みたいなものが刺さっていた。

 痛みは全く感じなかった。

 力が入らない。ただそれだけだった。


「さあって、どうやってこの魔王を痛めつけようか」

 勇者の憎たらしい声は、俺の心を真っ黒にさせた。

 なんだか、モヤモヤするこの気持ち。

 その締め付けられたチェーンみたいなものが俺の心を苦しめる。


 俺は裏切られたこの気持ちを何処にも吐き出す場所もない。

 ましては今、俺は追い詰められている状況だ。

 俺は裏切ったシータのことをまだ信じているからダメなんだろうか。


「僕は魔王軍総本部に何人か送り込んだので、もう終わりだね。

 マゼル、正義が必ず勝つんだよ。君みたいな魔王は居なくなるべきなんだ」

「や、やめろ!」

「辞めれないね。これでいいんでしょ? 勇者様」


「ああ、完璧だ! ありがとう、シータ。

 やっと終わったよ。君の仲間も可哀想だ。

 さてと、仲間の死に様を黙って見てるんだな!」


「どっちが正義かって、お前らが正義なのかよ……」

「はぁ!? 勇者に向かってそんな口答えするな!」


「俺は、俺はまだ諦められないんだよ……!」

 俺は血を口から吐き出しながら、必死に立ち上がろうとした。

 しかし、勇者に頭を踏みつけられた俺は立ち上がることは不可能だった。

 でも、何かできるはずだ。

 そう思いながら手をぐっと握りしめた。

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