第八十一話 魔法と勇者の勇戦戦争
俺が会いたかったのはこの馬鹿勇者ではない。
「アシュコットは……アシュコットは居ないのか!」
俺は声をあげて必死に辺りを見渡してアシュコットを探すが、中々見つからない。
勇者の後ろには魔法使いたちがいて、横には美女四人組。短剣、斧、槍、弓。
「どう……して……」
どこを探してもアシュコットの姿はなかった。
俺の悔しそうな表情を見た勇者の顔からは笑みがこぼれていた。
背後から見張り番たちがやってくる。
もうこれでは先にも進めないし、後ろに逃げることもできない。
追い詰められた俺はその場に立ち止まるしかなかった。
見張り番たちが突き刺した大量の剣が腹にぶっ刺さっている。
腹からは血が滴れているが、この剣を引き抜いたらなんとか戦えるだろうか。
しかし、戦うためにここに来た訳ではない。
俺は話し合いに来たのだ。
「また来たか、魔王!」
青いマントを羽織った勇者は余裕ある表情でこちらに語りかける。
俺は一度深呼吸をして息を整えた。
額から出てくる汗はどんどん冷たくなってきた。
「おい、勇者!俺はもう戦う気は無いんだ 。だからもう……戦いはやめないか……」
「そんなの知るか! お前を、お前を殺さない限り俺の復讐は終わらない!」
すると背後の見張り番たちが腕ずくで襲いかかって来た。
俺は腹の剣を全て抜いて、ゆっくり地面に置いた。
俺はどんなに攻撃されたって、死ぬことはない。
俺はもう殴られまくる覚悟をしていた。
しかし、階段の方から大きな声が聞こえてきた。
「マゼル様に指一本触れさせるか!」
斧を持った黒服のスーツを着たブルコビルだった。
斧を振り回して、見張り番たちを倒していく。
勇者は無言でブルコビルを見つめた。
「マゼル様!」
ブルコビルは大きな声で俺の名前を叫んだ。ブルコビルの顔をよく見ると、汗まみれだった。
「おい、攻撃しろ!」
勇者の合図で後ろの人たちが魔法書を構えた。
その瞬間、俺はブルコビルが攻撃されそうなことがわかっていた。
慌てて手を大きく広げてブルコビルの前に立つ。
勇者の後ろにいた魔法使いたちが一斉に魔法を使い始めた。
俺にたくさんの魔法が当たっていく。
痛いのだが、そんなこと始めから覚悟できていた。
「マゼル様!」
ブルコビルは攻撃を受けている俺を心配そうに見ていた。
「ブルコビル、攻撃するんじゃねーぞ……」
俺は話し合いに来たというのに、ブルコビルが攻撃してしまっては意味がない。
俺は痛みを我慢しながら攻撃を受け続けていた。
この作品、どうしても完結したい!
でも伏線が回収しきれてないのでまだまだ終わりそうでもないですね。
とりあえずできるところまで頑張ります。




